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古本屋日誌
今日は朝方は涼しく、しのぎやすかったのだが、次第に日が高くのぼりえらい暑さになった。
1970年代には、街中で行われるコンサートや演劇、映画なんかの情報を記した雑誌があれこれ発行されている。
中でも『プレイガイドジャーナル』は1971年の創刊で、このジャンルの草分けだろう。
イベントの情報は今となっては価値がないように思えるが、この雑誌には色んなアーティストや作家のインタビュー記事や連載もたくさん載っていて、そういうごった煮感がいかにも70年代なのだ。
中でもいしいひさいちはずっと漫画を連載していた。
うちは、その後創刊号(1971年の7月号)から終刊となった1988年ごろまでのほとんどを持っているので、なんとかコンプリートしたいと、この数年努めたきたが、なかなかうまくいかない。
1980年代の半ばに入ると、リニューアルされて判型がかなり大きくなり、ページも増え、著名なアーティストも登場するようになり、何より付録がつくようになった。
とりわけタイガースが優勝、日本一に輝いた1985年は毎月付録がついていた。
当然それを含めてコンプリートしたいのだが、そういういいコンディションなものはなかなかない。
またこの時代京都では『きょうと』(きょうと発行所)や『京都かわらばん』、『きょうとにか』と称するタウン雑誌が発行されている。
『きょうと』は鶴屋八幡が出していた『あまカラ』みたいなやつで、大勢の作家がエッセイを載せていた。
『あまカラ』は今でも人気があるのだが、こっちの方はあまり見かけない。
表紙のデザインが『あまカラ』は凝ったものだが、『きょうと』はサンプルなものだから、その差かもしれない。
『きょうとにか』や『きょうとかわらばん』は繁華街の喫茶店や映画館、スポットのガイドも豊富で読んでいて楽しいのだが、そもそもこの雑誌を知っている人があんまりいない。
山田稔は90を超えても、毎年新刊を出してる興味深い作家だ。
佐藤愛子もそうなんだが、あちらはベストセラーになって、ドラマ化までされているのに、山田の方は今ひとつ知名度が上がらない。
これは、なぜだがわからないが、出版社が、大阪のマイナーな「編集工房ノア」ばかりだということもあろう。
山田は以前は講談社とか河出書房とか、メジャーの出版社から創作集を出していたがこのところは専らノアばかりなのだ。
しかしそのエッセイのような小説はなかなか興味深い。
『幸福へのパスポート』(これも前は講談社文庫に入っていたのだが、今はノア)はフランス留学中のエピソードがあれこれ綴られている。
その中でもフランス人の青年が、アメリカについて山田の思いを聞き出そうとするシーンは面白い。
山田は、初め自分が日本から来たことを紹介する流れで「…今は日本はアメリカとの関係があって…」と話して、意識して「アメリカに占領されていた」と述べることを避けた。
向こうはアメリカに対する感想を聞いてくる。この質問に対しても慎重に対処して、政治的な文脈に流れないようにしたのだが、そのフランス青年は「原爆投下はとんでもないことですよね。私もそう思ってます」と食い下がってくるのだった。
山田によれば、こういうやりとりはフランスでは一般的なもので、質問された日本人がそれを肯定するのが定番の問答になっているというのだ。
連合国の仲間で、ノルマンジー上陸作戦の主力を担い、フランスをナチスから解放するのに尽力したアメリカに対する印象が悪いのは不思議だな。
齋藤なずなの新刊『野菊の墓』が出た。伊藤左千夫の小説を漫画にしたものだ。
2人のデートシーンなんか、叙情たっぷり、野原で戯れる妖精のように描いてあって面白かった。
ただ、女が二つ上で結婚は許されないという小説の展開は、今となっては理解が難しい。従兄弟同士の2人が思い合ってることなど、すぐわかるのに周りが別の男と結婚させる展開もよくわからない。
女の方も辛い姿を見せながらも、従ってしまうし、ラストの産後の肥立が悪くて死んでしまうストーリーも今となってはリアリティに欠ける。
昨日はBOOKOFFの心斎橋店に、お昼前に出向いたのだが、俺の見るところ、すごい本がいっぱい並んでる印象はなかったな。
特売日ということもあって、お客さんも多く、外国人客が三階の漫画売り場から、セットものを買う姿もあった。
また2階の文庫本売り場の100円均一(税込110円)本の大半が、120円に改定されていてその値段のシールが貼ってあった。
今までの値段のシールの上にまた新しく貼るのはめんどくさくないだろうか。
俺なら在庫はそのままの値段で販売して、新しく出す本から値上げするけどね。まあ余計なお世話だよな。
今日は30日で、明日が一斉の「棚卸し」店休日なので、仕事をしてから三ノ宮のセンター街店にも行ってみた。
この店は確かにいつもよりもいい本がたくさん並んでいたのだが、それはたまたまかもしれないし、土日は客が多いからたくさん本をストックから出すようになっていて、量が増えるから、必然的にいい本が混ざっているだけなのかもしれない。
(わしの友人は昨日三条京阪のBOOKOFFに行ったとのことで、『いや、ナーンも品揃えは変わってなかったな。ええ本は特になかったな』という報告を受けた)
というわけで、徒労に終わったわけだ。
そもそも店の棚はすでに本で満杯なんだから、新しく出そうとなれば、棚にささっている本を抜き取ってどこかに移動させなければならない。そんな場所はないし、第一大変な労力がかかる。だから店の本棚に急にいい本が増えるなどということは起こらないだろう。
(よしんば不正があって、本を戻すとしてもバックヤードに戻すだろう)そこに気づくべきだったなあ。
今日は29日でブックオフ各店では(やらない店もあるが)特売日で、250円買うごとに50円の割引券がもらえたり、300円引きにしてもらえたりする。
つまりは2割引きになるということなんだが、大した値引きではないし、そもそもいい本があるとは思えない、と考えて出向いたことはなかった。
しかし今回、ブックオフは例の架空買取で揺れていて、関西の店舗ではその多くが7月1日に「棚卸し」のためだとして閉店する。
架空買取というのがどういうことなのか、詳しい報道もないのでわからない。
でも、まるっきり本を仕入れてないのに、仕入れたことにして、その買取代金を従業員が着服するなどということがあるのだろうか。
というのも、仕入れの時は本のバーコードをスキャンして登録するわけだから、存在しない本はスキャンも出来ないだろう。
それにBOOKOFFの買い取り価格はそんなに高くないのではなかろうか。
これは当たり前の話で、あんな市街地のいい場所に大きな店舗を構えて、快適なコンディションを維持するわけだから、従業員は大勢雇わないとならない。あれこれ経費はすごくかかる。そのためには買取価格は抑えるしかないだろうと考えるからだ。
それよりか実際に客が持ってきた本を買い取って、客には買取代金を支払うのだが、買い取った本は店に出さずに、店員がもらってしまうという方がリアルな感じがするのだ。
帳簿上は本が在庫としてあるのだが、実際は存在してないかもしれない、だから会社としては、棚卸しをしてその有無をチェックしようとというのではなかろうかと思うのだ。
ということで棚卸しで本がないことがバレてしまうとまずいので、今まで隠しておいた本を店に戻すのではなかろうか、と考えて、つまりいい本があるのではなかろうかと邪推を働かせて今日行ってみたのだ。