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古本屋日誌
2019-11-27 14:08:00
10月に亡くなった吾妻ひでおはその前の月に復刊ドットコムから「完全版、不条理日記」を出した。
巻末には2ページの分量なのだが描くのに3ヶ月かかったという「不条理日記、2019」に加えて奥付には出版される2019年の9月に記した「じゃあまたお会いしましょう」で終わる後書きも収めてあってかっこいい最期だったなあ。
いま改めて読み返してみても彼の描く幻獣の多彩さ、奔放さには舌を巻くばかりだ。画面全体に散りばめられて、所狭しと動き続ける獣たちを捉えることは出来ない。かろうじて視覚にとどまったウワバミのような巨大な蛇獣は部屋で寝そべる吾妻ひでおの横を通り過ぎて「助かったよ〜〜」と感謝の気持ちを述べるとひでおは「俺も助かったよ」と省エネで作品が完成したことを寿ぐ。
しかしなあ、吾妻ひでおは正真正銘のアル中だったけど、ネットに掲載してある本人の姿を見ると相当ガタイも大きく頑丈そうな体をしている。180を優に越していた谷崎潤一郎みたいなもので、たとえ血圧が200を越していても血管の強度や肝臓のアルコール分解能力などは常人をはるかに凌駕していたことだろう。
その身体的な優位性が吾妻ひでおの名作を生んだわけで、本人もアルコールに浸れば幻獣が飛び交い、インスピレーションが湧くことを自覚していて、強靭な身体能力に自信を持ちながら、意識して酒を飲んでいたのではなかろうか。