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古本屋日誌
2019-12-23 09:42:00
スティーブン・ピンカーの「21世紀の啓蒙」の下巻にはキューバ危機の話があって、従来核戦争の一歩手前までいっていたとなっていた。とりわけソ連の潜水艦の話は背も凍るような恐怖を覚えるものだった。
追い込まれたソ連海軍の艦長がアメリカ艦隊に核魚雷を発射しようとしたが、副官が何とか押しとどめた、という話だったのだが実際は艦長が自分の判断で取りやめたのだという。これを含めてキューバ危機では実はアメリカ側も、ソ連の方も現実的に核戦争を意図したことは全くなかったのだという。
そうなのかあ、岩波新書の「核先制攻撃症候群」にある通り、アメリカもソ連も敵が核ミサイルを発射したことを感知した場合、それが着弾するまでのわずか数分の間に直ちに応戦して報復の核ミサイルを発射するか、それとも実はこの情報はフェイクかもしれず、よく確かめもせずに応戦してしまったら大変な事態になると慎重に事態を見守るかを決断しなくてはならず、当然直ちに応戦の選択肢を誤って選んでしまう可能性も十分にある。
また北朝鮮が核兵器を保持していて、しかもそれはアメリカ本土をも脅かすICBMであるからこそ、アメリカから譲歩を引き出すことができた。つまり核の軍事的なプレゼンスは圧倒的に有効だということだ。
ピンカーの主張は少し楽観的すぎるようにも思える。
まあ確かに政治は結果責任の世界であって1945年の長崎へのアメリカの不当な原爆投下以降は核兵器は使われたこともないわけだから杞憂なのかもしれないが、心配事はそうなる可能性を否定できない。