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古本屋日誌

2020-12-13 12:26:00

ちくま文庫から三島由紀夫の「恋の都」が出ている。

敗戦直後の東京の楽団の話でオーナーがアメリカ人で主人公でプロモーターのまゆみは原爆を落としたヤンキー憎さに言い寄ってくるアメリカの若者を袖にするのを生きがいにしている。

なかなか愉快なお話だがプロダクションの社長である大槻という老人が出てくる。

大阪の人で妻が楽団のピアニストと浮気しているのを突き止めて、コンサート当日ホテルにそのピアニストを呼び出して詰問する。

そこへ困り果てたまゆみがやってきて一悶着起きる。

大槻は流暢な大阪弁でしごく真っ当な話をするのだが、浮気相手のギタリストをホテルの一室に鍵をかけて閉じ込めたところは「わて、早速ドーアに鍵こうて、今日のコンサートは、しらちのつくまであきらめてもらいまっさ」となっている。

「ドア」を「ドーア」、「鍵かけて」を「鍵こうて」、「らちがあく」を「しらちのつく」という大阪弁は耳にしたこともないもので蒙を啓かれた。

「鍵をかって」というのは文章では読んだことがあるが、大阪では「かく」をウ音便にして発音していることがわかる。「買う」が「こうて」とおんなじですね。

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2020-12-12 21:22:00

京阪電車は来年の3月から全ての回数券を廃止する。ピタパなどのIC乗車券を使えば1割引きにはなるのだが、これまでの昼間割引や土日割引が全廃されてしまう。実質大幅な値上げだ。

確かに萱島までは複々線で極めて高速であり、阪急や近鉄など比べものにならないほどの設備だとは思うものの、他社線との乗り継ぎは極めて不便だ。

神戸方面なんか、京橋ですぐ下にJRが走っているにもかかわらず、いったん一階に下ろされてまた上がるなどという不合理さだ。梅田で環状線を降りてまた乗り換えなければならず利便性の欠如は甚だしい。

そこで自衛策として株主優待として与えられる定期券を買いたいなと思って、先日梅田に出向いた折第四ビルから第三ビルに櫛比する金券ショップで価格を聞いてみた。

「うちはバスも付いてるやつなんですが、10万5千円です」とか
「今はないけど系列店にあるから取り寄せられます、8万です」

という話なのでもう聞くのはやめた。

阪急電車の株主優待定期は12月1日から半年間ということで既に使用期間開始となっているが、ヤフオクで相場を見てみたら5万円くらいだ。
京阪電車はやたらに高いけどこれは使用期間開始前だからなのか、それとも人気が高いからなのかよくわからない。

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2020-12-11 18:56:00

店舗を構えて古本屋をやっている友人の話。

「映画のポスターを毎日のように持ってきて『これなんぼするねん❓』て聞きにくる客がおんねん。『あーその侍ゆうやつは1500円ですわ』と答えたら、『そんなもんなんか、安いもんやなあ』ゆうて帰ってしまう」

売る気もないのにポスターを持ってきて値段を聞く、自慢したいわけですな。実に下らないし、バカです。

「若い男が入ってきて本を見定めているんやけど、なんか電話がかかってきて本を物色しぃもってペチャラクチャラ話してるのはイライラするなあ。それも10分くらい店の中で話しとるんや。もちろん何も買わんと出て行きよったしな」

確かにストレスのたまるシチュエーションだな。


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2020-12-10 18:12:00

品切れになっている本を買うには通販は有効な手段だ。

古本屋のサイトなんかを覗いてもほぼ徒労に終わるから、通常はAmazon、日本の古本屋、ヤフオク、メルカリなどの大規模なサイトで探すだろう。

値段がほとんど同じ本もあればそれなりに差がある本もあるから、私は何度もいろんなサイトをチェックして少しでも安いものを買おうと試みる。

その話をお客さんにしたら

「おまはんな、そんなもん時間の無駄やろ。Amazonで見つけたらちゃっちゃとこうてもうたらええやんか、日本の古本屋のサイトに移動するのにヒマいるし、また打ち込まなあかんやろ。そんだけ手間かけてあれへん可能性もあるやろ」

なるほど確かにネット通販の長所はピンポイントで欲しい本が見つかるところにあるわけだから時間の節約こそが要諦だということだな。

それはそうなんだが、リタイアしてからの相当に長い人生ではむしろヒマをどうつぶしていくかが大問題だ。

以前聖護院で安い下宿を探したことがあって、周旋屋が紹介したのは岡崎公園の疏水べりの旧家の二階で「ここの婆さんが話し相手を求めていはりますねや、お家賃は3万くらいでかまへんゆうてはりますよってに」とのお話で、実際にお宅に伺ったら車椅子に乗って膝に赤いバンケットをかけた優しそうな婆さんがニコニコしていた。

そうだよなあ、年老いたとはいえ、おそらくまだまだ20年からはありそうな老後を持て余している様が見て取れた。

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2020-12-09 13:02:00

古本屋はネットでの通販が売り上げのかなりのウエイトを占めるようになっている。

コロナ騒ぎですごもり需要が高まり以前に比べて通販の売り上げは大いに伸びているからだ。

それに購買層は近所の人ではなく、全国津々浦々の1億2千万人であるから、需要は膨大であり、相当おかしな品揃えであっても必ずそれを求めている人が層として存在している。

うちの店など主力商品が大阪の本やきちんとした大学生が学ぶ文庫の基本書であるため、例えば十丁目筋に店を構えたとしても数ヶ月で万歳することは間違いない。

大阪は出版社が全然ない上にちゃんとした大学も郊外にあるところが多いから、商売の材料として本を使う需要が少ない。

だから本を読むのは純粋な趣味からとなってしまい、そうなるとゲームやアニメやYouTubeなど本に比べて遥かに面白い商材と競いあわなくてはならず、勝敗は目に見えている。

しかし通販となるとそんなことはなんの問題もなくいくらでも売ることができる。

店舗の商売なら近所の商店の老舗の人たちにご挨拶をして人間関係を作り、お客さんにも気を配ってどのお客さんにもそれなりに満足してもらえるような品揃えをすることが、こと大阪では求められる。

でもそれは古本屋の経営者の自分としてはあまり面白くないことで、つまり趣味に合わないのだ。「お客さんからお金もらうんやから、辛抱せなあかん」とこれまではなってきたわけだ。

しかし、通販ならそんな心配はなく、自分の趣味やこだわりに特化した商材を扱うことができる。これは古本屋でいえば、神田の古本屋街みたいなものだ。

ビートルズに関する本だけを扱う古本屋、万葉集に関する書籍に特化した古書店そういうヘンテコな店がいっぱいある。こういう客を選ぶわがままな店は東京という特権的な都会にだけ許された形態だった。

たくさんの大学を抱え、その上出版社やマスコミを独占している東京だからこそこういうふざけた品揃えが許容され、商売が現実的なものになってきた。

しかし通販の広がりとコロナ騒ぎで今や全国どこも東京化したといえよう。
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