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古本屋日誌
今日は10時から香里園駅近くにブックオフがオープンするので、早速行ってみた。
ブックオフは考えられる限り最高の古本屋だ。
品揃えは他の追随を許さないし、値段も安い、店はどこも広く、明るい。商材も本、マンガ、CD、ゲーム、カード、プラモ、フィギュアと多彩だ。
ただ香里園は京阪沿線ではそこそこ高級住宅街ではあるが、さして本があるとは思えない。
でも新しい店のオープン、それも古本屋というの皆無に等しい。一度経験したいものだと考えていたのだ。
場所は駅の西側で、もと薬局があった、マクドと併設された、モータープールも15台分ある平屋だ。
朝から雨なんだが開店5分前に着いた頃には店の前の駐車スペースに70人くらいが並んでいた。
車で来た人は駐車できないのだが、どうもそういう遠隔地からの人はおらず、近所の人ばかりのようだ。
傘をさしてない親子連れがいる。
「お前はあの庇のところに行って濡れやんようにしときや」と父親が子どもに言う。
「でもそのまま入ってしもたらあかんで、横入りになってまうからな」
「お父ちゃんはどないすんの❓ぬれるで」
「お父ちゃんは帽子あるよってな」
大分近所なんだろう。
「レジの混雑を避けるため、本日はお買い上げは30点までにさせていただきます、ただセット物は1点と数えます」と開店待ちの列を誘導している係員がアナウンスしている。
橘玲は例の「言ってはいけない」シリーズで著名な作家だ。
2010年に出たスティーブンピンカーの「人間の本性を考える」を手がかりに若者向けの啓蒙書をいろいろ出している。
彼の主張は
❶生きていくための仕事として他者と比べて相対的優位にあることに精を出すべきだ。
❷グローバル化で相対優位にある分野も海外からの安い労働者のために奪い合いになっている上に、グローバル企業は儲けを拡大し格差社会となっている。
❸自分の相対優位を確認するには好きなことをしっかりやってみる必要がある。
❹人にはいろんな趣向があるとはいえ、遺伝子の縛りからは逃れられない。つまり、マイナーな趣味だといっても必ず層として同好の士がいる。
❺ネットなども利用して商売のプラットフォームを自分で作っていく姿勢を保てば道は開ける。
橘玲の主張で面白いのは❹だよな。
世間にはとんでもない変態的な趣味のやつがいるけど、それも遺伝子的には意味があって生き残ってきたし、同じような趣味の連中が必ずたくさんいるというわけだ。
まああれだな、普通は橘のように大風呂敷は広げないよな。
俺の店の場合はまともな大学の文系の学生がベースとして学ぶような類の本を主戦力として経営している。
左翼が崩壊して学生が教養として身につけるべき知識は崩壊したから、たしかにこういう本の売れ行きは以前に比べたら落ちる。
しかし全国に1000以上も大学はあるし、東京は依然としてマスコミや出版社を独占しているから需要は減ったとはいえ、まだまだ侮り難いと思っている。
西村賢太の本がよく売れている。
亡くなってから、予想通り角川文庫がいろんな本に重版をかけて、大型書店には今も並んでいる。特に「どうで死ぬ身のひと踊り」は人気だ。
京都のMARUZENジュンク堂はかなりたくさん仕入れていて、西村京太郎と並んで追悼コーナーを設けている。
喫茶コーナーでは、梶井基次郎にちなむ檸檬ケーキ、MARUZEN創業者の早矢仕なにがしが発明したとかいう「早矢仕ライス」を食べられる。
新潮文庫は芥川賞の「苦役列車」は重版したが、かなりある既刊本は品切れのままだ。
これは角川文庫は小ロットでも出すシステムがあるからで、新潮社は営業上それなりの部数が見込めない時は重版しないだけのことだ。
今後新潮文庫で「やまいだれの歌」が出るし、文藝春秋からは5月に絶筆となった「雨滴は続く」も刊行される。
今日は久しぶりに樟葉近くのスーパー「COSTCO」に出向いてあれこれ購入。
連休明けだし、平日だし、給料日前ということもあり、かなり空いていた。
食料品から日用品、電化製品、キャンプ用品、衣服までいろんなモノが所狭しと並んでいて買い物の楽しさが味わえる。
食べ物はすぐ食べないと足も早い、服も着たら痛むし、しばらくしたら飽きもくる。だからまたいそいそとコストコに出かけて買い物を楽しめる。
古本市はコストコに近い。たくさん本を買う面白さを味わえる。
ただ問題は本は場塞ぎだし、読んだら消えて無くなることもない。
新一郎の天牛書店がやっていたように「1000円の本こうてもうたら、またその本8がけで買い取ります」みたいなことしてみたら、客も買いやすいだろうよ。
小売にせよ、何商売にせよ、客の方が商品知識は店主より遥かに豊富だ。
とりわけ古本屋は圧倒的に客がよく知っていて、我々は教えを乞う立場にある。
今の季節買取の依頼が多い。
お客さんの家に出向いて本を拝見して、値段がわかることはほぼないな。
先日は金蘭大学の先生のお宅に行ったが、並んでいる本は古代中国の漢字、それも天候を占った文字や占星術に冠する文献で当然ながら査定のしょうもない。
こういう時どうするのか。
買い取りたい本がないのだ。
チラチラ見ると本棚にはそれ以外にちくま学芸文庫や講談社学術文庫がたくさん並んでいる。
俺としてはそっちが欲しいので
「先生❗️ものは相談ですけど、あの辺の文庫本は献本とかもあるん違いますか❓スッキリさせて本棚のスペースをあけましょうよ」
てなことを言ってなんとか売らせようと努力した。
またあるお客さんはSFや探偵小説を売りたいとのことで連絡があった。
私はその分野はなんの知識もないし、関心がない。
自宅に伺って蔵書を拝見すると創元推理文庫やSF文庫の類がたくさん並んでいる。
でもまったくわからん。
「このへんはプレミアムの付いてる本なので一冊ずつ値段を教えてくださいね❗️」とおっしゃる。
いやいやいや、俺が教えて欲しいよ。
さてさてどうしようか〜
上本町6丁目近くにあった古本屋「一色文庫」は閉店してもう3ヶ月になる。
店内は10坪くらいなんだが文庫のほか単行本もかなりの部分100円均一だった。
店内には一人用のソファーがいくつも置いてあって、気に入った本を片手にのんびり読むこともできた。
オーナーはTwitterをやっていて毎日新しく入った本の話や、昔の女を取られた話、賃料が上がりそうで困ったという話などあれこれ投稿していた。
ところがそのTwitterの中身が去年半ばから飼い始めた文鳥の話ばかりになり、店の屋号も「文鳥堂」と称するようになった。
そして最後のTwitterは去年の9月13日でやはり文鳥ネタだった。
閉店した今もTwitterやホームページはそのまま放置されている。
おそらく年末であろう閉店の頃も、全く客には告知することはなかった。
どうも店主は心ない客に心を痛めて、そういうおかしな客とのやりとりが面倒になり放り出すような形になってしまったような気がするなあ。
彼が私に何度も何度も語っていたのは寝屋川市に今もある金箔書房という古本屋のことだ。
「あのな、金箔さんのとこに、カップルが入ってきてああでもない、こうでもないと本をつまんでは戻しして、あげく『ええ本ないなあ❗️❗️』ゆうて出て行ってしまおうとしたら金箔さんは『ありがとうございました❗️』いいはったんや。俺はそんな、でけへんわ」
というのだ。
そんなもん金箔のおっさんは嫌がらせゆうてるだけですよね。
ありがたいわけがないから、嫌味ですよ。
ところが一色さんはそれがわかってないらしく、「金箔さんは人格者で人間が出来てるけど、俺はせやないんや」てなことを言い出すから驚いた。
ブログででもTwitterででも腹にすえかねる客のことを赤裸々に書いてやれば気も晴れただろうになあ。