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古本屋日誌

2019-12-09 11:51:00

神戸の進学塾の社会の先生が60になったために、継続雇用となったのだが、時間給が2割削減されたのは不当だとして、神戸地方裁判所にその撤回と給与の減少分の支払いを求める訴訟を8月に起こした。

この先生は正社員ではなく非正規の労働者で時間給で授業だけを担当している。60になるとやっている仕事は従前通りの授業で、何も変わらないのに給与だけは大きく減らされる、これはおかしいということだ。

先月の2回目の公判では契約交渉の際の録音が証拠として提出されて「この時間給は不当で認めない、ただ今契約書にサインしないと契約が打ち切られてしまうので、サインはします。ただ時間給は納得していないので、今後会社と交渉する」との発言が録音されていて、会社も交渉することを了承していました。

さて今月19日の11時から神戸地裁で3回目となりますが、この進学塾の担当者は非常勤講師が60を迎えた後は再雇用ではなく、雇用延長だと述べていました。

再雇用であれば、それは一旦雇い止めとなって新たに契約を結び直すわけだから、時間給や労働時間も含めて従来の契約にこだわらず契約できるだろうが、雇用延長となれば当然これまでの契約が適用されるわけだから、一方的に時間給を2割も削減するのは不当ということになる。

このあたりを裁判所がどう判断するのか興味深い。


2019-12-08 11:23:00

高島俊男の「お言葉ですが」は随分長らく週刊文春に連載されていたが、何かタブーに触れて連載打ち切りとなってしまい、その後連合出版から続編が出ている面白いことばエッセイだ。

単行本化する時に連載後読者から届いた情報を加え、さらに文春文庫に入る際にはその後の動きも加えて増補されている。

今回ようやく文庫版の10巻揃いを入手できました、ぜひお求めください。その4巻目「広辞苑の神話」には広辞苑の初版が昭和30年に刊行となった話があります。

だいぶ昔ですが、それでも広辞苑と同じ規模のかなり大型の国語辞典はいくらでもあった。「言林」が全国書房から、「新編国語辞典」が国民図書刊行会から、「辞海」が三省堂から出ていたという。また「広辞苑」そのものも博文館の「辞苑」の改訂版であった。

というわけで広辞苑だけが注目されたのは発行所の岩波書店が知の巨塔、大いなる権威として君臨していたからだという話です。

それはそうとこの本には芭蕉が金沢で詠んでのちに「奥の細道」に収められた「残暑しばし手ごとにりょうれうり茄子」の話も載っています。

「りょうれ」というのは名詞の「料理」を活用させて動詞の命令形にしたものです。「カレーでもりょうろうかな」とか「昨日もカレーりょうったやろ〜〜ええ加減にしときや」みたいな感じで使う。

まああれですな、天才には文法とか言葉の制約などという下世話なものはありません。

ただ「奥の細道」には「残暑しばし手ごとにむけようり茄子」と改作されて載っている。

弟子からなんか言われたのかなあ〜〜それとも句会の時は酒飲みすぎてやらかしてもうたわ〜〜〜〜なんだろうか。 


2019-12-07 00:00:00

ようやく小林信彦の「東京のロビンソン・クルーソー」を入手しました。
一読して小林が民主主義の価値を信じていたことに改めて驚いた。マークゲインの「ニッポン日記」のことは小林の週刊文春で度々目にしていて、例の日本国憲法のマッカーサー草案を日本側に提示する場面で「今日はよう晴れとるなあ、原子の光が輝いとるなあ」と言い放って原爆を背景に日本側を脅迫した話を書いていた。
この本でも「ニッポン日記」には触れているのだが、GHQは民主主義を推し進める側と、反共の防波堤に日本を仕立てようとする側に別れてしまっていたとか、アメリカ本国からマッカーサーを飛び越えて指令が来て鶴の一声で決まってしまう話が書いてあって、要するに小林信彦は残念なんだな。
日本を徹底して民主化しようとするグループが敗れ去ってしまったことを嘆いている。
60年安保の話もあって樺美智子の死因を警察が隠蔽している話とか、その後右翼が国会周辺に詰めかけて「岸は人殺しだ‼️」とか「国会の門をぶち破れ‼️」とか叫んで学生を挑発して警官隊と衝突させようとしていると小林は批判する。
まああれですね、小林信彦は人が殺されたことや手続きを踏まずに国会に突入するような民主主義を踏み破ることが嫌なんですね。
私は国会とか手続きとか何の意味もないと思うので、60年の時も徹底的に国会に突入して破壊して欲しかったけどね。

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2019-12-06 12:27:00

千林に行ってみて商店街の楠書店がずっと2割引セールをやっている。
店主の娘さんがいたので聞いてみたら父親は腰を悪くして店に立てる状態ではなく全品2割引にして、切りがついたら閉店するのだという。なんでも齢90になっているそうで、確かにその年齢で重たい本を扱う商売は苦しかろう。
この店はうなぎの寝床のような細長い店内の両側とセンターの本棚は天井まで本で埋め尽くされているのみならず、左側の本棚の前にはこれまたうず高く天井を目指して本が積み上げてあったので本棚を見渡すこともできなかった。
しかしさすがに昨日は本棚の前にあった本は撤去してあって初めて全体を見渡すことができて、意外なことに谷崎と棟方志功がコラボして作った「瘋癲老人日記」や「鍵」「夢の浮橋」なんかがえらくたくさんあった。それぞれが3冊くらいは置いてある。
これは箱と本体に棟方志功がえらく凝った彫りを施していてみている分には楽しく、豊かな気分になれるのだが、何分にも大型本で場を取るので従来敬遠されていて100円内外で売られていたものだ。

今はさすがに7〜800円になったが、それでも安い。ところがこの古本屋のやつはどれも昔から2500円くらいしていて、「必ずこの本はこの値段でも十分安いといえるまでになる」というような強い思い込みが感じられた。


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2019-12-05 12:09:00

雑誌「大阪春秋」最新号はシナリオライターの長沖一の特集号で、長沖が本格的にプロレタリア作家だったことがわかってびっくりした。

大阪高校から東大というルートは藤澤桓夫と同じで、藤澤も左傾していた時期があったからなあ。

小林多喜二の「工場細胞」のマネみたいな作品が復刻されて載っていたけど、さて評価できるレベルなのかというと難しい。

この雑誌には藤澤桓夫が長沖に宛てた書簡も載っていて「怠りなく精進して小説創作に励むように」とか「先月の小説はつまらなかった、もっと粘り強い描写が必要だ」とか叱咤激励する内容で、藤澤が自分の小説に自信を持っていたことがわかってこれまたびっくりした。

藤澤桓夫の小説もご多分にもれずくだらないもので、とうてい再読にはたえない。

まあ時代ですよね〜〜需要があれば供給もある、そんなもんだとみんなが思っていたらそれでいいわけです。

アメリカの中流階級の家はそもそも床暖房を入れっぱなしで、つねにぬくい。家の外壁には油を溜める巨大なボンベが付いている。

我々は外出時はストーブも消すし、床暖房も付けっ放しにはしない。でもまあこれは好みの問題だからそういうものでしかない、ただ光熱水費はアメリカの方が圧倒的に高いことは確かだ。

われわれだってなぜかわからないが休みになると旅行に行きたがる。多大な旅費と宿泊費に加えてただ電車や飛行機に揺られている長い時間をものともせずに出かけていく。

名所旧蹟といっても大したことはなく、うまい飯とかいっても大阪でいくらでももっとうまいものが安く食べられる。