Welcome

古本屋日誌

2019-12-24 15:17:00

渋谷直角の「さよならアメリカ」を入手しました。ぜひお求めください。
アメリカのアンティークにかぶれている主人公アンディがカフェを開いたのだが、ふとしたことからウォーホルのノートを見つけて一躍時の人となる。
トランプ大統領の来日の歓迎晩餐会にアンディもよばれるのだが、「ふさわしくないし、興味もない」と断るのだがアメリカ側は何と安倍総理に手を回して、安倍が直接やってきて「日米の平和のためにぜひ出てもらいたい」と説得されてしぶしぶ出席、パーティではトランプがやってきて「おれのトランプタワーに飾る彫刻を依頼したのだが、仕上がってみたらトランプタワーには全然そぐわないくだらない作品だったのに、そいつはさっさと金を払えと言いやがる」などと一方的にまくし立てる。
やがてアンディはウォーホルのノートを盗んだのではないかとかアメリカに行ったこともないのに数え切れないほど渡米したと嘘をついているとか噂をたてられ苦境におちいる。
するとウォーホルの遺品を管理しているアメリカの団体はどう手を回したのか、渡米記録がたくさん押してあるパスポートを偽造して公開したり、ウォーホルのノートが盗まれた時にはアンディは渡米していないと証明してみせたりした。
この度重なる押し付けがましさに耐え切れなくなってアンディは「アメリカなんか大嫌いだ‼️‼️」となってしまう。


iPhoneから送信


iPhoneから送信


2019-12-23 09:42:00

スティーブン・ピンカーの「21世紀の啓蒙」の下巻にはキューバ危機の話があって、従来核戦争の一歩手前までいっていたとなっていた。とりわけソ連の潜水艦の話は背も凍るような恐怖を覚えるものだった。

 追い込まれたソ連海軍の艦長がアメリカ艦隊に核魚雷を発射しようとしたが、副官が何とか押しとどめた、という話だったのだが実際は艦長が自分の判断で取りやめたのだという。これを含めてキューバ危機では実はアメリカ側も、ソ連の方も現実的に核戦争を意図したことは全くなかったのだという。

そうなのかあ、岩波新書の「核先制攻撃症候群」にある通り、アメリカもソ連も敵が核ミサイルを発射したことを感知した場合、それが着弾するまでのわずか数分の間に直ちに応戦して報復の核ミサイルを発射するか、それとも実はこの情報はフェイクかもしれず、よく確かめもせずに応戦してしまったら大変な事態になると慎重に事態を見守るかを決断しなくてはならず、当然直ちに応戦の選択肢を誤って選んでしまう可能性も十分にある。

また北朝鮮が核兵器を保持していて、しかもそれはアメリカ本土をも脅かすICBMであるからこそ、アメリカから譲歩を引き出すことができた。つまり核の軍事的なプレゼンスは圧倒的に有効だということだ。

ピンカーの主張は少し楽観的すぎるようにも思える。

まあ確かに政治は結果責任の世界であって1945年の長崎へのアメリカの不当な原爆投下以降は核兵器は使われたこともないわけだから杞憂なのかもしれないが、心配事はそうなる可能性を否定できない。


2019-12-22 11:19:00

雑誌「フリースタイル」に連載中の山上たつひこの「大阪弁の犬」は2017年に単行本化となっていて入手できた。

山上は「がきデカ」や「喜劇新思想大系」などで知られる天才漫画家なんだが1990年に引退してから小説やエッセイをよく書いている。

徳島の生まれだが幼い頃大阪に移り住んで貸本漫画の出版社の日の丸文庫の社員になり作家デビューをしたことはよく知られている。

この本では初めは旭区の大宮町に住んでいたことを知った。

家の前を小さな川が流れていたが、ドブ川で真っ黒な異臭のする水に発泡スチロールやらゴムまりやらが浮かび、徳島の清流を見て育った山上は世紀末的な無常観を植え付けられたようだ。

やがて日の丸文庫に就職するが住処は心斎橋の大丸とそごうの間の道を西に歩み阪神高速道路を超えたあたりで、勤務先の日の丸文庫のほん近くだったのだが、高速から排気ガスの異臭が漂い、これも山上にはこたえたようで、いつも40分かけて靱公園まで歩いて行き癒しを求めたという。

まああれですね、農本主義のような、自然回帰、ソローみたいな感性は高度成長期をまたいで生きてきた人にはありがちな感覚ですな。

山上は日の丸文庫の同僚編集者だった山松ゆうきちのことも書いているが、彼が背も低く、足も短く肥満なのに、クリクリした大きな目や太い眉毛が魅力的なのか、イケメンの自分を差し置いて女にモテていたと悔しそうに書いていて面白い。

また日の丸文庫が出していた「魔像」を振り返り辰巳ヨシヒロをその当時読んで評価できなかったことを悔やんでいるのだが、辰巳ヨシヒロて今読んで面白いでしょうかね?

「少年マガジン」に短編連作で描いていた「東京姨捨山」とかはまあありかも知れないけれど、現代的な価値は感じられない。

この辺が天才の面白いところでものを評価する基準が歪んでいる。山松ゆうきちなんか、どう考えても天才作家でしょう。貸本時代から「チャンピオン」を出版して、人物的にも魅力的なんだけど、山上たつひこには単に女にモテる変なやつでしかないとはね〜〜

山上たつひこはその後「チャンピオン」に「がきデカ」を連載して一躍時代の寵児に躍り出るのだが、鴨川つばめが始めた「マカロニほうれん荘」に衝撃を受けた。「こんなハイビートのギャグは俺には到底無理だ」とショックに打ちのめされ、絵柄も影響されてこまわりくんのみならず西条くんやジュンちゃんとかまでえらい頭でっかちの体型になってしまったという。

のみならず表紙に「がきデカ」が採用されなかったり、表紙の「がきデカ」の文字が小さかったり、4色刷が2色刷になったりした時、編集長を呼びつけてネチネチ文句を言いつづけたとあるから、天才でもわからないものだ。

 

 


2019-12-21 11:50:00

店に買い物に来た老人にどう声をかけるのか、カード決済とかネット系の支払いではなく、現銀でのんびりしている時には「現銀ていちいちあれせなあかんから邪魔臭ないですか?」とか嫌がらせに取れるようなことを言ってきた。
もうわりと前のことだが古本屋の仕事をしていてレジだったんだが、文庫本をこうてくれた老婦人が
「あのなあ、年寄りにお元気ですか?ゆうのはあかんねんでー
お変わりなさそうですなゆうのがええんや。
ほしたら『どうもおおきに』と話が落ち着くねん」とか言うてくる。
まああれですね、見苦しいよな、いちいち気をつけて話をしなさいという態度がそもそも老化を示している。
普通は相手を慮って、向こうの都合に合わせてこっちからゆうものだよとは思ったが、「む、むつかしいですねー、ほんまにむつかしい〜〜」と応じた。

雑誌「フリースタイル」の最新号は例によって漫画の特集なんだが山上たつひこが「大阪弁の犬」を長らく連載している。

今号は千林商店街にあった行きつけの古本屋の話を書いている。大通りに面している店と、入り組んだ路地にある店がお気に入りでどちらも本の大半が漫画だったという。そこで手塚治虫や「のらくろ」の初版本を手に入れたり、買いそびれて今でも悔やんでいる楳図かずおの本があったりしたという。

そうなのか、昭和30年代の千林商店街には漫画専門といえるような古本屋があったんだなあ。ここは「庶民の街」ということで品物が安いからかなり遠くからも客が押し寄せる商店街で「主婦の店、ダイエー」もここが一号店だ。だから大衆娯楽として手塚治虫やのらくろや楳図かずおが幅を利かせていたわけで、いい小説もあるけど漫画の方がすごいやん⁉️というのがまともな大衆の感覚だったのではないかな。

それにしても山上たつひこはかなりいい本を持ってそうだな、ぜひ買い取りたいものだ。

 

 



iPhoneから送信


iPhoneから送信


2019-12-20 09:23:00

昨日11時から神戸地方裁判所で、雇用延長裁判の3回目があった。

神戸の中学受験の進学塾に勤務する非常勤の社会の先生が60を越えて以降、時給が2割減らされたのは不当だと訴えた。

非正規雇用なので仕事は生徒に勉強を教える授業に限定されていて、これは定年前もその後も何ら変わりはなく会社からの評価もすこぶる高い、それにもかかわらず時間給や担当時間数も減らされて年収は6割くらいになってしまっていた。

前回の裁判ではこの先生が会社と契約の話をした際の録音が証拠として提出され、「提示された時間給に納得できない。しかし今判をつかないと解雇されてしまうからサインはする、しかし時間給については今後継続して会社と交渉したい」との内容で、会社の担当者も了承しているように聞き取れます。

今回会社側がどのような反論をしてくるのか注目されていました。

結局契約交渉を行った担当者の証言を出してきました。「先生が提示された時間給に納得していないようには思えなかった」という内容なんです。

でもまあ録音があるのにかなり苦しい弁明に思えました。次回は来年の2月17日に決まりました。証人尋問などに進む見込みです。