withコロナ リアル店舗の大変革

 

コロナ禍で人と人との密な接触を自粛する動きが広がり、飲食店や小売店は大打撃を受けた。そんな中、注目を集めるのが、ロボットやアバターを使った“コンタクトレス(非接触)”な接客だ。単なる接触回避にとどまらず、リアル店舗の価値をより高める可能性もある。ロボット接客の最前線を追った。

飲食店や小売店でロボットの試験導入が相次ぐ。本格展開も間近に迫っている
飲食店や小売店でロボットの試験導入が相次ぐ。本格展開も間近に迫っている
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 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、飲食店や小売店は、できる限り人と人との接触を避ける「コンタクトレス化」を実現するための方策が、業界全体のテーマの一つになっている。こうした中、そのコンタクトレスな接客をロボットによって実現しようと試みているスタートアップがQBIT Robotics(東京・千代田、以下QBIT)だ。

前回(第2回)はこちら

 2020年1月、池袋駅南口に程近い養老乃瀧グループの居酒屋「一軒め酒場」の一角に、一風変わった居酒屋「ゼロ軒めロボ酒場」が期間限定でオープンした。目玉は、店名の通り、人間ではなく、QBITが開発したロボットシステムが生ビールやハイボールなど数種類のドリンクを作り、提供する前代未聞の店であることだ(関連記事:「養老乃瀧の『ロボ酒場』 機械の店員はテーブル3台分を稼げるか」)。一般的な居酒屋には「ドリンカー」と呼ばれるドリンクを作る専門のスタッフが配置されているが、その役割をロボットが見事に代行している。

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超ハイスペックロボットは必要ない!

 注目すべきが、店への本格導入を視野に、研究室レベルの超ハイスペックではなく、現実的なスペックや仕組みで構築されていること。従来、先端技術の展示会などでこうしたロボットが披露されることはあったが、あまりにも高額だったり、エンジニアが張り付いていないと安定稼働できなかったりと、実店舗への導入実現性が乏しい面は否めなかった。