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古本屋日誌
古本屋を経営するにあたって、最大の問題は仕入れだ。
販売の方は通販が大きな威力を発揮するし、店売りもあるだろうし、大した問題ではない。
そこで、お客さんから電話を受けて、喜び勇んでご自宅までお伺いするわけなんだが、いかんせん、本の歴史は少なく見積もっても3000年に及ぶ。
その間世界各国で作られたり、出版されたりした書籍の数々、種類たるや、完全に天文学的なものだろう。
お客さんの書斎を拝見して、「あーこれね、これこれ、これは〇〇くらいの値段ですな、よーく見る本です」てな感じで商品知識を披露できることはまずない。見たことも聞いたこともない本が大半だ。
そこで古本屋はどうするのか。
一つには、そしてこれが1番多いパターンなのだが、自分の店で扱えそうな種類の本だけ抜き出して買う。
残りはわからないし、扱えないので、「お客さん、残りはちょっと馴染まない本ですから、買い取れません」と突っぱねて帰ってくるのだ。
でもこれでは、お客さんも、せっかくいらん物を一掃して部屋の模様替えを予定しているのに、全然本が減らないと悩むだろう。
古本屋にしても不勉強ゆえ、値打ちのある本をみすみす見逃すことになってしまう。
そこでお客さんには
「あんね、本はね、ぜんぶ持ち帰りますわ。へてな、業者の市に出しますわ。わしの手間賃で15000円はもうて、あと売れた金額の〇割お渡ししますわ。」というのだ。
なるほど古本組合の交換会に出せば、いろんな専門分野の古本屋がいるから、その人の目から見たら「これは値打ちある本やな」てなことで、高値がつく可能性もある。
お客さんは部屋が片付いたと喜ぶし、さらにいくらかな収入があったと納得するわけだが、よく考えてみたら、客はそんなに得とはいえまい。
だって古本組合の市に出すということは、間に業者が2つも入るということだ。
通常の買取ならその古本屋だけだが、市を通すということは買い取った古本やに加えて、市で落札する古本屋も間に入るわけだ。必然的に値段は格段な低くなる。
市の古本屋が「この値段で仕入れたら、そこに口賃を上乗せしてメシが食えるな」と判断して買い付けるものでしかない。