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2019-09-14 21:40:00
シンガポールのスーパーでは、ひし形のハラール認証マークが付いた商品をよく見かけます。これは、タイのハラール認証機関CICOT(通称サイコット)が付与する「ダイヤモンドハラール」と呼ばれるマークで、ムスリムの方が食しても宗教的に安全であるということを示す重要な役割があります。2000年にタイ政府より発表された国家政策「Kitchen of the world」を背景に、タイ産製品の輸出拡大を目指すタイでは、この認証マークの付いた商品の輸出拡大に向けた取り組みが行われています。
 
 タイにおいて輸出促進を担うのは商務省貿易振興局(DITP)です。DITPではハラール食品の輸出促進に向け、(1)UAEのGulfoodやマレーシアのMIHASといった6つの大型展示会への出展やインストアプロモーション、(2)起業家・ビジネス実務者を対象としたセミナーや新南部5県での商品開発支援、(3)Thailand Halal Assemblyや専用ウェブサイトを通じたハラールマークの継続的なPR、の3点を2020年に行うとしています。
 
 取材をさせていただいた、DITP DirectorのPrajongporn氏によると、タイにおけるハラール商品の海外輸出額は現在世界13位となっており、2016年から2020年までの5か年計画の中で、輸出総額を世界5位にまで上げることを目指しているそうです。年によって成長率に変動はあるものの、実際にハラール商品のOIC(イスラム協力機構)諸国向け輸出額は、2016年から2018年にかけて右肩上がりに伸びています。世界経済のあおりを受け、当初より伸び悩んでいるそうですが、今後も長期的な計画で輸出拡大に力を入れていきたいとのことでした。
 
 タイでは2017年以降Halal4.0の時代を迎え、IoTの活用により、製造者・認証機関・消費者・商品がデジタルでつながり、より安心安全にハラール商品を購入できるようになりました。実際に携帯端末から認証を受けた商品の情報を検索できるアプリケーションも導入されており、タイのハラール商品をより身近に感じられるようになっています。2018年時点で、タイのハラール認証を受けた工場は6,000か所、認証品は16万4,000種類。世界のハラール市場を狙うタイの取り組みは今後も注目に値します。

                                         シンガポール事務所 所長補佐 石渡