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今回は、「日本企業の将来像」についての「グローバリゼーションの方向づけ」と「おもてなしの心」について紹介しよう。
日本企業の将来像(5) |
(6)グローバリゼーションの方向づけ
グローバリゼーションの進展しない要因
多くの企業が「グローバリゼーション」を唱えながらも、現実には遅々として進んでいない。
これは言葉の問題、進出している国の文化・風習・習慣・宗教の無理解ばかりでなく、人そのものの「価値観」を理解できていないことにある。
「グローバリゼーション」で、最低限確立しておかなければならないことは、現地人として居住することによって、その国を熟知し、その国の言葉を話していかなければならない。
しかし、どの国の言葉というのが無理な場合は、最低限「英語」を話し、「英文」を読め、「英文の契約書」を理解できるようにすることである。
現地主義
日本の得意な「現場力」を発揮できるのが「グローバリゼーション」における「ローカリゼーション」である。
重要なことは、進出を予定している国にスタッフを送り込み、一定の期間生活をさせて、その国の言葉、文化・風習・習慣・宗教ばかりでなく、政治・経済・産業のあり方についての知識を習得し、さらに人の「価値観」と「人的ネットワーク」を構築していくことである。
世界のスタンダードの確立
日本の企業が案外と不得意とする「マネジメント・システム」は、絶対に欠かせないので「世界のスタンダード創り」を最優先にしなければならない。ここでは「サイエンス」の力を100%活用しなければならない。
しかし、すべて押し付けるのではなく、「何%」かを「現地の創造力」を生かす余裕を持たせることが重要である。
つまり、「ピープル・ビジネス」として位置づけ、「おもてなしの心」を発揮することである。しかし、企業活動の根幹にかかわることは、絶対に妥協をしてはならない。
リスペクトされる企業
「グローバリゼーション」で、最も重要なことは、日本企業としての「リスペクト(respect:尊敬)」されることである。
そのためには、企業活動が「日本企業の文化の良さ」「帰属意識の高さ」を表現できていることと、相手を「尊敬」する「礼儀作法」や「おもてなしの心」が完全に出来ていることである。
外から見る日本企業
「グローバリゼーション」を展開する場合には、外から日本企業をみつめる必要がある。
日本国内でしか企業を見ていないと、本当の日本企業の良さや問題点を見失ってしまう。したがって、グローバルな視点から逆に日本企業の再点検を行わなくてはならない。
なかでも、「ハングリー精神」が欠かせない「起業家精神」が喪失していることが極めて多いのも日本企業で、海外進出に失敗している企業の特質の一つである。
重要なことは、元々当該企業が創立した場合に、「起業家精神」が存在していたのであるが、時を経て「創立趣旨」が語り継がれていないところに失敗の要因が存在していることの認識がないことである。
(7)おもてなしの心
「グローバリゼーション」で、日本企業が最大に誇れるのは、「おもてなしの心」である。世界的には「ホスピタリティ」ということで寺院の巡礼者に対する接遇から出発しているが、日本では「お遍路」さんへの「おもてなし」、「礼儀作法」や「茶道」から出発した「おもてなしの心」がある。
日本にも外資系の世界に名だたる「ラグジュアリー・ホテル」が続々登場するようになったが、これらの企業は全部が全部「日本の文化」である「おもてなしの心」をベースに入れているが、これこそ「グローバリゼーション」における「ローカリゼーション」である。
そして、これらの「ラグジュアリー・ホテル」は、他の国に進出していくときの「おもてなしの心」を生かしているのである。
「おもてなしの心」は、個人的な要望をきめ細かく、先取りして「接心」でお迎えからお送りまで気持ちよく「おもてなし」を提供し、お客様はお帰りのときには「感謝」して、「また来るね」という気持ちにさせてくれるものである。
海外からのお客様は、この見事な「おもてなしの心」を受けて「エクセレント」を感じられている。
この「おもてなしの心」の根本的な考え方は、「一期一会」で「お客様に幸せになって欲しい」という心で「愛情」「親切」「礼儀」が込められていることである。