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古本屋日誌
去年、高橋篤史が講談社から『亀裂』を出した。
金持ちの家の内紛を詳細につづった本だ。
金持ち喧嘩せずと、われわれ貧乏人はなんとなく思っているが、もちろんそんなことはないのだ。
大塚家具の骨肉の争いはよく知られているし、セイコー(服部時計店)の内紛も大変なものだ。
そのあたりは読んでいただくとして、面白かったのは振り込み詐欺の話だ。
セイコーの会長が、NTT株の裏取引を持ちかけられてまんまと50億円を騙し取られたのだ。
NTT株を大蔵省が一定隠し持っているなどというヨタ話に乗せられてしまうのだから、バカはどうしょうもない。
でも面白いのはそこではない。
会長は50億払い込んでしまい、さて、株の取引をする約束の場所に出向いたら
「今日は整ってない」と言われて数回にわたって延期されてしまう。
いつまで経っても履行されないので会長側は業を煮やして返金を求めた。
すると一旦、全額の50億円が戻ってきたのだ。
それで信用を深めたのか、「次は用意できる」とこ甘言にひっかかり、また50億振り込んでしまうのだ。
そして今度は、その金は戻ることはなかったのだ。
面白い話だよね。
だってなんで犯人は一旦金を返したんだろう。
捕まるリスクを高めただけじゃない。
「今回は手付けで5億振り込んでもらえますか、株の準備をしますから」とかいってある程度の金を振り込ませ、「すみません、不調になりましたから、一旦ご返金いたします」といって金を返して、信用させて、次に50億円振り込ませるのだったら、理にかなっていよう。
でも今回はもう50億円手にしているわけだ。
返すいわれなどどこにあるのだろう。
金持ちもバカだが、詐欺師もバカだよねあ。
ちくまプリマー新書で法政大の湯澤規子が『ウンコの教室』を出した。
タイトルはまるで大塚ひかりみたいだよなあ。
この本は小学校で大便(大阪ではババ)が出来なかったことを考察した本だ。
男子はババをしていることがすぐわかるから、女子に比べて学校でやらない割合が高いという。
またその理由は次のとおりだ。
恥ずかしい、みんなから囃し立てられる、学校のは汚い、臭い、濡れていて気持ち悪いなど。
確かに昔の小学校のトイレは男女兼用だったり、水をかけて掃除するのでつねに便器やそのまわりが濡れてたりしたなあ。
小学校の低学年では「あそびに時間が取られて、する時間が取れない」というのもあった。
確かに短い休み時間だから、ババなんかしてる場合ではないよな。
俺は1960年代に大阪市の清水ヶ丘と安立の2つの小学校に通ったが、確かにババをすることはなかったな。
俺はその当時からクラスの連中はバカばかりと、自分と対等の存在だとはまったく思っていなかった。
だからババをしに、堂々と便所に入ったのだが、たちまちクラスメートの知るところとなり、大のドアの前に大勢がひしめきあって奇声を上げ、あげく、バケツに入れた水を上からかけてくる始末。
また2年の時には、通っていた書道教室のおばさんの先生が、室生を前に「あんたらな、うちのな、横のな、壁あるやろ。あそこにババしてるやろ。わかったあんねんで」とからんできた。
「そんなもん犬のクソちゃうのん」と反論したら
「犬のんかどうかなんか、先生はちゃんと見てわかったある。ごまかそ思たかて、そうはいかへんで❗️」とおっしゃる。
「形はおんなしやで、そんなもん犬や犬犬❗️」とゆうたら、
「何ゆうとんねん❗️先生はな、あんじょうにおいもかいだあるんや❗️犬やない❗️あんたのやつや❗️」
バカだよなあ。臭いなんかかいでんと、さっさと掃除しろよと思ったよ。
昨日から河原町三条下ルの丸善の地下二階で『へんちんなんまへーん』と称する小規模な古本市が始まった。
見てみるとSFの文庫本をたくさん出している古本屋がある。
なんでも近鉄の宇治山田駅近くにある「ぽらん」という店で、創元推理文庫の「神の目の小さな塵』上、下二巻が12000円で出ていた。
この本は少し前までは100円とか200円くらいで売られていたものだが、ごく最近amazon価格が急騰して、まさに12000円くらいになっているのだ。
理由は不明だ。
また、通販ならわざわざ遠隔地に重たい本を運び込む労を煩わすこともないのだが、そこをあえて、古本市に出品するのは立派だよなあ。
実際に手に取って本を読む見てもらおうという配慮が感じられる。
丸善の京都店は、老後の娯楽の一つの形を提案してはいるといえるのだ。
店は11時オープンと遅めだが、まったく寒さも暑さを感じない快適な地下1、2階の広大な空間に大量の文芸書や洋書を備えている。老人に寒さは禁物だ。
椅子もあってゆったり本を楽しむことが可能だ。老人は足腰が弱っている。
ハヤシライスと梶井基次郎ゆかりの檸檬をかたどったスイーツを売りにした豪華な喫茶店もあるから、本にあいたらここで休むことができる。
今どき、梶井基次郎の『檸檬』に興じたり、崇め奉ったりしてるのは年寄りだけだ。
季節ごとに、ほぼ一か月にわたって小規模だが古本市も開催し、新刊だけでは満足できないお客さんの要望にも応えている。
本で趣味心を満喫したら、河原町通りに出て、斜向かいの『アサヒビヤホール』に出向く。
京都随一の繁華街(大阪なら心斎橋筋であり、東京なら銀座だ)をゆく人の波を楽しみながらうまいビールとあてを楽しめるわけだから、大都会はパラダイスだよなあ。
銀座は地価が高騰して、ずいぶん前からビルの一階で気軽に、うまいビールやら寿司やらお菓子やらを楽しめる店はない。
心斎橋筋や河原町にはいくらでもある。
これは京都や大阪の最大の魅力なんだけど、地元の人はよく分かってないのが実に不思議だ。
今日は京都古書会館(丸太町高倉下ル)に出向いた。
京阪の神宮寺丸太町駅から丸太町通を西に、高倉通までてくてく歩いた。
いつも思うんだが、喫茶店が少ない代わりにパン屋が多いな。
河原町丸太町交差点にはびっくりドンキーと牛丼の「なか卯」があるけど、そこから御所の方へ歩き、やがて裁判所が出て来るけど、喫茶店らしきものはない。
高倉通を南に折れても相変わらずなんだが、パン屋は河原町の交差点とその北側にあるのをはじめとして、高倉通の衆院にいくつもある。
どのパン屋も早くから店を開けていて、客もたくさん入っている。
京都の人のスタイルは、パン屋でうまいのをこうてきて、家でゆっくり味わうのだろう。
ただ寺町丸太町下ルにある有名な「進々堂」は大きなパン屋で、店の右手には25席もイートインスペース、左手にはレストランが設けてある。こういうパン屋はあんまりないな。
古書会館の帰りに、河原町丸太町上ルにある本屋『誠光社』に行ってみた。
ここは店主のセレクトした面白い新刊書を販売している個性的な本屋だと聞いていた。
文学書(内田百閒、西村賢太、河出文庫の『死について』上、下、『ゴーイングダーク』など)からマンガ(つげ忠男、赤瀬川原平、安西水丸とか)、美術書(『ニュー新宿』など)、建築の本、理系の本、街歩きの本(『ほんやら洞』があった)、本屋の本(『本屋の周辺』、あまり見かけない雑誌などが白木の本棚に整然と並んでいる。
雑貨や文房具、CDなんかをおかず、本だけで店をやるのは、大変だと思うのだが、この店は本と雑誌しかない。
大したものだ。
京都は観光業で生計を立てている街だ。
市内各所に点在する寺院や名所旧跡を自転車で回れるよう、昔からターミナル駅にはレンタサイクルがあった。
1日レンタルして800円くらいだったのだが、返却する時に、また元の店まで持っていかないといけない面倒くささがあった。
昨今、衛星を利用して自転車の位置を瞬時に把握できるようになったことや、電動アシスト自転車が普及したことで、あたらしいレンタルシステムができている。
スマホで、各自転車に施されたバーコードを読み取り、時間単位で発生する料金の支払い情報を登録したら、自動的に開錠される。
レンタルできるスポットは京都市内各所にあって、返却はそのどこでもできる。
1日、12時間レンタルという廉価コースも用意されている。
業者もいくつもある。
三条京阪には昔からの店舗を構えたレンタサイクル屋もあるが、高山彦九郎像の南側には自転車の販売の全角チェーンである「ASAHI」がやっている電動アシスト自転車が並んでいる。
30分で130円、以後10分ごとに100円だ。12時間利用なら1800円。
さらにそのすぐ南側には電動でない普通の自転車が並んでいる。「pippa」のシステムでこちらは30分ごとに110円、12時間の利用では1100円だ。
さらにもう一つ別の業者の自転車も並んでいて、なかなかの激戦区だ。
先日、平日なんだけれど、レンタルしようと三条京阪に出向いたら、普通の自転車は一台しか残っておらず、電動の方はたくさんレンタル可能だった。
これは少しでも安い方がいいという判断からだろう。
京都は観光客相手なので、そもそも物価は高い。
千本今出川近くにある「中村製餡所」はつぶあん、白餡、大納言小豆の餡とそれを包むウエハースをセットで売っているんだけど、1400円、1600円だ。
ものすごくうまいので、嬉しい限りなんだが、京都の地元の人はどう思っているのかな。