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古本屋日誌
阪急六甲駅近くに神戸学生青年センターがある。
ここは1995年からずっと海外からの留学生に給付の奨学金を5人に毎月5万支給している。
その原資が全国から集まる古本だ。
文庫や新書は全て一冊100円、単行本は300円で販売している。
不思議なのがその古本市の会場が3階にあることだ。
しかもストックとなる本のダンポールはすべて4階に収納されている。つまり送られてきた本はすべて4階まで上げないといけないのだ。
古本市の担当の方に聞いてみたら
「センターの受け付けが3階やさかいな、本代の支払いで係がいるからどうしてもこの階にせなしゃーないねん」とのことだ。
でも金の支払いはPayPayでもいいし、この頃流行りの餃子の無人店舗みたいに箱を置いておいて、そこに入れさせればいい。
なんでもすでに本は10000冊くらい全国から届いているそうで、ダンポールにしたら500以上にもなるだろう。
おそらく宅急便の業者に上げさせたりもしたんだろうけど、一度に何十もダンボールが届いた場合などはいくらなんでも三階まで持って来させるわけにはいかない。結局センターの職員が必死のパッチでえっちらほっちら4階まで上げざるをえない。
毎年3月から4月に開催していた神戸のサンボーホールの古本市が中止となった。
理由としてはホールの使用料が値上がりした、これはこれまで出ていた補助金が無くなったことも併せて大きな問題だ。
また去年の開催では、来場客が思ったほどではなく古本市を開催する旨味がなくなったことも大きな要因となっている。
かてて加えて古本屋の方も高齢化が進み、重たい本をいちいち倉庫からサンボーホールまで運び込んで設営し、終了後には売れなかった大量の本をトラックに詰め込んで倉庫まで戻すという作業に耐えられなくなってきた。
そのため県下の古本屋に参加を募っても「今年はやめとくわ」と辞退する店が増えてしまい、必然的に一軒あたりの負担金額は上がるから、開催に耐えられなくなってきた。
なるほどね。
いちいちもっともなことばかりなので、今後古本市の開催は危ぶまれるだろうな。
特に例年に比べて古本市に詰めかける客の数が減っているというのはなぜなんだろうね。
コロナの重症化リスクは高齢者で既往症のある人が高いといわれている。古本市に来る客は確かに老人が多いから自主規制したのかもしれない。
去年の開催はコロナ患者の発生が小康状態になった4月2日から4日だったんだが、客は「本は通販でも手に入るから、リスクを冒して古本市にでかかることはないや」てな判断だったようだ。
コロナの死者数はインフルエンザと比べて全然多くない。しかし身近でコロナに罹り亡くなる人が出たりすることがあるし、入院したり、休職を余儀なくされた人を目にすることがある。
それで大事を取ろうと思うのはもっともだ。
そういう人に「あんたの心配は行き過ぎやで。死んでる人かて多ないやろ」てなことを言うのはバカというものだ。
ネットで安売りをうたって詐欺を働く犯罪者がいる。
古本業界でもホームページを艶やかに作り込み全集やセットにしたマンガを割安で販売しているように見せかけている。
通常、客はこういう訳の分からない輩のホームページは見ない。
Amazonや日本の古本屋、ヤフオク、メルカリなど信頼できる巨大サイトで検索する。
ところが値段が高いとか、商品がないとなるとYahooや Googleで探している本のタイトルを入力して探し回る。
客は是が非でも欲しいと思っているわけだ。だから初めから騙しやすいのだ。
古本の詐欺サイトでは販売者の情報も載っていることがある。
例えば千葉県柏市にあると称する
「亮横江商事」なる古本屋サイトだがこれは詐欺サイトだ。
すでに門真警察と日本郵政に通報済みだ。
ホームページを持ち、全国的に販売している訳だから当然古物取扱免許を取得していなければならない。
ところがその表示がないのだ。
今は摘発によってホームページも閉鎖となっているが、先月中旬まではちゃんとあって古物取扱免許に関しては「必要なし」と記載していた。
これがそもそもおかしいよなあ。
必要だし、たとえ持ってないもぐりの業者だとしても客に対して「そんなもん要りませんわ❗️」てな表示はするわけがない。
また店舗の所在地が、千葉県柏市わかしらとあって番地も記載してあるが、その住所で検索をかけても何もヒットしない。
つまりその場所に店舗などないことがすぐにわかる。
でもこの程度のサイトでも騙される人はいるだろう。
また結局「小さな古本屋のサイトなんか、みんなデタラメなんだ❗️二度とそんなもん見るかい❗️」となってしまうだろう。
うちのサイトなどそのせいで注文なんか一年に一回あるかないかで、サイトの管理費も回収できてませんよ。
ごく稀なことなんだが、本を発送してから「住所をまちごうて書いてしもた、ほんまのはこっちなんや。すまんけどそっちに送ってもらわれへんやろか」などというリクエストがくる。
本が向こうについて郵便局員が配達に出向くというところまで行ってしまうと、もちろん返送されてくる。
ところが出した直後で、まだ到着していない場合だと変更がきくのだ。
差し出した郵便局まで出向いて間違いの住所氏名、正しいそれを書いて、さらに手数料の580円を支払えば訂正してもらえる。
かなり高いよね。
長らく新館建築中で閉館していた京橋の藤田美術館が今月1日にオープンした。例の曜変天目茶碗を所蔵しているところだ。
新館の建設費用は所蔵する掛け軸をアメリカのオークションに出して調達した。
これは美術館として極めて真っ当なやりかただ。藤田美術館のコレクションは茶器や青磁白磁だ。
だから、掛け軸は純粋に利殖の対象として集めているのだ。
経営のことを考えて、現在のコレクションと合わないものも敢えて買い付けているわけだ。
早速行ってみた。
以前は古い蔵を展示施設にしていたが、新刊は白亜の殿堂といった趣で、黒い階段を少し上がったところに平屋の奥行きある白い建物が聳えている。
階段を上がったところは、ガラス張りのオープンスペースになっていて左手が美術館、右手には茶屋が設けてある。
人出は少ない。
展示物の前に横に列ができて順番を待つということは全くなかった。
検温と手指消毒の後、こういう美術館ではよくある、窓口で入館料を払う形でなく、係員が美術館の説明をしてしながら徴収するスタイルだ。
入り口はかつての蔵の出入り口のような観音開きの鉄扉で、中は本当に暗い。
気をつけていないとそのまま展示品を収めてあるガラスケースにぶつかりそうだ。
展示は紀貫之の筆と伝えられる和歌の短冊や三蔵法師にまつわる絵巻物、香合や茶壷、仏画と続いて、もちろん曜変天目茶碗だ。
曜変は最後の展示室の真ん中にスポットライトを浴びて置かれている。
ちょっと前に奈良国立博物館で曜変天目が展示されていた時は入るのは1時間かかり、中でも曜変天目のコーナーには長い列ができていて、さらに1時間かかった。
ところが今日は部屋の中にいるのは我々2人と小学校低学年のガキとその父親だけ。