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古本屋日誌
うちの黒猫は嫁の布団で寝ているが、雄猫は夜中運動会をして布団の周りを走り回るので嫁が腹を立てて叱りつけ戸を閉めてしまった。
これで寒さに辛抱たまらず、わしの布団に入りに来るはずとほくそ笑んでいたところが全くやってこないのでがっかりした。
朝方外へ出して欲しいとようやく布団に近寄って来たので、掛け布団を持ち上げて「入ろうよ〜」と誘ってみたら20秒くらい‼️長い‼️ためらってようやく入ってきた。
しかしものの1分もしないうちにまた出て行ってしまい、わしも仕方なく起きて玄関を開けて差し上げましたよ。
困ったことだよなあ。
昨日から京橋のツインで古本市をやっている。早速出かけてみた。
「運営上の都合」とのことで今回が最終回となる。
従来と比べて本棚の数が減り、ショーケースもなくなり、規模が縮小している。高山文庫は廃業してしまったし、ロビンは古本市に出ないとのことだし、京都の石川古本店も出店していない。
ただお客さんの方はこれが最後となればもう買えない本もあると気合を入れていてこれまで売れておらず、古本市が開催されるたびに展示されている少し高めの本が売れている。
講談社学術文庫の「源氏物語湖月抄」全3巻5000円はかなり前から何度もこの古本市に出ていたが売れてはいなかった。今回あっさり売れてしまい、客の最後の古本市にかける意気込みがうかがえた。
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フランス・ドゥ・ヴァールの「ママ、最後の抱擁」が紀伊国屋書店から出た。
動物と人間の連続性を論じた本だ。
笑いは人間に特有のものではなくチンパンジーからネズミに至るまで広く見られるしぐさで、単に面白いから笑うものでもないことは人間も動物も同じだという。
つまり照れ隠しの笑いやお追従の笑い、苦笑など様々な場面で動物も笑う。
それはさておき一番驚いたのは仲間が死んだ時の猿やチンパンジーなどの仕草だ。
チンパンジーは死んだメスに近寄って引っ張ってもう動かないことを確認して、特に親しかったものはいつまでもそばを離れない。死体の周りを何匹ものチンパンジーが取り囲んでしめじめと遺体を眺めている。あるいは興奮して騒ぎ出すものもいる。
猿だけではなくカラスも仲の良かったつがいは片割れが死んで何日も空を見て高く鳴き続けた。
こういう話を読むと死ぬとはもう二度と会えなくなる切断であることがよくわかる。
人間よりも霊界にも通じていて、超能力も保持していて見えないものでも感じ取れそうな動物であっても死者は手の届かない存在であり、死は最後の別れであることがしみじみと伝わってくるではないか。
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大阪にも緊急事態宣言なるものが出て人手を7割削減することが唱えられているが、そんなもんできるはずもないし、そもそもするべきでもない。
リモートの仕事など一部の恵まれた労働者だけに許されたもので、現代社会の根幹を支える仕事とはなんの関係もない。
商品を運ぶ運輸業、陳列して販売する小売業、インフラを支えて作り出す建築業、ゴミや不要なものを回収するリサイクル業これこそが現代社会の中枢産業だ。
昨日の9時からのNHKの「ニュースウォッチ9」は有馬、和久田のキャスターが例の通り「人出を7割減らすべきところが現実には全然そうなっていない。ただ産業によってはリモートワークはどうしても出来ないものもあって、掛け声だけではものごとは進まない。」という。
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宇佐美りんの「推し燃ゆ」が芥川賞候補になっている。
宇佐美はまだ学生でハタチそこそこであるにもかかわらず、確立された文体を持つ作家だ。
主人公の女子高生はアイドルグループ「まざま座」のメンバー上野真幸の推しをやっている。
アイドルなんか親密に付き合うことも出来ないし、そもそも作られた虚像でしかない。
しかし主人公はそんなことは百も承知で真幸の見せる一瞬の表情やしぐさに心を揺さぶられてグッズを買い込み、コンサートにいそいそ出かけて満たされた生活を送る。
しかし推し以外の日常生活は破綻していて学校の授業は聞かない、妄想にふける、挙句だぶりになってしまう。
アルバイト先の居酒屋でもミスばかりする。自分では仕事をルーティーン化して何も考えずに乗り切っていこうとするが居酒屋の日常にルーティーンなどあるわけがない。
結局高校は中退し親がかりで、一人暮らしをするが親からは当然「いつまでも生活費を出させるなよ」と言われてしまう。
おまけに、生きがいの推しが突然ファンを殴りつけ、まもなく結婚を発表して引退してしまう。
どうしょうもない日常がねっとりした文体で丁寧に描いてある。
居酒屋で次から次へとミスをして「すみません」の連呼になり、客からの「すみません」と相まって混乱が深まるシーンなど臨場感にあふれ驚くばかりだ。
こういう作品を読むと世間には残念ながらハッキリわかる才能があると感じざるをえないよなあ。
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半藤一利が亡くなった。90だし坪内祐三の時のような喪失感はないな。
しかし彼はごく最近まで旺盛な言論活動を続けていたから終わりはいずれにしてもはかないものだ。
「日本の長い日」が代表作みたいになってるけどあれは半藤単独の著作ではない。
PHPから出た「連合艦隊、戦艦12隻を探偵する」も戸髙らとの座談なんだが、歯に衣きせぬ半藤らしさがよく出ている本だ。
戸髙一成は呉にある「戦艦大和ミュージアム」の艦長で艦内にはミニチュアの大和模型が展示してある。
その横のキャプションに「戦艦大和の建艦に使われた最新技術が戦後日本の礎となった」なる話が長々書いてある。
しかしこの本で半藤一利はミュージアムの責任者である戸髙に向かってレイテ沖海戦の話をする。
「あの時大和は色を付けた三式弾を主砲からたくさん撃ったがただの一発も命中していない。ただカラフルな水柱を上げただけだ」
「そもそも大和に乗り組んでいる乗務員のレベルが問題だ。敵の空母の種類を見極められない。護衛空母なのに正規空母と見誤っている」と激しく批判して戸髙を沈黙させたのは実に面白かった。
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