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古本屋日誌

2019-04-23 12:02:00

パリのノートルダム寺院が焼けたそうで、まあ形あるものが壊れてしまうのは残念ながら人間ごときが押し留めることはできない。
その後再建するとかでフランスの金持ち連中が400億だの800億だのポンと寄付して話題になり、それについて、「そんなに金があるんだったらパリの貧困層に回すとかするのが人としてあるべき道だろう、溜め込むだけ溜め込んで、どうでもいいことにだけ金を使うとは浅ましい」との批判が起こっている。この批判に対して当の金持ちは「フランスではいいことをしようとしてもあれこれ言われる」と意に介さぬと発言をしているようだ。


パリではついこないだ暴動がしばらく続きシャンゼリゼのブランド店が襲撃されたり、また日本からの観光客が「写真はどないダァ~~」と近寄ってくる中学生と思しき集団に取り囲まれてアレヨアレヨと言う間に財布やパスポートを強奪される事件が相次いでいることはよく知られている。
それはさておきユゴーの名作「ノートルダムのせむし男」は戦前の文庫サイズの絵本をマルス書房は持っています、現在ヤフオクで出品中です、なかなか面白い本です、よろしくお願いいたします。タイトルが例の言論弾圧のためにだいぶ前から「ノートルダムの鐘」とか「ノートルダム男」とかに改められている本が多いですね。

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2019-04-22 13:04:00

今朝はえらい暑うて、もはや初夏ですな。気温も27度まで上がるとのことで先が思いやられます。

朝日新書から小熊英二の「私たちの国で起こっていること」が出ました。朝日新聞に連載していた時評をまとめたもので、日本に最近観光客が押し寄せる原因は日本の外食産業などが諸外国に比べて格安であることも要因だという。確かに吉野家とか松屋とかでそこそこの牛丼を350円くらいで食べられるし、丸亀製麺とかはなまるうどんで100円台で讃岐うどんが食べられたりするのはバンコクではすぐ食事が1000円を超えてしまうのに比べて魅力的なんだそうだ。

バンコクて屋台で食べたらえらい安うて、50円くらいでヌードルのご飯がたらふく食べられた覚えがあるので小熊の言うのはちゃんとしたレストランのことなのか、それとも屋台でも1000円出さないと食べられなくなったかのどっちかなんだろう。

それはさておき小熊英二は福島第一原発の事故の後所長の吉田が答えた調書に関し、3月15日に発電所中の放射線レベルが急騰し、吉田の許可を得ることなく所員の9割が逃げ出したことを論じている。

小熊英二は人命に関わる緊急事態で民間人に命がけの業務についてくれ‼︎と命じる権限など誰にもないとし、また緊急事態に対処する法整備が遅れているという。

そうですかね、法整備の問題ですかね?法律で原発事故のときは業者も命を差し出すとか、あるいは事故に備えて被曝覚悟のレンジャー部隊を整備しておくとか、自衛隊に処理班を覚悟を決めて作るとかそういうことではないでしょう。今回の原発事故は戦争と同じ緊急事態だったわけで、緊急事態は全て人任せの我が国に対処できるわけありません。大義のために命をはる価値観は我が国には一切ありません、それは身内のために頑張る価値観とは全く違うものだからです。

それでもなお3月15日の福島第一には70人もの人が残って業務にあたりました。これらの人々の奮闘でさらなる危機からわれわれは逃れられたのか、それともそんなことはなく、何かの偶然が作用して二号機の爆発が回避されたのか、それともいくらでもやりようがあったのにもかかわらず、有効な手立ては講じられず、あの事故はマックスまで行ってしまったものなのか?このあたりが知りたいところです。


2019-04-21 10:18:00

今朝は霞がかかり生駒の山並みも白く見えます。

中公文庫で大岡昇平の「レイテ戦記」が全4巻で新装版が出ました。以前の3巻本に比べて活字が大きくなり読みやすいことに加えて関連する対談やエッセイが新たに収録してあります。レイテの戦いを描いたものとして出色の出来栄えなんですが、とりわけ心惹かれるのは日本軍の卑怯な戦術です。海兵隊の前にフイリッピン人の部隊が出てきて、武器も所持していない。アメリカは現地の人とは友好関係を築きたいし、スパイやなんやかやで、友軍の関係にもある、したがって一瞬警戒が緩んだところに後ろに隠れていた陸軍の大部隊から一斉射撃を受け大きな人的な損害を出して後退を余儀なくされる。また日本兵の部隊が白旗を掲げ両手を挙げて接近してくるので、当然投降するのかなと気が緩みます、間合いが詰まったところで後ろの日本兵が機関銃で攻撃してきて大損害を受けたとある。大岡昇平は後にレイテを戦い無事に帰国できた兵隊を訪ねて、この「卑怯な戦術」のことを伝えたところ皆一様に「そらうまいことやりやがったなあ」と心底感心したので、またびっくりしたと書いています。大岡としてはいくら戦争だとはいえ、守らなければならない最低限のルールはあるだろうに、日本軍のやり方はいくらなんでも……というわけですね。大岡の分析では日本兵がこういう戦術に後ろめたさを感じない理由は「アメリカの物量があまりにも卑怯だ」と感じていたからなんだそうだ。

確かに機関銃からバズーカ砲、艦砲射撃、航空機からの爆撃はそれとしても、キャンプには家族同伴が許されていたり、それがない場合もちゃんと慰安所が設けてあってストレスを感じることなく戦闘に臨めるわけですから、それを見せつけられると怒りも増すというものですね。スナックや慰安所で遊び、家族も来ていて、弾薬やら薬から食べ物から天国のような生活を満喫しているヤンキー風情に戦友を射殺されるわけだからその怒りはよくわかる。


2019-04-20 11:06:00

今朝はええ天気で快晴、風もなく穏やかです。

「漫画アクション」はわけのわからない漫画を連載させたりする実験的な面白い雑誌で例の「土竜の唄」の高橋のぼるも「シスターまりん」を連載していた。これはマッドな司祭と汚れなき美人のシスターのどたばた喜劇なんだが、司祭のマッドぶりがなかなかのもので人間の形はしてはいるものの、実は太古の三葉虫やバーチェス頁岩の出た時代の怪虫の遺伝子を受け継いでいるという話で、その男の脳内の描写が奇怪で驚かされた。他にも「おさなづま」とかも変態の旦那と借金のかたに無理やり嫁にされた女の話で女体盛りでお造りを食べたりバカバカしくて面白かった。

「アクション」の最新号に大友克洋と矢作俊彦の「気分はもう戦争」の最新作が載っています。近所のコンビニにはおいておらず、天満橋のジュンク堂に行ってみたら平台に40〜50冊積んであって「お一人様2冊まででお願いします」とある。

それはそうとして内容だが、極東情勢が劇的に変化し、北朝鮮に観光客や投資家が押し寄せてくる話で北がこれまで心血を注いで開発してきたテポドンなどの核兵器は解体され、処分されたことになっていたが、投資家を乗せたバスの近くで爆発が起きてしまう。

爆発を遠景で捉え、手前にバスを置いて乗客の様々な反応がふきだしで示してある。「まだこんなものが残っていたのか⁉️」というまっとうなものもある一方で、「これはアトラクションなんでしょ、すごいねー」とか「弾頭の中に中和剤が入れてありますから、放射線は大丈夫です」とかわけのわからないのも混じっていて楽しい。ポスターも付いていてなかなかお買い得ですな。

昨日仕事で三ノ宮のジュンク堂に出向いて漫画売り場をのぞいたら、アクションはたくさん平積みになっていて特に冊数の制限なんかはないようだった。


2019-04-19 11:09:00

今朝は薄曇りで春たけなわですね。

小島政二郎の「場末風流」は昭和35年に単行本が出てその後一部が旺文社文庫になったんですが、単行本の方は400頁以上あってしかも二段組みになっていて情報量も豊富で今も人気です。

小島はとにかく悪口が止まらない人で誰であれお眼鏡にかなわない芸人、作家に容赦がない。この本でも三遊亭百生のことを東京へやって来たものの人気も出ずまた大阪に舞い戻って「長屋の花見」を演じていたが、嫌味だし、こなれてなくて哀れを催したなどと書く。

小島に言わせれば落語にせよ講談にせよ、歌舞伎にせよみた芸の力ではなく説明して客に伝えようとするのがそもそも堕落だと一刀両断、なるほどまあそうなんだろうがこちらはそれほどの名人の芸を目にしたこともないので感心するばかりだけどね。昔は芸人風情とあからさまに差別していて蔑むところもあったから、よほどの道楽者か、芸に取り憑かれたやつとかしか芸人にならなかったかもしれず、そういう差別が芸を鍛えることにもなったのだろう。

小島も言っているがものがわかりすぎるのも考えものでその名人が死んでしまったらあとはバカバカしくって他のお子ちゃま芸など見る気も起こらない。そのようにしてどんどん世間が狭くなっていくわけです。