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古本屋日誌

2019-11-30 12:08:00

先週の土曜日、昼前に枚方市駅から京阪バスで高槻に向かったところ、出発前に「枚方大橋で事故渋滞があるので、かなり時間がかかると見込まれますよ」とのアナウンスがあったが、高槻で用事があるし、バス以外の手段もないので、諦めて乗車したら橋を渡りきるまでに40分かかった。普段なら5分もかからないが、橋の中央で乗用車とライトバンが衝突して、乗用車はセンターライン上に車体のフロント右側を大きく損傷して止まっていた。確かにこれではどちらの車線も満足には通行できない。

昨日は堺東の高島屋に用事があり、私は高野線で出かけたから何の問題もなかったが、待ち合わせをしていたお客さんが車で来ていて高島屋に付属している大型のモータープールの8階に止めてあって、「今から車を出すから高島屋の前で待っていてくれ」と言うので実に嫌な予感がした。

8階建ての巨大なモータープールなんだが、ものすごい渋滞で、出て行く車も、入ろうとする車もピクリとの動いていないにを目にしていたからだ。

お客さんから携帯で「いま8階のスペースから車を出して左に車体を立て直したが、それから20分たったけど1ミリも動いてないよ〜〜〜〜〜」

結局出てくるまで1時間25分かかりましたよ〜〜〜〜

しかしあれですね、ガードマンは「かなり時間がかかりますよ」と警告したり、入場制限したりはしないものなんかね〜〜

昨日は中曽根康弘が死んだ。1980年代の初頭に総理大臣となりレーガン大統領と良好な関係を保ちつつも「日本を不沈空母にし」日本独自の軍事力を保持しようと努める一方、臨調行革路線で人減らしの先鞭をつけ、1987年の国鉄分割民営化への道を開いた。

まああれですね、普通の政治家の感覚ではアメリカに軍事的なプレゼンスを掌握されて動きがとれない日本のあり方は問題だと考えられたわけですな。そういう意味で伝統的な、保守的な政治家だった。

個人的には2011年の秋に大阪病院に入院中あまりの無聊で病室からあれこれ本やCDを買い続けた中に「文藝春秋」と二代目桂春団治13夜もあった。

二代目のあまりのうまさに圧倒されるとともに「文藝春秋」にあった中曽根康弘の朝食にも驚いた。健啖家で朝も早うからハムなんかからヨーグルトや野菜、果物までしっかり食べる。


2019-11-29 10:50:00

「サピエンス全史」で一世を風靡したハラリの新しい本が河出書房から出た。

21世紀を予言する未来の書だ。自動運転の車が一般化してドライバーは後部座席で高いびきが可能なんだが、それでも「トロッコ問題」からは逃れられないという。

疾走する自動運転の車の前に幼い子どもが飛び出して来た、。これを避けるにセンターラインを越えて反対車線に出るしかないが、折悪しく猛スピードのトラックが来ている。それでも幼子を救うために反対車線に飛びだすならば、後部座席のご主人様は命を失う可能性がある、そうかといって幼子を跳ね飛ばしてその命を奪うのもどうなのか。

ハラリは車を買うときに、「おれはトロッコ問題では人を助けるプログラムの車にする」とか「おれはいかなる時でも自分優先のにする」とか選択して買わないといけなくなるという。

まああれですね、他人を助けるプログラムの車をマイカーとして買うような奇特な方がたくさんいるとは思えませんな。

2017年にグーグル傘下のディープマインド社が開発したコンピュータープログラムのアルファゼロがストックフィッシュ8を負かした話も詳しい、

ストックフィッシュのは何世紀にもわたり蓄積して来た人間の経験やコンピューターの経験にもアクセスできた。それに対してアルファゼロはチェスの定石すら教えられておらず、最新の機械学習プログラムで自分と対戦しながら自学自習し、わずか4時間でストックフィッシュ8に負けないまでに成長したという。

まああれですね新井紀子の言う通りAIはすでに偏差値で65くらいまで来ているわけだから、大半の人間よりもはるかに有能となっているので、われわれの子孫が今ある仕事をAIに奪われて路頭に迷う心配がある。

うちとこも本の在庫の大半はAmazonで販売しているのだが、わずか2000冊程度の在庫量でも以前はどこにその本があるのかよくわからず、お客さんからの注文が入ったにもかかわらず、探し出すのに30分以上かかったりして、イライラさせられていた。

でもはたと考えたらお客さんから買い取った本を日付順ただ並べておけば、あとはAmazonの検索システムで難なく所在を確認できることに気づいて、このところは探し出すストレスがなくなったなあ。


2019-11-28 13:05:00

お客さんからの買取のお電話は面白い。

「あれや、おたくは古本屋さんやな、買取に来て欲しいんやけどな、高〜〜〜〜やわ」

「ありがとうございます〜〜、どんな本がありますか?」

「漱石全〜〜とか鷗外〜〜単行本とかやわ」

「ご住所はどちらですか?こちらは門真市なんですけど」

「高さ〜〜町ゆうてるやん、青山のビルの横やさかいじきわかるわ」

「もしもし〜〜その高さ町とかいうのは門真市ですか?」

「洋服の青山やん、わかるやろ‼️」

「ご近所の建物ゆうてもうてもなあー」

てな感じの要領をえない会話が延々と続き、ようやくこの方は兵庫県の高砂市からおかけになっていることがわかりました。

 


2019-11-27 14:08:00

10月に亡くなった吾妻ひでおはその前の月に復刊ドットコムから「完全版、不条理日記」を出した。

巻末には2ページの分量なのだが描くのに3ヶ月かかったという「不条理日記、2019」に加えて奥付には出版される2019年の9月に記した「じゃあまたお会いしましょう」で終わる後書きも収めてあってかっこいい最期だったなあ。

いま改めて読み返してみても彼の描く幻獣の多彩さ、奔放さには舌を巻くばかりだ。画面全体に散りばめられて、所狭しと動き続ける獣たちを捉えることは出来ない。かろうじて視覚にとどまったウワバミのような巨大な蛇獣は部屋で寝そべる吾妻ひでおの横を通り過ぎて「助かったよ〜〜」と感謝の気持ちを述べるとひでおは「俺も助かったよ」と省エネで作品が完成したことを寿ぐ。

しかしなあ、吾妻ひでおは正真正銘のアル中だったけど、ネットに掲載してある本人の姿を見ると相当ガタイも大きく頑丈そうな体をしている。180を優に越していた谷崎潤一郎みたいなもので、たとえ血圧が200を越していても血管の強度や肝臓のアルコール分解能力などは常人をはるかに凌駕していたことだろう。

その身体的な優位性が吾妻ひでおの名作を生んだわけで、本人もアルコールに浸れば幻獣が飛び交い、インスピレーションが湧くことを自覚していて、強靭な身体能力に自信を持ちながら、意識して酒を飲んでいたのではなかろうか。

 


2019-11-26 12:26:00

ネットで物販が出来るようになって、従来のように店を構えることなく商売ができるようになったのはありがたいことだ。

既存の古本屋も集客のために少しでも長く客に店にとどまってもらおうといろいろ工夫を凝らしている。

本棚と本棚の間のスペースを広く取るために床に本を積み上げない。中央に大きなテーブルとステンレスの椅子を並べてちょっと読んでもらえるようにする。

本棚の前に籐の椅子を並べて落ち着いて座り読みができるようにする。暑い季節には麦茶をサービスし、寒い頃には暑いお茶を出す店もある。

本の並べ方も入ってすぐのところには絵本や料理、雑貨ニッティングの本を並べる。レトロな食器やバッグ、料理小物や音楽CDを置いて多角化を図る。

古本屋の小汚いイメージを慮って本のカバーの上から透明なシートをかぶせてあらが目立たないようにして清潔感をアピールする。

私が感心したのは大阪や京都の古い町屋によくあるうなぎの寝床スタイルを利用した、ある大阪の店だ。

間口は1間くらいなんだが奥行きがあって、通路は右側に1人通れるくらいの狭さにしておいて、照明もあまり強くない。

奥に行く間に左側からセンターにかけていくつかの大きなテーブルや本棚を並べて平板さをなくして寄り道したい気持ちを醸成する。

どこに何かが隠れているような雰囲気がしてくる。本の並べ方もここは文庫本、こちらは新書本、こっちは四六判、あちらは大型本と整理整頓するのではなくて、木製のしっとりした本棚の区切りを細かく分けてどこに何があるのかわからないようになっている。

店の1番奥はテーブルが出張っておらずちょっとしたオープンスペースになっていて開放感がある。そこから二階へ続く木の階段が薄明かりの中に浮かび上がって一段一段の左右の端にはちんまりと本が積んである。

要するに隠れ家のようになっていて本の森の中にいつまでも佇んでいたいような気分になってくる。


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