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古本屋日誌
SBクリエイティブから出た『ビジュアルでわかる日本』には子どものいる核家族で、年収1500万円以上の家庭についても可視化した図がある。
その割合が10%を超えているのは芦屋市だけ。
大阪では豊能町、中央区、天王寺区、阿倍野区が8%以上、京都は左京区が同じく8%、兵庫は東灘区が8%となっている。
年収1500というのは、この本によれば従業員が1000人以上の企業の部長クラスだという。大学の教師はそこまではいってないのではないかな。
したがって、このデータは大学関係や出版社、マスコミ関係ではなく、純粋に金持ちの分布を示している。(実は大阪の場合はこのほかに、中之島、高槻市の北部にも金持ちが分布していることが『日本のお金持ち研究』で明らかになっている)
それにしても芦屋市にせよ、豊能町にせよ古本屋はないな。
地価が高くて、場を取る物販、とりわけ利益率の低い古本屋など営業できるわけもないのだろう。
でも本が好きな人なら、手近にぶらっと行ける古本屋が欲しいと思うものではなかろうか。
だから俺が思うには芦屋、豊能には会員制の大きな古本屋がこっそり営業しているのではないか。
目立たないように、地下に広大な売り場がある。
バーカウンターが併設してあって、24時間いつでも会員は本を片手にグラスを傾けることができる。ひょっとしたらアスレチックジムとプールもあるのかも。
店内にはえべっさんが勧請してあって、商売繁盛のお祈りも合わせて行える。
本棚はというとまずルネサンス期の大部な動植物図鑑が目につく。
森鴎外の『青年』『雁』、夏目漱石の『こゝろ』『それから』、内田百閒の『冥土』の生原稿、紫式部直筆の『源氏物語』、北斎の『神奈川沖浪裏』の初刷、長谷川貞信代々の浮世絵、『浪花百景』の揃、藤田嗣治のノモンハンの絵、勝平得之や川瀬巴水、となかなかお目にかかれない逸品が並んでいると思うのだ。
週末には作家本人が出向いてきての朗読会とトークセッションがある。今週は佐々木譲で、来週は宇佐美りんとなっている。
でも、ここに居住してるのは、企業の経営者とか引退した会長とかなのかもしれないけど、単に金儲けのことしか頭にないような気もする。
昨日NHKのBSの『スポーツヒューマン』でタイガースの近本の特集があった。
彼は去年のタイガースの日本一に絶大な貢献があり、とりわけバファローズとの日本シリーズでは打率5割に迫る活躍でMVPに輝いた。
彼はプロ入り5年目なんだが、その全ての打席で考えたことや、スィングの後の反省点をメモしてスマホに保存しており、これとタブレットの打席画像を合わせて研究を怠らない。
また試合のある日も、朝の9時にはジムに現れて、ストレッチのメニューをこなし、そのあとはホテルに戻りトレーナーと筋肉の捩れの矯正などに1時間以上の時間をかけ、3時過ぎには球場のバッティング練習場に来て、バッティングピッチャーの球を打つ。
その際もスィングのたびに時間をとって、自分の考えたこととその結果を比べて次に活かそうとするという。
試合ではまず投手の球種を投球後に判断して、その後もコースなども見てとってスィングを変えるのだとのことだ。
しかし例えば150キロの球ならホームベースまで来るのに0.4秒だ。
人間が目標を見て、脳で判断して身体が動くまでには、どんなに速くても0.3秒かかるのは昔からよく知られている。
だから近本のいうような「球種も球を見て判断」は無理であり、バッターは球を視認することなくバッティング動作に入っている。
もちろん球種、つまりストレートなのか、フォークなのか、カットなのかは事前に予測はしている。(してない選手もいるだろうが)
しかし、球速がどれくらいかや、コースまではなかなか予測しづらいので、後は無意識な身体の反応によるしかないのだ。
そもそも、大脳生理学の研究では、かなり前から人間の自由意志は否定されている。
人が何かしようと思うよりも先に、脳の中では運動野の反応が起こっている。
りんごをつかむといった、ごく日常の些細な仕草でもそうなのだから、いわんや視覚が利きようもない迅速な動作では、身体が意識を超越して反応しているのは間違いない。
番組では去年の8月のジャイアンツ戦で、向こうの田中というピッチャーと対戦した際、いつものように考えながらバッティングするのをやめてみたら、ストレートを打って、ライトスタンドへのホームランとなった。
これを「認知をこえて」と表現していた。
ジャイアンツの田中というのは今シーズン、大した活躍もしておらず、データがなかったので、近本も考えようにも材料がなかったんだろう。
もちろん予め球種は予想していただろう、ストレートが来ると、でもそれ以上はデータもないし無心でバットを振ったらホームランになったというわけだ。
本来、プロのバッティングはそうあるべきもので、そこに開眼した近本は今シーズンますます目が離せない。
大阪の金持ちが住んでいる吹田市、箕面市、豊能町のあたりには、天牛書店、ブックオフ関大前店、田村書店といった古本屋がある。
天牛書店は北大阪急行の緑地公園駅から徒歩10分、ブックオフは阪急の関大前駅すぐ、田村書店は北大阪急行の千里中央駅すぐにある。要するに、それぞれ割と近くにあるのだ。
この地域には大阪大学や関西大学といったちゃんとした大学があるので、仕事絡みで本を買う人がかなり多いのは間違いない。つまり商品になりそうな本が容易に古本屋の手に入るということだ。
しかしこの3店舗の品揃えは全然違う。
天牛書店には文学書、写真集、図鑑、歴史書、和本、稀覯本、岩波文庫、ちくま文庫、講談社学術文庫、鉄道本、マンガ、哲学書、図録、音楽関係の本、手芸や料理の本がある。
その一方で、ほとんど全ての実用書、医学書、上に示した以外のほとんど全ての文庫本や、新書本、タレントの写真集、自己啓発ややる気を出すための本、ハーレクイーンロマンスの類、やおい本、BL、エロ本、ほとんど全てのジャンルの雑誌、映画のDVDやレコードは置いていない。
つまり一部の本好きをターゲットにした店なのだ。
これに対してブックオフは、全てのジャンルの本を取り揃えている上に、映画のDVDなんかも大量に置いている。
しかし、天牛書店とかぶっているジャンルの本なんだが、誰の目から見ても、圧倒的に天牛書店の在庫の方が優れている。
田村書店は時代小説の文庫本や実用書、自己啓発の類が大半だ。天牛書店と比較できる水準では全然ないし、ブックオフと比較してもひどく見劣りしている。
さて、おれが言いたいのは、吹田市や箕面市という、他の地域に比べたら圧倒的に、古本屋商売がやりやすい地域なのに、一部の古本屋にだけ本が集中してしまうということだ。
ブックオフはCMを打っているし、全国的にもよく知られている。またどんなジャンルの本でも基本的には(在庫が多いからと拒否されることはあるけど)引き取ってくれる。実にありがたい古本屋だ。
しかしそれにもかかわらず、いい本を十分には集められていない。
田村書店なんか、新刊の書店としては規模も大きく、いろんなジャンルの本を網羅的に集めている。小説も哲学書も、岩波文庫にしても、ちくま学芸文庫にしてもここで買う人は多いと思う。
そして読み終わったら、田村書店に売ることも出来るのだ。
しかしお客さんはそうしない、天牛書店に売るわけだ。
この古本屋は創業100年をこえる老舗で、おそらく何代にもわたって売ったり、こうたりしてる人がたくさんいて、そういう客は保守的で、別の古本屋を選択しないのだ。
天牛は昔の商店街の個人商店であり、ブックオフはイオンみたいなものだろう。
商店街には、それぞれ特色のある店があって、買い物を楽しめるが、やはり品揃えの面や値段では、イオンには太刀打ちできず、閑古鳥がなく状態のところが多い。
しかし、こと古本業界だけは、実に不思議なことに個人商店が勝ってしまっているのだ。
SBクリエイティヴから、にゃんこそば、なるペンネームで『ビジュアルでわかる日本』が出た。
ネットに公開されている様々なデータを日本地図上に落とし込んで可視化したもので、興味深い。
夫婦と子供の核家族で年収が700万円以上の家庭は東京が49パーセント、大阪は33パーセント。
細かく挙げると、東京49。
神奈川47。千葉と愛知41。
埼玉38。
兵庫と滋賀36。
奈良35。
富山と石川と三重と福井34。
大阪と静岡と茨城33(それぞれ%)となっている。
兵庫が高いのはわかるけど、大阪は滋賀や奈良、さらには福井や石川なんかより低いんだなあ。
また京都は意外なことに31。観光業者は潤っているけど、そんな人ばかりではないのだ。
細かく見ると、兵庫は芦屋市は55以上、他も東灘区、西宮市、宝塚市、三田市が50オーバー。
芦屋は例の六麓荘とか阪神電車の芦屋駅周辺など、お屋敷が確かに多い。
金持ちはどういう神経なんかよくわからないが、古本屋はないな。
生活環境を静謐に保ちたいというのもあるのかなあ。
またそもそも地価や賃料が高すぎて古本屋に馴染まない土地なのかもしれない。また金持ちは、要するに金儲けの能力しかない連中なのかもしれない。
大阪は天王寺区、吹田市、箕面市が50オーバー。
天王寺区にも、古本屋はほとんどない。同じような理由かなあ。
それに対して、吹田には大阪を代表する古本屋、天牛書店がある。また箕面にも大きなブックオフをはじめとしていくつか特色のある古本屋がある。
奈良は生駒市、京都は精華町が50オーバーだ。
先週の金曜から3日間、谷町4丁目の古書会館で古本市があった。
年末の大掃除や片付けでいろんな本が古本屋に流れてきているため、いい本も多かった。
この古本市は毎月開催されているのだが、全く置いていないジャンルがある。
まず実用書、ハウツー本、生き方や会社での処し方についての本、ほとんど全ての雑誌、料理、手芸の本、パソコンやゲーム本、写真集、BL本、ロマンス文庫。
これらはブックオフなら扱ってるジャンルなんだけどね。
置いてあるのは文学書、歴史の本、郷土史の本、岩波、講談社学術、ちくま、創元推理、サンリオなどの限られた文庫本、和本、図録、戦前のパンフレットの類だ。
したがって訪れる客は年配の男性が圧倒的に多く、男女比は9対1だと思う。