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 コメダ珈琲店を展開するコメダホールディングスが、三菱商事と業務提携すると発表した。コメダは7日に唯一の空白だった青森県に出店を果たし、全国制覇を達成したところ。次に見据えるのは海外市場で、総合商社である三菱商事とタッグを組んだ。

 

 コメダ珈琲店は1968年に創業者、加藤太郎氏が名古屋市に店を構えたのがはじまり。店員が客席に誘導して注文を聞き、配膳をするフルサービス型の喫茶店で、トーストやゆで卵などを無料で提供するモーニングサービスや、名物スイーツ「シロノワール」などを強みに拡大を続けてきた。

 両社に接点ができたのは、昨年9月のこと。児童労働や熱帯雨林の乱伐などを排除した、サステナブルなコーヒー豆を求めるコメダHDに、三菱商事が自身も出資するシンガポールの農産物商社「オラム・インターナショナル」を調達先として引き合わせたのがきっかけだ。

 コメダは2017年度から海外進出をスタート。現時点で中国で2店舗、台湾で3店舗の計5店舗を展開中で、19年度中には台湾でさらに7店舗を新規にオープンする予定だ。ただ、「海外事業の担当部署は数人程度の小所帯。非常に少人数で回しているのが現状」(担当者)で、進出の規模とスピードを上げるためには三菱商事との提携が有効だと判断した。

 6月末に、保有する自己株式約8.9億円分を第三者割り当てで三菱商事に売却する。三菱商事の出資比率は0.95%になる。三菱商事からの人材派遣を受けるなどしながら、中国、台湾での出店加速や、東南アジアへの進出を目指す。

 合わせて、三菱商事系の共通ポイント「Ponta(ポンタ)」の導入も視野に、データマーケティングを活用した商品や店舗展開の見直しも進める考えだ。

 中国や台湾の店舗でも、内装やサービスは日本と同じで、価格もほとんど変わらない。コメダの提供する「名古屋式」サービスは現地でも好評だという。三菱商事というパートナーを得て、名古屋スタンダードはどこまで広がりを見せるのか。