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古本屋日誌
来月の11日から使える京阪電車の株主優待半年定期をヤフオクで入手したいところだが、なかなか落とせない。
去年は7万だったので、今年もそれくらいで手に入れたいところだが、現在のところ78000円くらいだ。
今日はどこにも行かず、家で静養。夕方から明日の出荷分を本棚などから探す作業。
はじめに、メルカリやAmazonからの発注分をざっと見て覚えてから、本棚に当たって見つけた本をどんどんパソコンのねきに積み上げる。
ところが講談社文庫の『一般意志2.0』だけが見つからない。
データでは去年の年末くらいにこうた本で、背表紙は上が真っ白、真ん中から下が全てイエローで帯が付いているとなっているのだが、どうしても見つからない。
(こらもう品切れ通知を出して、お客さんにはお詫びするしかないな)と思って、ふと本の山を見ると一番上に『一般意志2.0』があるではないか。
じぶんで見つけて積み上げておきながら、そのことをすっかり忘れてたしまっていたわけだ。
昨日まで風も冷たく、びっくりするほどの冬の大気に包まれていたが、今日は快晴で風もなくひなたでは、ちょうどいい陽気だ。
元町の神戸古書会館で、一箱古本市があるというので、昼からのぞいてみた。
ここは阪急の花隈駅の裏手にあって、1964年に出来た木造2階、15坪くらいの古風な建物だ。
会館の前の道は、普通車がやっと通れる程度の幅員しかなく、入り口は2間くらいあって、入ると土間があって、そこから40センチくらい、ヨイショと上がると板の間となっている。
入り口左手に「今日は土足」と掲示があるし、大きな下駄箱もあるから、普段は上履きなのだろう。
さて一箱古本市だが10店くらいが参加していて、みかん箱みたいなものや、プラスチックの容器、小さな本棚なんかを床に並べている。お客さんは20人くらいいて、なかなか盛況だ。
面白かったのは、おこたを床に設置して、主人は、ひと昔もふた昔も前の貧乏学生が来ていたようなドテラをはおって、おこたに入って店番をしていた店があったことだ。
客は皆立って品定めをしているから、床に置いたおこたの中では、見下ろされるようなあんばいで、俺なら居心地が悪いなあ。
それぞれの店主は椅子に腰かけたり、立っていたり、思い思いの姿勢でお客さんとあれこれ話をしている。
昔の大学の、古い寮、例えば吉田寮みたいな感じがして、妙に懐かしい。2階では業者同士で行う入札の模擬体験が行われているという。
これらは古本組合の魅力を伝えて、組合員になってもらうための取り組みであり、意義深いものだと思う。
今日から14日まで四条寺町の藤井大丸の地下で古本市。(四条寺町デパ地下古本市)
この老舗の百貨店は来年5月で営業を終えて取り壊して2030年にまたオープンすると聞いた。
俺が熊野寮にいたころ、1980年台の半ばだが、ふじのい工務店からよく単発のアルバイトの依頼が寮にあった。
そこの仕事は藤井大丸の模様替えなんかも含まれていて、営業終了後短時間で催し物の什器、展示物なんかを撤去する作業で、学生が30人くらい集められていた。
ほんの数時間の作業で7000円くらいもらえた素晴らしい仕事で、しかも俺の目からしてもどう考えても30人もいらんやろ、と思える程度のちょっとした作業なので驚いたな。
これは当時の学生は、今の真面目な学生とは違い、必ず怠けるのが出るから、予め多めに採用してさっさと作業を終わらせるという考え方をしていたからなんだろうか、よくわからない。
早速朝から行ってみた。9時40分くらいに枚方を出る指定席が2両ある特急を予約して祇園四条、てくてく歩いて10時25分に到着。
地上は四条通に面していて寒いので、北側の階段から、地下に降りて開店を待つ。ここは阪急の河原町駅から続く地下通路にも直結していて便利だ。開店前に20人くらい並んでいる。
藤井大丸の地下は北半分がスーパーで、南側がイベントスペースになっており、各店2台程度の平台とその上に積んだ本棚にぎっしり本を並べている。
10時半、開店と同時に店に入ると左手に控えた店員さんが買い物かごを渡してくれる。今回は京都が6、大阪7、神戸1、奈良1、金沢1、富山1、彦根1、福井1、名古屋1、伊勢1、合計21の古本屋が出店していて、バラエティに富んでいる。
京都の「待賢ブックセンター」はいろんな図録を並べて壮観。文庫本も旺文社の内田百閒のやつをたくさん置いてある(500円くらい)ほか、ちくま文庫や岩波文庫もたくさんあった。
大阪の「寸心堂書店」は西洋文学を専門にしているが、マイネッケの『歴史主義の貧困』全2巻揃、2000円とか新潮文庫の向田邦子の『幸福』『阿修羅のごとく』の初版、帯各200円なんかもあった。
「古書 さいとう」はたくさんの岩波文庫を並べていて『仏説四十二章経』『雑兵物語 おあん物語』なんかもあった。
このほかどこの店かは忘れてしまったが、角川文庫の横溝正史の『八つ墓村』白背(4刷)や『獄門島』白背(初版、4000円)なんかもあった。
藤井大丸の5階には「マドラグ」という広い喫茶店があって、日替わり1200円の定食のほか、ハンバーグ、エビフライ、カレー、ナポリタン、美味しいプリン、コーヒーなどを楽しめる。
本をこうた後エレベーターで5階に上がって舌鼓を打ちながら耽読することができるのも素晴らしい。
俺の横には60絡みの女2人が座っていたが「うっとこは定年で、人材センターに登録しよかゆうてるわ」とか「うちは何もゆうてきやしませんわ」てな話をしていたから、京都市民御用達の店だな。
東京の古本屋「よみた屋」の店主が書いた『古本屋という仕事』が出た。2200円で安いのだが、パラパラの立ち読みしても買う気にならない。
学ぶところや参考になる点がまるでないからだ。
買取の値段の付け方について、どれくらいの時間で売れるかを計算してとか、今は売値の2割くらいで買い取るとか、退屈でしかない。そんなことはたとえばAmazonの売れ行きを見たらわかることでしかない。
古本屋は普通の仕事とは違い、客の方が本の知識は豊富で、売値も知っているケースがしばしばある。
本の歴史は古代エジプトに始まり5000年もあって、ジャンルも多岐にわたるから、ほとんど知らないことばかり。
でもそういう客相手に安い買取価格をどうやって納得させていくのかを知りたかったな。
古本屋を出すによい立地の話などバカバカしい。そんなもの東京のごく一部の連中の話でしかない。
俺は東京の古本屋はそもそも甘やかされていると考えている。
仕事で本を使う業種、出版、マスコミ、大学を独占している上に、経済的にもわが国一であって、本にも金を使ってくれる客がたくさんいる。そこにあぐらをかいていまだに店舗での営業が可能であるというところからして、そもそも信用できない。
東京の古本屋は半世紀は遅れている。
今古本屋は、つまりはブックオフであり、通販であるのに、東京ではいまだに店舗を並べた古本屋街なるものが残存している。
そんなものは早晩消えてなくなる運命にあるわけで、それすらわかってない人たちから教わることはない。
うちは売上の70%がAmazonで、これは以前は100%だった。
Amazonの手数料は15%と非常に高い上に、本は一点売れるごとに150円さらに引かれる。
また、月間登録料も6000円近くかかり、問題だとおもっていたので、他のプラットホームに販売拠点をを移す経営努力の結果だ。
以前は古本の販売は、Amazonが力を持っていたが、現在は大したことはなく、たとえばメルカリの方が明らかによく売れる。
これは古本屋が昔からの習慣で、何でもかんでもAmazonに登録してしまうために、販売点数が非常に多くなり、客の目に止まりにくくなっているせいでもある。
たとえば、平凡社ライブラリーの『逝きし世の面影』なんか、70点以上登録されている。
またAmazonは本の画像が基本的には一点だけで、本のコンディションが伝わりにくいため、特に文学書のいい状態を望むお客さんに敬遠されるためでもあるだろう。(もちろん自分で画像をアップすることはできるのだが、めんどくさくてやらない古本屋が大半だな)
その点メルカリやヤフオクなら、本のいろんな角度からの写真を丁寧にアップできるから、お客さんも安心だな。
また今日付で、Amazonはほぼ2年前の手数料に関し、徴収額が少なくなっていたと称して、一斉に「手数料の調整」を行い、売上金からかなりの金額を差し引いてきた。
システム上のミスのようだが、それなりに知名度もある企業としてあまりにもお粗末で、情けない限りだ。