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古本屋日誌
今朝は典型的な冬空で肌寒い。今年も間も無く終わりで、お客様にたくさんこうて頂けた一年でしたのでありがたかった。来年はさらに在庫を充実させてよりたくさんのお客様に指名していただけるように精進いたしますので、今後ともよろしくお願いします。
朝日新書から井上章一らの「ミッションスクールになぜ美人が多いのか」が出た。朝日新聞が発行している「大学ランキング」を元にファッション雑誌に掲載されたモデルの出身大学のランキングが載っていて、それによれば圧倒的にミッションスクールが多いし、東京の大学に引けを取らないほど兵庫の甲南女子大や松蔭女子学院、神戸女学院などが多いという。井上章一は日本人が結婚式でチャペルを選ぶ人が多いこと、お寺の子女がミッションスクールに通うこともしばしばあること、クリスマスを僧侶が自宅で祝うこともしばしばあること、流行歌の歌詞にオシャレな意匠として教会やチャペルがよく出てくることなどを引き合いに出して、「キリスト教の受容史が日本ではともすると殉教や弾圧に偏りすぎている。クリスチャンの数が少ないと言われるがその実広範囲に受け入れられている」と主張している。
まあそうなのかもしれないが2000年代のはじめの頃神戸女学院や松蔭女子学院で学生数に占めるモデルの数が15パーセントとかいうのは確かにすごい。もちろん大して美人でも可愛くもないのに馬子にも衣装ということだろう。実は井上章一にはここら辺をもっとちゃんと書いて欲しかった。キリスト教がハイソなイメージで人々を惹きつけているとのことなんだから、雑誌掲載モデルも実は全然美人でも可愛くもないのに、ミッションスクールだということでげたを履かせてもらっていると実証してもらいたいものだ。
今朝は少し冷えましたが、冬空ではなく晴れているので気温は次第に上がってきていて、過ごしやすいです。
夜前テレビドラマ「犬神家の一族」が放送、金田一耕助役は加藤シゲアキでした。石坂浩二の時は髪をかきみしる例のシーンでフケが飛んで下に落ちるシーンが強調されてましたが、今回はただ髪をいらうだけで不潔感が伝わってこなかった。
皆様も重々お感じでしょうが、横溝正史は探偵小説としては落第で、合理性を無理やり否定し、読者には知りようもない過去の怨念に犯罪のソースを求めようとする姿勢は何度読んでも不愉快です。殺人の動機は遺産をわが子に相続させたいなわけですが、そのために直ちに他の息子を手にかかるというのがまずよくわからない。財閥のご婦人方はそのようなワイルドな手法がお好みなんだろうか。
犯人の息子、スケキヨは復員したにもかかわらず、実家に姿を見せない。その理由が「ビルマ戦線で自分の責任で部隊を全滅させてしまったから」というわけですから、到底理解できるものではありません。ビルマ戦線はインパール作戦が連想されますが、指揮官の牟多口など特に責任を感じている様子もないし、一介の部隊長風情が責任を感じるというのは不思議だ。
今朝は打って変わって気温が低うて、冬らしくなってきました。
ハラリの「ホモデウス」は戦争や伝染性の病を克服した人類の課題が語られてありますが、家畜が人類と共存するようになり、野性の他の獣に比して圧倒的に有利な生育環境を得て繁栄している一方で、個々の家畜は狭い畜舎の中に閉じ込められ、生涯身じろぎくらいしか許されない過酷な環境下にあることも書いてあります。とりわけ豚の飼育状況を示す写真が「大半の豚は隣の豚との隙間もないところで生涯を送る」とのキャプション付きで載っていて、まあ予想はできていたとはいえショッキングですね。
ちょっとその後カツカレーやトンカツを食べるたびにどこかにこの写真が出てきてしまうので困りました。乳牛も人間が毎日搾乳してやらないと乳腺炎になって命に関わりますから、もはや人間と共存するしか手がない道を選んでいるわけです。豚にせよ牛にせよ種族としては正しいせんたくであり、そのように人間に飼われていないイノシシやオオカミなどを圧倒的に引き離して繁栄を極めています。ただ一匹一匹を見てみると昔より幸せになったとは到底いえない。むしろ人に近づかない選択をした方がよかったように思える。
われわれも実はハラリも言うように実は豚や牛に支配されていて、懸命に毎日お世話させてもらっているともいえますね。乳牛を毎日搾乳するのは大変な労力だし、豚の世話も大変だしそれこそ家畜さま中心の生活を強いられているともいえますな。そういうのをなくしたフリーな生活とはいったいなんなんでしょうかね。
今朝は雨も上がりしっとり潤っていてしかもぬくい。冬とは思えない気温でまあ過ごしやすいことは間違いない。
私は3年間は会社勤めをしたことがあり、その間上司からの査定に基づく面談が毎年ありました。私のことですからいいわけないので、あれこれ問題点が指摘されていたのですが、「接客がうまない」とか「クレームがある」というような雲をつかむような具体性を欠く話なので、「それはどこの営業所の話なんですか?」と聞くわけですが上司は曖昧にして答えません。要するにはっきりどこの支社からのクレームだと言ってしまうと支社長と私の間に感情的なもつれが生じてやりにくくなるとの配慮なんですが、配慮になってない。支社長をかばっているだけで、こちらにはモヤモヤ感が残るだけでなので、あくまでも「納得なんかできませんわ、きちんと説明してもらわんと」となると「最近はな、その辺のクレームものうなって、ようなってるから」と別の話にすり替えるので困りました。
会社には労働組合があったので、団体交渉に持ち込み、細かいところまでなにがどうなのかや、誰がどう言ってるのかは明らかにできました。まあ査定が悪なるには私自身の問題があることは当然なんですがね。
団体交渉ではいろんな同僚の労働条件の話が出ましたが、驚いたのは自分の悪いところもいくらでも上に言わせて、交渉の席でその人の欠点が公となり、落ち込んでしまうかと思っていたら、逆にスッキリして仕事に励んでいる人がいることでした。俺なら恥ずかしがり屋だし、気にしいなので、みんなのいる場で己の恥を公然と言われてしまうのは抵抗がありました。でもまなたかが仕事のことなので、全部明らかになっても人として恥じ入ることではないとの考えはわからないでもないですな。
今朝は雨もよいで、しとしと降り続いています。氷雨ではなく一雨ごとに春が近づくというていのそれで、今年は暖冬ですね。
近藤ようこの「蟇の血」(ビームコミックス)を入手しました、帯付きの1刷です、ぜひお買い求めください。近藤はこのところ折口信夫とか説経節の小栗判官といった古典に題材をとった作品をものしていましたが、今回は大正時代の小説家田中貢太郎をもとに女に翻弄されるエリートを題材にして女のエロス力を描こうとしています。
東京帝大の学生で紅顔の美少年三島譲は近く高等文官試験を控えていたが、ふと散歩に出かけた海岸で涙にくれるかわいい女と出会い、「自殺志願者ではないのか」と持ち前の人の良さから声をかけてあれこれ事情を聞き、色香に迷って関係を持ってしまう。
女と所帯を持ちたいと思い先輩に打ち明けて帰る道すがら、暗い夜道で難渋している若い女を見てほっておけなくなり、女の家まで送ってやるのだが、女が「姉がご挨拶したいとゆうております、少しのことですからおあがりください」というのでやむなく上がると、妹は引っ込み妙齢のエロい女が出てきてしきりに引き止める。酒を酌み交わしながら女が近寄ってきて、ひどく刺激的な香水の香りがする。結局三島はこの姉を始めとして妹や女中からなぶりものにされて殺されてしまう。
という話なんですが、近藤ようこの漫画はとにかく女の仕草がなかなか色っぽくてよくできてます。最初の海岸での出会いのシーンも夕暮れへの砂浜で和服のよく似合うかわいい女が中島みゆきのように上を向いて啜りあげている。2回目の妹に出会うシーンも顔は初めは暗くてよう見えないが、目を落とすと、着物の裾からほそいあしくびやきれいな下駄が覗くという描写で、想像を刺激されます。最後の姉が出てきて男の隣にやってきて香水の香りが鼻腔をつくシーンは艶やかな女と相まって非常に魅力的です。
漫画の持つ映像美が堪能できる素晴らしい作品でした。