Welcome
古本屋日誌
今日から大阪、神戸、京都の三都で同時に古本市開催。これはかなり珍しいことなのだ。
少し開催時期をずらして欲しいところだが、主催団体としては張り合うところもあるのだろう。
大阪は谷町四丁目の古書会館で、さほど規模が大きいとはいえず、それでも3万冊くらいはあるだろう。
神戸は三ノ宮駅前の阪急百貨店9階の催し物会場で、参加店も16あるからかなり規模は大きそうだ。それに百貨店開催だから所場代も高かろうから、いい本がたくさん並んでいるのではないかと思うのだ。
京都は丸善店舗の一角での開催で、一番規模も小さく、本も1万くらいだろう。しかも開催はロングランなので、初日にいい本が集中することはないのではなかろうか。
俺としては神戸が1番素晴らしい品揃えではないかと予想して、朝イチ神戸阪急に行くことにして、先輩にも助っ人に来てもらうことにした。
先輩は67になるのだが、中学受験の進学塾の日能研関西で長年社会の先生をしていた。
この塾では60を超えたら、仕事は全然変わらないにも拘らず、時間給は2割減、勤務時間も2割減にされてしまう。
先輩は腹を立てて、また後に続く人のためにとも考えて神戸地裁に異議申し立ての訴訟を起こしたが、負けてしまった
それはそれとして、神戸で1時間くらい本を見た。
サンコウはいつものようにたくさんの単行本を並べていて、その横には、おくだ書店が興味深い絶版文庫を持ってきていた。
また大阪のシアルという古本屋はこれもいつも通りたくさんの岩波文庫、中公文庫を持ってきている。
花森書林はいろんな漫画を出している。
それはそれとして、先輩とさんちかのKYKでトンカツを食べた。飲食店はどこも人手不足で、店員さんは大変そうだ。
阪神電車で梅田に出て、谷町線で古書会館にも出向いた。
真木書店がたくさんの100均の文庫本を出しているほか、ディックもきれいなSF文庫、横丁はいつも通り和本、シルヴァン書房は200円均一の新書、寸心堂はやはり海外の興味深い小説を、唯書房も興味深い現代教養文庫、新書を並べていた。
俺の趣味としては大阪の方がよかったな。わからんものだ。
1995年に東京堂出版から尾形界而の『古書無月譚』が出た。
この人は一冊しか書いてないんだが、初版版を専門に扱う古本屋の駆け引きを細かく記したフィクションだ。
取り上げられているのは立原道造の『萱草(わすれぐさ)に寄す』。
この初版本が東京の大市に出た。
大市というのは古本屋が特選本を持ち寄り、業者仲間内の競りで取引をするイベントのことなんだが、ここには免許を取得した古本屋しか参加できないので、どうしてもその本が欲しいお客さんは、懇意にしている古本屋に頼み込んで入札してもらうのだ。
相場としては400万くらいなんだそうで、頼まれた古本屋は頼んできた客に「400でいけますわ、出せますか❓」てなやりとりをして入札に臨むのだ。
小説の中では、元は神田に店を構えていた老舗の古本屋の4代目が出てきて、無茶な高額入札をして掻っ攫って行く展開となる。
そのへんのやりとりも面白くはあるのだが、俺が興味深かったのは、初版本を扱う古本屋の収支だ。
なんでも初版本専門のお店では、1日10時間店を開けて、仕事は10分程度で、30万くらいの本を1冊売るのだという。
後の9時間50分は予習、調べ物をしたり、キャバレーやソープランド、時にはハワイに遊びに行っているというのだ。
店主が言うには「20万以下の買い物する客はゴミだ、相手にしなくていい。だいたい文庫やアダルトとかあつこうてる(例によってこういうタイプの方は大阪出身となっているのだ)店は5流だ。そんなやっすい本売って、30万、1日に稼ごう思たら、腱鞘炎なってまうで」
この小説では5階建ての自社ビルを建てたことになっているのだから、大したものだ。
なるほど、古本屋の経営者に多いタイプはこういう人なんだよなあ。
つまり一山当てて大儲けしてやろうという思いを抱き続ける山師みたいな人たちだ。
ハヤカワ書房が去年「ハヤカワ新書」というレーベルを立ち上げ、新書本の刊行を始めた。
その巻頭を飾るのが塩崎省吾の『ソース焼きそばの謎』だ。
従来焼きそばは戦後、大阪で生まれたとされていたが、塩崎は資料を博捜して、昭和10年ごろの浅草にすでに焼きそばがあったことを突き止めた。
なんでも中華料理のパロディとして、出来たのか焼きそばなんだそうだ。
そうなのか。
でも東京の連中は1923年の関東大震災のどさくさに紛れて、たくさんの朝鮮人や中国人を殺しているよね。
大きな自然災害の時には、一時的に周囲の人との間に連帯感が生まれて、助け合うことも多いと聞いている。
それにもかかわらず、殺してしまうんだから、日頃から相当な差別意識があったのだろうよ。
そんなバカバカしい大衆の心の中に、シナ由来の文字通りの支那そばをゆがいて、新しい料理にしようという気持ちが生まれるのだろうか。
後月27日の土曜日、緑地公園からAsahiの電動自転車をかって、天牛書店と、さらに山を越えて、ブックオフ関大前店に行ってみた。
前に書いたように、古本屋を愛用するお客さんは保守的だ。
いつも本を買う店で、不要な本を売る。
この二つの古本屋がある吹田市では、なんといっても天牛書店が選ばれてしまう。
しかし、ブックオフの品揃えを見てみると、なかなかどうして、侮れないと感じた。
全てのジャンルの本が集まっているのはいうまでもないが、単行本では、『香港回収工作』の揃や『遺伝と平等』「完全版 東京空襲』『タイガー立石 トラ』「京都名所むかし案内』『有村架純 写真集』『サンタフェ、宮沢りえ写真集』とかが売られている。
文庫でもちくま学芸文庫の『現代哲学』中公文庫の『カルタゴ興亡史』講談社学術文庫の『差別の構造』など興味深い本がたくさん並んでいる。
以前に比べていい本がブックオフに集まっていると感じたなあ。
やはり全てのジャンルの本を買い取る姿勢、広い店内で時間を過ごせる利便性、駅前の立地という優位性、CMでの圧倒的な知名度などが相まって、認知度が飛躍的に高まっているのだろう。
今日から高倉の京都古書会館の三階で小さな古本市。早速朝から出かけてみた。
場所は丸太町高倉下ル、周りには喫茶店があんまりないな。
パン屋はあるから、京都の人はそこで美味しいパンをこうて、家で楽しむのだろう。
さすがは京都‼️と認めざるをえない素晴らしい品揃えで、感服いたしました。
ちょっと面白かったのは目録だ。
300円で販売していて、50ページにわたって、カラーで魅力的な本や錦絵、直筆、地図などが並んでいる。
錦絵では徳力富吉郎のが多かった。徳力は京都や大阪の風景画をたくさん残している。
その中で『創作版画 京洛三十題』という昭和11年の版画集が出ているのだが、赤尾照文堂のものは「木函、帙入」で176000円となっており、インディゴブックスのは同じ版画集だが、90000円となっている。
しかし木函や帙のことはキャプションに書いてないから、ついてないのだろう。
中身はおんなじなのに、そういう外の装飾の有無で、かなり値段の差が出るのだなあ。
まあ俺はこういう骨董品には何の興味もないけどな。
また玉城文庫が、江戸後期の「皇都四条河原の納涼図」という絵を198000円で出している。この絵のタイトルで京都は「皇都」となっている。
それに対して同じ玉城文庫が出している「大坂西京間鉄道線平面概略図」は明治10年だということなんだが(値段は88000円)、京都は「西京」となっている。
明治に江戸が東京となって、遠慮したような表記だよな。
「皇都」とかいうのもアホらしいけど、少なくとも江戸への遠慮や配慮はないな。
それが明治10年にはえらくへりくだってるけど、いつもお高くとまっている京都の人たちらしくないな。