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古本屋日誌
戸川昌志の「古本パンチ」(東京キララ社)を入手しました。カバーに少し傷みがありますが、ぜひお求めください。
戸川は元町で古本屋「ちんき堂」を経営しているが本に関するエッセーでも知られた面白い人物だ。
この「古本パンチ」には古本屋に関するあれこれをつづったものが収録してある。
興味深かったのは戸川の店に来る客が業者の市のことをよく知っている話だ。
「あれやろ、火曜日に市があるよって今日あたり(木曜日のこと)あんたの店にな、落札した本が並んでんのちゃうか思てきたんやけど、ちょっともええのんあらへんな」とか言ってくる。
業者の市での入札には上値と下値の二枚札が使える。例えば4000円と9000円の二枚の札を入れることができる。他に競争相手がいなければ4000円で落札できる。戸川はこのシステムをYahooオークションにも導入すべきだという。でもすでにヤフオクはそうなってますけどね。
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去年文藝春秋から高殿円の「グランドシャトー」が出た。京橋のキャバレー「グランドシャトー」を取り上げたもので、大阪のキャバレー小説の系譜につながるものだ。
これまで林芙美子の「めし」や花登筐の「ぬかるみの女」が宗右衛門町の巨大キャバレー「メトロ」を描き、「めし」は映画化されてメトロの内部の様子も印象的だった。さらに磯田敏夫のアルサロ小説、黒岩重吾の自伝ものもキャバレーのスカウトの日常を描いて面白かった。
今回グランシャトーの様子で次のようなことがわかった。
①キャバレーはビルの三階にあってエレベーターボーイがいた、上の階にはサウナがあった。
②ホステスの側から客にタッチすることはよいが客がおさわりすることは許されないタイプのキャバレーだった。
③客席は200くらいあり、ホステスは150名。天井から形の違うクリスタルのシャンデリアが垂れ下がっていた、奥に舞台が設けてあって最盛期には専属のジャズバンドの演奏が楽しめた。シンガーの中にはのちに有名になったものも数多くあった。
④舞台の前にはチークタイムで客とホステスがダンスをするフロアーがあった。
⑤朝礼で昨日のホステスの売り上げベスト10が発表され、トップのホステスは70万からの売り上げがあった。(当時の大卒初任給が1万9千円)店にホステスが出ていく際には銅羅を鳴らした。
⑥店内の椅子やテーブルは青を基調としていて、宗右衛門町のそれのように赤いけばけばしいものではなかった。またVIPの使うシートは特別仕様で、ホワイトシルバーだったので、周りから目立った。またグラスも特別なものだった。
⑦客が座るソファーの背もたれに付ける白いカバーは毎日取り替えていた。
⓼客層は公務員や教員も多く、60分で1200円という廉価コースを選んでサッと帰るパターンも多くあった。
⑨万博あたりから斜陽産業となり、客が減った。キャバレーに来ると一番安いコースでも1200円かかるが、家でテレビを見るとすればただだからだ。
⑩常勤ホステスの日給は2千円でプラス指名料がつく。
⑪昭和38年当時ビールは110円で仕入れ店では270円で出していた。おでんや串カツは300円から。
⑫料金は午後8時までのサービスタイムが1時間800円、8時から11時半までのナイトタイムが1200円。
⑬ホステスの指名料は予約してからくる本指名は500円で、そのほとんどがホステスの取り分だった。来店してから指名する場合は300円。
こんな具合で風俗小説としての価値はあるよね。
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こないだお客さんからたくさんマンガを買い受けた。
欲しい本はあんまりなく逆に見たこともないジャンルの漫画が色々ある。
「マンガで分かる心療内科」とか「マンガで分かる古事記」「百人一首」などのシリーズは心療内科のやつなんか10巻とかもあるのがわかりびっくりした。
精神科を訪れる患者のエピソードを漫画化したもので確かに面白いだろう。悩み事を抱える患者が心療内科を受診するきっかけにもなるだろうから実用性もある。
一方「古事記」は人気があるようでまた今月再販されるようだが、中身は下らないもので笑わせるぜ。こんなものが「古事記」だったら誰も読まないだろうよ。
あとは闘病記の漫画なんかだが私のところでは扱いきれないものなので、早速古川橋のブックオフに電話して買い取ってもらうことにした。
①10月中は買取に伺うのは無理で最速は11月1日であること。
②漫画と文庫合わせて70冊くらいとのことだが、車に乗り切らない時は二回に分けて買い取ることがあること。
③買い取れない本を持ち帰ることはできないこと。
などという注意を受けた。
買取が立て込んでいることや、客に電話口で確認した本の冊数は往々にしてデタラメでそれも非常に多いケースがあることがわかる。
しかし本は70冊と言ってるのに「車に乗り切らない場合は………」などとくどくど言うのはマニュアルにそう書いてあるからなんだが、バカであることも間違いないな。
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ブックオフは日本の古本屋の中で唯一全国各地の都市中心部に出店して、なおかつ店舗を維持している。
品揃えも多岐にわたっていてここを凌駕する古本屋はあんまりないだろう。
店舗は清潔であり、通路も確保されており、本がうず高く天井まで積み上がってどこに何があるか誰も知らないなどということはない。
店内は明るく、店員は訳のわからない挨拶を大声で喚く面倒なサービスを実行しているがこれはこれで「気持ちがいい〜」と感じているお客さんもかなりいるので仕方がない。
ただ不思議に思うのは初版などに付いている帯をほぼ全部捨ててしまうことだ。ブックオフの棚で帯がついた本が並んでいる光景は今のところ見たことがないな。
客から買い取る際はついていることもあるはずなんだが、おそらく値札を付けたり、研磨する過程でちぎり取ってしまうのだろう。
今はもうない天牛堺書店もやはり帯をちぎって捨てていたなあ。ここは均一販売で、ワゴンに本を並べていく際に店員がどんどん帯をちぎって用意してある袋に投げ込んでいたなあ。
それどころか新人の店員をベテランが指導する際に「あんた、帯の取り残しがあるで、わしよりようさんちぎらなあかんのに、えらい少ないやないか」などと気合を入れてちぎるように指示していた。
確かに帯をつけているとワゴンに詰める際に引っかかったり、破れたりして面倒だろうし、帯のない方がたくさん詰められるとも考えられる。
しかしちょっともったいない感じもするのだがなあ。
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中公新書から藤野裕子の「民衆暴力」が出た。
明治維新後の解放令に反対して被差別部落を襲撃した一揆、秩父困民党、日露戦争のポーツマス講和条約に反対する日比谷焼き討ち、関東大震災後の朝鮮人虐殺事件を取り上げている。
朝鮮人虐殺事件について震災後の騒然たる中警察が「鮮人が襲ってくる」だの「鮮人に襲撃の動きがある」だのといったデマを振りまき、それに踊らされた大衆が自警団を組織して集団で朝鮮人を殺害したことが語ってある。
同時に藤野は大衆が警察署も襲撃していたことを明らかにしていて、これは取り立てて反権力的なものではなく「鮮人を処罰したいのに警察がかばった」という理由で警察署になだれこんだものだった。
藤野には大衆の騒擾が肯定的に取り上げられているとする異議申し立てのようなものがある。
左翼の影響なのか、大衆が権力にたてつくことを肯定する価値観があることは確かだ。
しかし今そんなものが信じられているとは到底思えない。
例の在特会がやっていたヘイトスピーチなんかは大衆運動だし、大阪で猖獗を極めている維新の連中だって立派な大衆運動だ。60年安保や渋谷暴動なんかを評価するのであれば、同じ大衆運動である在特会や維新も高く評価しなければダブルスタンダードになってしまう。
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