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前回は「資質」について説明したが、今回は「育ち方」について説明しよう。
現代経営者の条件(18) |
[5]よき経営者の姿(4)
(4)育ち方
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経営者が育つ3つの条件
経営者が育つことの本質は「自生」であり、「自育」である。
1.高い志
高くはるかに遠くを見わたす志の目標と、足下を見つめる低い目線、その両方をもっている人が、よき経営者として育っていく。
2.仕事の場の大きさ
若いころに経験する仕事の場の大きさである。大きな仕事の場には、深い悩みとぎりぎりの決断を迫る状況が生まれるであろう。その決断の経験が、「決断の要諦」をその人に学ばせる。
さらに、大きな仕事の場は、しばしば混乱の場でもある。その混乱の中で、ごたごたを整理整頓しなければ,事は前に進まない。その整理整頓には、細かな目配りがどうしても必要になる。一つのミスをしても、全体が止まってしまう。
その目配りの積み重ねが、その人の視野を広くし、かつ他人に対する温かな目と厳しい目の両方の必要性を深く刻み込む。こうした大きな仕事の場の経験の総体が、人が育つための土壌と肥料になっている。人は、仕事の場の大きさに応じて育つ。
3.思索の場の深さ
深い思索の場をもつように努力している人は、その考えるプロセスから物事の道理を自分で発見していく。経営について、人間行動について、社会の動きについて、よき経営者は自分なりの考えをもっているのが普通である。
その考えは、「暗黙の理論」と表現すべきもののように思える。自らの経験を蒸留し、他者からのインプットを吟味して、自分なりの論理をもっている。よき経営者の話が多くの人を納得させるのは、たんに情緒的に訴えているからではない。
論理的だからこそ、わかりやすい。その論理を、よき経営者は自ら作っていく。なぜ彼らはそれをできるのか。それは、彼らが深い思索の場をもっているからである。
②候補選び:志のある人を選ぶ
1.経営者の候補としての選ぶプロセスの整備
・経営者の3つの資質(エネルギー、決断力、情と理)のすべてについてポテンシャルがありそうな人。
・志の高い人。その人が心の奥底に秘めているものである。(二世経営者の要件)二世経営者で大きく育つ人は、小さいときから、自分の立場を認識し、大きく成長する努力をしている人。
2.選ばれた人のプ-ルに対して「育ちやすくする」ために何らかの環境整備を行う
・大きな仕事をかなり若いころから経験させるような人事配置。
◎子会社の経営 ◎大きなプロジェクトの責任者 ◎子会社を設立して新規事業経営
◎海外での長い事業経験