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古本屋日誌
大阪の古本屋では、もちろんブックオフは日本一の古本屋なので、素晴らしいのだが、天牛書店が圧倒的にすぐれている。
戦前からすでに有名な古本屋であったし、角座前の店も、アメ村の店もよかったし、さらに勢いに乗ってハワイにまで出店したことがあった。
この古本屋の立派なところは本のコンディションのチェックが行き届いていることだな。
線引きがある場合はきちんと表示されて値段も安くしてあるし、小口に焼けがあったり、本に歪みがあったり、カバーにスレがあったりする場合もその旨記載があって安くてしてあるのだ。
俺も本のチェックをもちろんするのだが、線引きを見逃してしまうこともある。
前に、天牛の本店で「線引きの有無はどないして見つけはりますの❓」と尋ねたことがあるが「こないしてね、パラパラみてね、違和感やね、どこか不自然ゆうのがあるのやわ」とのご返事をいただいた。
「違和感」ねぇ、さすがはプロの中のプロフェッショナル、俺には理解することも難しい。
さて、天牛の天神橋店を訪ねてみよう。
11時のオープンと同時に店頭に2台のワゴンが引き出され、外側のには50円均一の文庫と新書がぎっしり詰まっている。
こういうワゴンには時代小説が入っている古本屋が多いが、天牛はそれは少なく、かなり古い文庫本や海外の作品が並んでいる。
中上健次の『岬』(文春文庫)、トフラーの『第三の波』(中公文庫)、新潮文庫の髙橋たか子の本とか、なかなかこういう少し昔の本は手に入れにくい。
内側のワゴンには100円均一の単行本がたくさん並んでいる。
ドアを開けて店内に入ると、左側の壁にラックが設けてあってたくさんの雑誌(『ランティア』「文藝別冊』など)とその上には図録が並んでいる。
少し進むと左手壁面には300円均一の単行本がずらりと並んでいる。法政大学から出ている『化粧』、ミネルヴァ書房の『船場』などがある。
さらに進むと講談社学術文庫がたくさん並んでいる。
その向こうには大きなショーウィンドウが設置してあって、司馬遼太郎の初版本やちくま文庫の『夢野久作全集』なんかが置いてある。
その左には海外の文学作品、国内の文学作品、本に関する本 作品論、黒っぽい小説、日本の歴史、世界の歴史、民俗学、宗教学、理工書、辞書と並んで店の奥に到着。
どんつきには、天井まで届く大きなガラスが嵌め込まれていて、その外はせんざいだ。
今度は右手を見てみると、店に入ってすぐ右には腰くらいまでの高さのショーウィンドウが置いてあって中には一押しの図録なんかが置いてある。
また壁面にも図録や全集が置いてある。さらに進むとレジがあって、いつも3人くらいの店員さんがいる。
そして右手壁面にはマンガ、マンガ雑誌(『COM』『火の鳥』『ガロ』など、300円。)その上に特選の単行本。
進むと大阪本、『大阪平野のおいたち』や大谷晃一の本。
さらに進むと料理本、落語の本、タレント本、芸能本、建築本が並んでいて、その向こうの壁面は上下にラックが作ってあって大型の雑誌や図録が入れてある。
『大阪春秋』『小野十三郎全詩集』などがある。
その向こうには美術書、大判の図録がずらりと並んでいて店の奥に到着となる。
これで終わりではなく、店の真ん中にも本の島が作ってある。
まず黒い腰くらいの高さの本棚が2台背を向けて並んでいて、ここにはテーマを決めて特集している本が並ぶ。今の時期は岩波文庫、ちくま学芸文庫、講談社学術文庫の特集だ。
その奥には背中合わせにずらりと本棚が顔の高さくらいまでずーっと奥まで並んでいる。
まず向かって左側は1番上にイチオシ文庫で中公文庫の『長い道』などもある。
その下は、岩波現代文庫、岩波文庫、その下に平凡社ライブラリー、中公文庫、講談社文芸文庫、河出文庫、朝日文庫と、並んで一つ目の本棚は終了。
進むと二つ目の本棚には岩波文庫、ちくま文庫、幻冬舎文庫とならんでから、作者別五十音順に小説の文庫本がずらりと並ぶ。
更にその奥には海外の小説が、岩波文庫、ちくま文庫、創元推理文庫、サンリオSF文庫など。
これで店の奥に到着。
また戻って今度は真ん中、左側の本棚だが、1番手前には社会学の単行本。『21世紀の資本』『希望の歴史』など。
さらに社史、タウンガイド、地形や暗渠に関する本、戦争の本、スポーツ本が並んでその向こうにいろんなレーベルの新書がずらりと置いてあって、店の奥に到着となる。
中学受験の進学塾の日能研関西での過労死のことを考えている。
当時算数課の課長(実際には「リーダー」という職種)だった酒井が2000年1月末にくも膜下出血で倒れて、そのまま意識が戻ることなく亡くなってしまった。
この病気には前兆として頭痛や吐き気、食欲不振などがあるといわれているが、個人差があるともいう。
前回、地下鉄で立ち上がれなくなるくらい体調がすぐれなかったのに、その後、部下を指揮して入試問題の突き合わせをしたりできるほど元気になっていた話を書いた。
またその同じ日に、やはり上本町校で、俺が「こないだな、藤目ゆき、ゆうやつの『性の歴史学』ゆう本、読んだんやけどな、例の廃娼運動の問題点を詳細に論じていておもろかったわ」という話をしたら、酒井はちょっと沈黙して、(この沈黙が興味深いのだ)「それ文学部の女やろ、ちょっと知ってる、一緒に住んでたことがある」という。
俺は彼との付き合いが長いため、妙な沈黙をする時はウソをついてる時だとわかっているので、それ以上追及するのはやめた。
代わりに「酒井先生はどんな研究をやりたかったんや❓藤目みたいなあれかいな」と聞いてみたら
「在日朝鮮人の歴史をやりたい思っていたよ」と実に意外な答えだったが、このへんのやりとりもいつもの彼の雰囲気だった。
またその時、俺が勉誠社から出ていた『歌舞伎台帳集成』という一冊が12000円くらいする大冊を何冊かまとめて、上本町の古本屋『天地書房』に売った話を酒井にした。
「向こうの藤田さん(天地書房の、俺が懇意にしてもうてる人だ)に値付けしてもうたんやけど、『そろてないよね、売らんともっといたらええのに』言われたわ」
するとすぐに顔を歪めるように笑って「そらそう」と短く言う。これは楽しい時の彼の表情なので、普段と変わらない印象を新しくした。
そこからしても、自宅で倒れる直前もかなり体調の良い時もあったと思うのだ。
また酒井が「付き合わせ‼️」と叫んで連れてきた部下は算数課職員の武村なんだが、彼に亡くなる前の様子を聞いてみた。
「酒井さんと昼ごはんに行ってましたけど、普通でしたよ」という。
やはり調子のいい時とそうでない時が現れて、まだ大丈夫かなという誤った思いを抱かせていたのだろう。
昨日は日差しはあるはものの、風が強くて肌寒いなか、久しぶりに中書島まで出向いて、橋の下の駐輪場に設けてあるHello cyclingで電動自転車を借って、伏見桃山の大手筋商店街に行ってみた。
ここは東西にまっすぐ伸びる、アーケードも備えた大きな商店街で、チェーン店の喫茶店なんかもあるのだが、伏見の酒を飲めるアンテナショップや八百屋、ブティックそして何より小さい本屋が健在だ。
黄桜などの酒蔵が儲かっていたり、インバウンドの収益が大きかったりするのだろうと俺は思うのだが、昔風の商店街がそれなりに残っている。
小さい本屋が残ってるところなど観光客で潤う京都と金回りがいい東京ぐらいなのではないか。
俺の住む萱島はチェーン店が多い。松屋、珈琲館、大阪王将、モスバーガー、鳥貴族などなど。
これが実は、最先端のニッポンだと思う。こういうチェーン店はみんな安いし、美味いし、スピーディだし文句のつけようもない。その点、東京だろうが京都だろうが遅れてるよね。
さて、その足でブックオフ、スーパーバザー伏見店に出向いた。
ここは本のみならず家電、ブランド品、スポーツ用品なんかも取扱う巨大店舗だ。
京都本コーナーには品切れの『京ことば辞典』(2000円)、プレミアムコーナーには小学館文庫の『漫画家残酷物語』(全4巻2200円)『マタギ列伝』なども並んでいた。
しかし俺の好みの本は少なく、今回は残念な結果になった。
巨大な店舗で絵本やCDなんかもたくさんあるので、親子連れがたくさん見えていたし、国道沿いでモータープールも完備されているので、トラックの運転手と思しきおっちゃんが江藤淳の『1946年憲法』(1400円)や『神功皇后の謎』(2800円)を立ち読みしているのを見ていると、いい古本屋だなぁ、とつくづく思うよ。
国道沿いの『来来亭』で遅い昼ごはん(コッテリラーメン、味たまご入り、1080円)を食べて中書島に戻り、自転車を返却してから宇治線で黄檗駅。
てくてく歩いてJRの黄檗駅に到着し、二駅目の小倉で下車して、初めてブックオフ小倉店に行ってみた。
確かにスーパーバザー伏見店は巨大だが、周りは工場や倉庫が多く、純粋な住宅地ではないので、集まってくる本にも限界があると思う。
それに対して宇治市は、黄檗には京大のキャンパスもあるし、周辺は住宅地だし、あの井上章一先生もお住まいになっているようだから、いろんな面白い本があると期待できるのだ。
といってもすごくいい本は、すぐに売れてしまうだろうから、残ってはいないはずで、おそらく棚にあるのはごく最近出た本やだいぶ前に出てそれなりにいい本だろうと思うのだ。
岩波文庫でなら『パサージュ論』全5巻とか『西行全歌集』とか『拾遺和歌集』とかは残っている可能性はあるが、発売されて日も浅く、値段も定価より少しやすい程度だろうから、みんな得をした感じにならないから買わないだけのことだ。
俺はそういう本よりも、角川文庫の今村夏子の『あひる』の初版帯付きとか、中公文庫の『第三の波』の初版、ちくま文庫の松岡和子の『シェークスピア全集』とか新潮文庫の『深夜特急』全6巻とかが欲しい。
これらは素晴らしい出来栄えの本だし、今すぐにでも読みたい作品だからだ。さて結果は予想した通りで、なかなかいいお店だとわかりました。
それなりにいい本が置いてあるのに加えて、一部の単行本は半額になっていたし、今日は本は全品2割引きになっていた。
土曜日でお客さんも多く、かなりの人がスマホで値段をチェックしながら品定めをしていた。当然のことだろう。
中学受験の進学塾、日能研関西の最初の過労死事件を考えている。
2000年1月末に自宅でくも膜下出血で倒れて搬送されるまで、酒井(職責は算数課の課長)は50日以上休んでいなかった。
当然肉体的、精神的疲労が蓄積して様々な身体の不具合があったと思う。
ここに二つ目の注意すべき点があると思うのだ。
それは、くも膜下出血という病気はひどくしんどい時と体調が戻る時が交互に現れるということなのだ。
1月の統一入試が終わり、その後、後期日程でダラダラ入学試験が続いていたのだが、日能研関西では(他の塾もそうなのだが)試験当日、生徒の集合の1時間前に教師も集まって「激励」する習慣があった。
それで酒井も日能研上本町校で授業を終えて、その翌日大阪市内の、ある中学校の入学試験の激励に早朝から行くシフトになっていた。
彼はその時門戸厄神に住んでいたので、大変だと思い、わしが「今日はわしの家に泊まったらええやん、サッカーの試合も見れるし」(俺はその時、千林に住んでいた)と誘ってみたが「いや、激励の道具(日能研の小旗やネーム入りの腕章のこと)を持ってきてないから」と言って断られた。
地下鉄谷町線に2人で乗って東梅田駅に着くと、彼はそこで下車して阪急に乗り換えるのだが、しばらく、3秒くらい立ち上がれなくて、その後も力を振り絞るようにやっとこさ立って降りていったのだ。
そんなに体調がすぐれないんだったら、仕事なんか何の意味もないし、すぐに医者にかかったほうがいいよね。
ところが酒井はそうしていない、これはおかしなことに思える。
いくら体力に自信があるといっても、地下鉄の下車駅でしばらく立ち上がれないほどしんどいわけだから、まずいと普通は思うところだ。
ところが、そのしんどそうだった日からしばらくして、上本町校でまた酒井に会う機会があった。
日能研では、行われた入学試験の問題を入手して、直ちに模範解答を作成する(どこの塾でもそうだろうけどね)のだが、酒井がある中学の入試問題を手にして、控え室に入ってきて、後ろには若手の算数の職員を従えていて、張り切った声で「付き合わせ‼️付き合わせ‼️」という。
自分の作った答えを他の先生のそれと比べて正確さを期そうというわけだが、顔色も良く、テカテカ光っていて、とても先日のしんどそうな様子はかいまみられなかった。
その時ちょうど新入社員の子もいて、わざわざ酒井が俺に紹介してくれたので「いつもね、酒井先生にはお世話になりっぱなしなんよ」という話もして、彼は楽しそうに聞いていた。
というわけで、このくも膜下出血という病気の特性には目を向けておかないといけないと思うのだ。
今日は嫁と山崎蒸留所に出かけた。
以前は無料だった見学ツアーは3000円の有料となっているが、なかなか人気だ。
われわれは無料のもので、ウィスキー館の1、2階を自由に見ることができ、またテイスティングカウンターも利用できる。
早速カウンターに行ってみると、以前はハーフショットだったが、今は30ミリのフルショットになっている。
値段は山崎25年、白州25年、響30年がそれぞれ22000円となっている。
以前はハーフショットではあるものの、3500円くらいだったと思うので、だいぶ値上がりしているね。
山崎18年、白州18年、響21年はそれぞれ3400円だから、こっちをオーダーする人がたくさんいる。
品薄だし、安くするとみんなオーダーするから、ある程度高くしておかないといけないのだろう。