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古本屋日誌

2018-04-30 09:41:00

けさは薄曇りで、凌ぎやすい気温です。猫は珍しく布団に入ってきて寝ていました。

天王寺さんでは2日まで古本市が開催中で、京都の岡崎公園の都メッセでは明日から大規模な古本市です。天王寺さんは毎月21日にお大師さんということで雑貨市があって毎回可笑しなものか色々並んでいてお買い得です。各地の刑務所が受刑者の作業品を出していて函館刑務所は帆布カバンが目玉で私もつこてるんですが丈夫な上にデザインも良くて素晴らしいです。

古本市で不思議なのはあれこれもめ事が起こることで、非常識なやつがいてかなり高額の古書の値段を勝手にはがして100円均一の台に紛れ込ませて買おうとして見つかる。客同士が本をよく見れないとか、背中にせたろうたリュックが当たった当たらないで喧嘩するとか、以前はよく起こってました。でもまあ人が多いわけだから譲り合わないと仕方がないくらいわかりそうなもので、そういう常識がない。同じ台や棚を何人かの人が見ていて全然譲り合わないでいつまでも同じところにいる人がいます。お目当の本がどこかの台や棚にある確率は例えば台が500あるとするとどの台も平等で500分の1なんだから特定の台にこだわるのは間違っています。しかしバカだからそういう行動ができない。

まあでもマナーはなかなか難しいもので以前仕事でJRの姫路駅を継続的に使うことがあり、ここを始発とする新快速は並んで順番を待つと座れるんですが、かなりたくさんの人が並んでいることもあってそういう場合は座れません。かなり疲れていてどうしても座りたいことがあり、その新快速はスルーして次のを待つことがあったんですが、当然座れます。ところが発車間際にじいさんやばあさんが乗り込んできて、前に立つことが毎回のようにありどうするか苦慮することになりました。譲ることもありましたが、バカバカしいので立たせたままのこともありました。

 


2018-04-29 09:33:00

今朝はやはり天気であまり暑うもなく快適です。

竹本住太夫が93で亡くなったことが報じられていて、あんなに弟子に鉄拳制裁でもせんばかりに元気に怒っていた人が死んでしまうとはとびっくりしました。弟子というのも70をとうに越えている人なんで、すごい世界なわけですが、住太夫は以前近松の「女殺油地獄」を語ったことがあり、これはなかなか大したものだった。遊びものの与兵衛がのんこらしと油屋の女房に取り入って最終的には借金を断られて惨殺される話だが、住大夫の話ぶりはなかなか辛辣で、付け入る与兵衛なんかよりも人を見る目がなくこういうならず者に親切にする女房の馬鹿さ加減を強く印象付けようとする。

今日はNHKで綱太夫の五十回忌の記念公演の放送があり楽しみです。綱太夫はNHKの山川静夫が贔屓で、そのエッセーもこれまた辛辣で楽しい作品です。


2018-04-28 11:26:00

今朝はよく晴れていてあまり暑くもなく快適です。先日お客さんから昭和33年に出た「年鑑 大阪」という本来は年に4回出す予定だった大阪の街の変化をあれこれ説明した200ページくらいある雑誌をお譲り頂きました。巨大キャバレー「ニューメトロ」の外観の写真、御堂筋沿いにあったやはり巨大キャバレー「ハリウッド」の外観がなかなかよい。メトロの写真は正面なんだがこのキャバレーは内部は柱を持たない円形をしているのだが、正面はまっすぐで、曲面にはなっていないのが不思議でした。「ハリウッド」のキャプションには御堂筋に向いた外壁の下絵は東郷青児のものだとある、非常にでかい。またなんなんタウンができる際に地下街の坪あたりの分譲価格が50000円で、戎橋筋や心斎橋筋に店を構える老舗は赤字のところもありとてもその負担に耐えられず進出するのをあきらめた店も多いのだが、いざなんなんタウンがオープンしてみたら、地下街は押すな押すなの大盛況でために地上の店は売り上げが激減していて、地下街を束ねる協会に損害の補償を求めたが、ほんのわずかしか金は出してもらえなかったとある。またこの地下街の開発を進めるデベロッパーには大阪市役所のOBが就任していて、民間を排除しているのは利益を独占しようとする陰謀だと攻撃している。

まあそういうことで結局ミナミの地下街は梅田に比べてえらい小さいわけですな。よくわかりました。


2018-04-27 09:18:00

今朝は曇り空で暑いこともなく寒いこともなく快適です。

今月の中旬岩波書店は平田篤胤の「仙境異聞」(岩波文庫)を久々に復刊しました。あの世に行ってなぜかまた帰って来た子どもの話で以前から古書価格が高くなっていて8000円くらいになっていました。岩波書店は月に一回まとめて重版する書目を発表するほか、春と秋にはかなりの数を重版し、さらにときとんぼなしに今回のように高くなっている本を出すことがあります。

中公文庫でも長らく「頼山陽とその時代」全3巻が品切れで高くなっていたが、中央公論社はなぜか復刻はせず、代わりなのか筑摩書房が文庫の索引もつけたものを新たに出しました。ために中公文庫の方の古書価格は大きく下がりました。筑摩叢書の「歴史主義の成立」は例のマルクス主義批判の基本書としてなかなか評判でしたがこのところは社会主義の魅力も地に落ちてしまい、価格も下がっていますが、ちくま文庫などに入れなかったのは「薔薇の名前」と同じ理由、つまりまだまだ売れるから利幅の少ない文庫にする必要がないと判断したのではないのかな。中央公論社からは「歴史主義の貧困」も出ていてこれも同じくマルクス主義の衰退とともに急速に古書価格が下がりました。しかしまた版を新しくして出したらこれはこれで評判でかなり売れています。「歴史主義の成立」もぜひ新版で出すかあるいは文庫にしてもらいたい。

講談社メチエから「長安の都市計画」というのがだいぶ前に出ていてかなり古書価格が高い。まあ「復元 安土城」みたいなものですがなぜか文庫にもならない。長安ですからね、あんまり客がつかないんではないかとゆう判断なのかもしれない。そういえば斎藤なずなが話の雑誌から出していた「片々草紙」もずっと品切れで古書価格はそもそも私も一度しか見たことがなくよくわかりません、問題なく売れるのにさっさと重版かけてもらいたいものです。

先日お客さんのお宅に買取に伺った時講談社学術文庫がたくさん本棚に見えて「あれは売りませんか?高いのもありますけどね」と勧めてみたら「いや、あれは置いとく、講談社学術文庫は重版しないわけだから、価値がある」と言うので「いやいや、売れるものはいくらでも重版かけてますよ、例えば日本書紀とか続日本紀とかいくらでもやってますけど」とお答えしてみたが、結局何もおっしゃらずそのままになりました。

岩波書店はまた漱石全集を出していますが、まあ完全に紙の無駄ですな。特に新しい発見があったわけでもないし、第1巻から出す意味なんかない。ただ古本屋の立場からするとなぜか漱石全集は人気がありよくお買い上げいただけます。かなり大量にいつも売れるんです。でもそもそも漱石てそんなに面白くもないし、文章も鴎外に比べたら全然大したことないし、エロい話は全くなく、そういう受けを狙ったくだらなさが私は嫌いです。


2018-04-26 17:35:00

今朝はそんなに暑うはのうてまあまあでしたな。

青林工藝舍から斎藤なずな「夕暮れへ」が出ました。斎藤なずなは天才作家です。まあ才能は基本的に誰にでもあると言えるし、誰にもないとも言えるわけですが、斎藤なずなに限ってはそんなに訳知り顔の話は通用しません。

持ち込みをしている漫画家の卵の男と看護婦が同棲していて看護婦は患者が死んだ日は特に激しく男を求める。二人は小鳥を飼うのだが可愛がっていたのに寿命には抗えず死んでしまい、こりずまにまた飼いはじめ次から次に増えていくがそうなると愛情は薄れてどうでもよくなり、小鳥は死んでいく。小鳥にとってはこの夫婦は神のような存在だが、男はなかなか漫画が認められない、女も病院で才能や人の良さなどに全く関わりなく人が死んでいくのを見ている。神様にとっては人など気まぐれでどうともなる存在でしかないのだろう。その中で男は女に結婚を申し込んで気まぐれなんかではない絶対的な価値を作ろうと抗うという話です。

まあこの世の構造は斎藤という通りなんでしょう。私もそれなりに長く生きてきて人の世の不条理は身にしみています。「それでもなお❗️」はマックスウェーバーの政治的人間の話でしたな。


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