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古本屋日誌

2025-05-16 16:06:00

今日から谷町四丁目の古書会館で古本市。早速朝から行ってみた。

 

 

希縁庵という古本屋が初参加していたほか、横丁、寸心堂、矢野、厚生、唯、ディック、真木、汎、シルヴァン、アジア号、ソニック、杉本などが出ている。

 

 

横丁は大半の本を半額で販売していた。『大阪方言事典』『未開社会の性生活』『秘境西域八年の潜行』芙蓉書房版の上、下、『福助足袋の六十年』なんかも置いてあった。

 

矢野書房は上村一夫の様々な作品や花輪和一作品集、天牛書店の創立者、天牛新一郎の著者2冊(サイン本)に扇子を付けたセットを売っていた(5000円)。

 

 

暫く混み合った会館内で本を見てから、てくてく歩いて中央大通りに面したアパホテル一階のレストラン「銀のゆば」(11時半から)でランチ(950円)。

 

 

今日は、ビフカツか、ブリカマかどちらかを選ぶメニューで、他に2種類のおとふ、サラダ、ヨーグルト、オレンジ、ご飯、わかめのおつい、コーヒー、ミルク、オレンジジュース、野菜ジュースなんかがバイキングとなっている。

 

以前は、店の名前の生湯葉もあったし、もっと食べ放題メニューが多かったが、諸物価高騰の影響でこうなったのだろう。

 

 

ゆっくり過ごしてから、再び1時過ぎに古書会館に出向いてみたら、朝の雑踏は過ぎ去ってゆっくり本を見れる。

 

 

初参加の希縁庵はいろんな『毎日グラフ』を出していて、その中には70年の大阪万博の特集号もあって(400円)大判、フルカラーで50年前のイベントを眼前で楽しめる。

 

横丁のブースには出口王仁三郎の『霊界物語』も置いてあって500円だが、半額の250円で買える。

 

アジア号は地図や鳥瞰図、いろんなチラシなんかも出していて中にはキャバレーのチラシなんかもあった。(3000円)。

 

 

矢野書房は『別冊太陽』も並べていて、その中に千葉のホキ美術館の特集号もあって、島村信之の写実絵画なんかを楽しめる。

 

 

汎書店には『宮本百合子選集』全12巻揃が並んでいて、紐で結えてあるのだが、1500円だ。安いよね。

 

 

宮本は共産党の委員長だった宮本顕治の嫁だったのだが、文学者として極めて立派で、インテリの女が地縁血縁のしがらみや、周りの無理解にもめげず、日々災難に見舞われながらなんとかやりくりしていく日常を淡々と書いていて感動的だ。

 

 

それほどの才能がありながら、しかし世間ではなぜか評価されていない。つまり世間の評価など偏見に満ちていて、ふし穴だということだ。

 


2025-05-15 13:18:00

中央公論から齋藤達史の『完全版 沖縄戦』が出た。

 

齋藤は、防衛研究所に勤める歴史家だ。この戦いについては大田昌秀による概説書もあるが、個々の戦闘について網羅されておらず全貌は明らかになっていなかった。

 

そういった意味で江湖の渇きを癒す一冊だ。

 

 

この本によれば、海軍はレイテなどで艦隊の大部分を失い、航空兵力を残すだけになっていたので、沖縄での決戦を考えていたが、陸軍は沖縄は本土決戦を控えての準備的な戦闘と捉えていて、決戦とは考えていなかったという。

 

 

また米軍の上陸に際して、飛行場を占領されたら、そこから機動部隊を守る戦闘機を離発着できるようになり、陸海軍の特攻攻撃に支障をきたすと考えられたため、水際で叩いて、釘付けにするプランであった。

 

 

しかし、実際には圧倒的な物量と戦闘力を前にして攻撃ができず、ほぼ無血上陸を許してしまった。

 

 

そのためなんとしても占領された本島の飛行場を使用不可能にしたいと考えて、薄暮に合わせて九州、台湾、石垣島の航空基地から爆撃機を発進させて、米軍の飛行場を攻撃し、さらに翌払暁、大規模攻撃をかける作戦に出たが、思うような戦果は上げられなかった。

 

 

陸海軍とも、特攻攻撃によって、敵機動部隊に多大な損害を与えたと確信しており(つまり、プロパガンダではないということだ)現状なら空挺部隊によって本島逆上陸が可能と考えていた。

 

 

などが明らかになった。なるほど興味深い話だな。

 

 

『小林一三日記』にも連日ラジオを通じて、敵機動部隊の大損害が報じられているのに、一向に空襲は止まない。

 

 

「これはアメリカ兵はやわで根性などないと思っていたが、これほどやられても、なおめげずに向かってくるとは、凄まじいスピリッツだと言わざるを得ない」と逆に戦意を喪失したような書き方をしていたのを思い出したな。

 


2025-05-14 20:19:00

東京の、揚羽堂という古本屋の店主が2005年に書いていたブログ日記が本になっている。

 

『古本屋残酷物語』というタイトルなんだが、一読してだいぶ大袈裟なタイトルだと思ったよ。

 

のんびり本を扱う商売ができると思って店舗を構えたものの、客がなかなかついてくれず、結局店は閉めざるをえなくなり、別の場所に事務所を構えて、通販や催事中心の本屋になったというお話だ。

 

 

東京は何商売であれ、恵まれた地域であることは間違いなく、古本屋などはとりわけそうだと思う。

 

大学もたくさんあるし、出版社やマスコミは圧倒的なシェアだから仕事で本を使う人がたくさんいるからだ。

 

 

それにもかかわらず、店舗を構えての経営は2005年の段階で行き詰まっており、一方ヤフオクや日本の古本屋サイトを通じての通販は好調だったことは示唆的だ。

 

つまり甘やかされて、大名商売が出来る東京ですら、古本屋業は容易ではなくなっているということだ。

 

それにしても東京はいいよね、この揚羽堂も朝日新聞からの取材申し入れがあるし、その後はNHKからのも来た。大阪ではなかなかそういうことは起こらない。


2025-05-13 20:36:00

先月の19日から、姫路文学館で車谷長吉の展覧会が行われている。

 

ちょうど没後10年で、全集の最終巻も刊行された。第4巻なのだが、12000円くらいする。これまで刊行された1から3巻はそれぞれ5000円くらいだったから、かなり上がったなあ。

 

俺はあんまり全集に価値を感じていない。いくら力のある作家でも大半はどうでもいい作品であり、そういうつまらない作品も含めて読もうという考えが理解できないからだ。

 

彼の著作は文春文庫や新潮文庫でいろいろ出ているが、直木賞の『赤目四十八瀧心中未遂』などを除いて、品切れになっているものが多い。

 

文春文庫では『忌中』とか『贋世捨人』、新潮文庫の『漂流物』とかなんだが、これまでは品切れなのに古書価は安かったな。

 

 

しかし亡くなって10年も経ってから、全集の最終巻を出すわけだから、出版社としては、充分採算が取れると判断しているのだろう。

 

 

確かにこのところ、車谷の文庫本は少しずつ値段が上がっているし、注文も増えている。

 


2025-05-11 12:33:00

昔の小説は、過大評価されてきて、今読んだらつまらないものが大半だ。

 

娯楽の少なかった時代には、消閑の具として映画、小説くらいしかなかったので、需要が莫大であった。

 

ものごとは需要と供給の関係で動くので、意味のない小説、くだらないものもいくらでも出版されていた。

 

また、時代的な制約もある、上林暁が、好んで描いていた酒飲みで、プータローのようで、地域に溶け込んでいた人物なんかは今日では理解の範囲外だろう。

 

娯楽が多様化して、求められるものも多種多様となった今日では、さすがに昔ほどのいい加減な小説は少なくなったが、それでも、仕事疲れに、なにか肩の凝らないものを読んでスッキリいやして、明日の活力にしようという需要は大きいから、それに応える小説が、パターン通り工業製品のように量産されていることに変わりはなく、そこに才能などというものはない。

 

 

でも例えば早川書房が出している経済書の中には、群を抜いて優れたものがある。スティーヴンソンの『トレーディングゲーム』はその一つで、貧しい境遇から身を起こしてFXトレーダーになって大金を稼ぐようになった男の物語だ。

イギリスはつまりは身分制度が温存されている奇妙な民主主義国家だ。

 

トレーダーになるための第一歩は、有名大学ののうての学生を集めて行われるトレーディングゲームに勝って、著名な証券会社のインターンシップを勝ち取ることなのだが、大金持ちの御曹司たちは親の七光で自動的に地位が保証されている。

 

 

その中で勝ち抜いていくには何か秘策が必要なのだが、それは…という話で実に興味深い。