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古本屋日誌
今朝は雨もよいで、しとしと降り続いています。氷雨ではなく一雨ごとに春が近づくというていのそれで、今年は暖冬ですね。
近藤ようこの「蟇の血」(ビームコミックス)を入手しました、帯付きの1刷です、ぜひお買い求めください。近藤はこのところ折口信夫とか説経節の小栗判官といった古典に題材をとった作品をものしていましたが、今回は大正時代の小説家田中貢太郎をもとに女に翻弄されるエリートを題材にして女のエロス力を描こうとしています。
東京帝大の学生で紅顔の美少年三島譲は近く高等文官試験を控えていたが、ふと散歩に出かけた海岸で涙にくれるかわいい女と出会い、「自殺志願者ではないのか」と持ち前の人の良さから声をかけてあれこれ事情を聞き、色香に迷って関係を持ってしまう。
女と所帯を持ちたいと思い先輩に打ち明けて帰る道すがら、暗い夜道で難渋している若い女を見てほっておけなくなり、女の家まで送ってやるのだが、女が「姉がご挨拶したいとゆうております、少しのことですからおあがりください」というのでやむなく上がると、妹は引っ込み妙齢のエロい女が出てきてしきりに引き止める。酒を酌み交わしながら女が近寄ってきて、ひどく刺激的な香水の香りがする。結局三島はこの姉を始めとして妹や女中からなぶりものにされて殺されてしまう。
という話なんですが、近藤ようこの漫画はとにかく女の仕草がなかなか色っぽくてよくできてます。最初の海岸での出会いのシーンも夕暮れへの砂浜で和服のよく似合うかわいい女が中島みゆきのように上を向いて啜りあげている。2回目の妹に出会うシーンも顔は初めは暗くてよう見えないが、目を落とすと、着物の裾からほそいあしくびやきれいな下駄が覗くという描写で、想像を刺激されます。最後の姉が出てきて男の隣にやってきて香水の香りが鼻腔をつくシーンは艶やかな女と相まって非常に魅力的です。
漫画の持つ映像美が堪能できる素晴らしい作品でした。