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古本屋日誌
なぜか蚊が出てきてかもうとする12月です。天気予報では少し雨が降るとのことでしたご、朝には上がっていて蒸し暑い。
以前ある街の古本屋に雇われて店番や仕入れ、さらには古本市の設営や撤収作業をしていましたが、よくわからなかったのが店主の本の並べ方でした。文庫本は仕入れた当初は店の本棚にランダムに並べるんですが、翌日には店主が「あのなあ、岩波、ちくま、講談社は割と色が揃うよってにその辺に散らばってあるやつを集めておんなし棚にいれておくれんか」というわけです。だいたい昼からは毎日のようにお客さんから買取の依頼があるので早うに向かわなあかんので、私はほとんど無視してやりませんでした。そうなると社長は自分で文庫本の整理をああでもない、こうでもないとやりだして、またそういう時に限って何人かの客が店に入ってきて、文庫の棚を見たがるわけです。「おまはん、何してはりますのん?」「いや、岩波は岩波、時代小説は時代小説ゆうふうに並べよおもてね」「そないなもん、せんかてええ、チョロチョロされたら探しにくいやろ」「そうかて、きちんとして欲しいゆうお客さんもいはりますんやわ」てな感じで客とケンカしてしまうことがしばしばで、私には理解不能でした。
今朝は雨でしたが、起き出した頃にはやんでいてしかも冬なのに全然寒ない不思議な感じです。17度くらいまで気温も上がるようでこれはこれで過ごしやすい。
自殺した西部邁がやっていた雑種「クライテリオン」が消費増税を阻止する特集号を出しています。藤井聡や宮崎哲弥が音頭取りになって様々な分野の専門家が消費増税の問題点を論じています。宮崎哲弥が指摘するところでは日本の消費税が税収に占める割合は3割に達していてこれが10%にされたら37%にも達して、消費税が25%とかになっているヨーロッパ諸国を上回るのだそうだ。つまりは金持ちにかける所得税や法人税は優遇して大して取らず、明白に弱いものいじめをしているということですな。まあ大衆が自民党に投票してるんだから自業自得なわけですけどね。
私の祖父は宮大工で小金を貯めて住吉区にそれなりの家をこうていましたが、戦時中国の公債を買わされたりして、それが敗戦で紙くずになってしまったこととよく嘆き「あのなあ、国が借金して赤字国債とか出すのはとんでもないことなんや、戦争にもなってもうたし、今はまたそうなるやもしれん」とかゆうてました。でも大工としてはそれなりなんだろうが、国の経済や舵取りについてはなんの知識も教養もない一老人がさも自慢げに話しするのは不快でした。そもそもその程度の国債発行で国が破綻することもなければ、戦争に突入することもなかったわけですから、祖父の予言や口癖は全くのデタラメだったわけで、人の話は話半分くらいにしとかないとなと思いました。
茂木健一郎は面白い生理学者だが「思考の補助線」という本の中でコミュニケーションには同化作用と個性化作用の二つがあって、日本は周りに合わせようとする同化作用が強い。
対してモーツアルトを生んだ社会は個性化作用の社会だとして、まあこれはよう聞いた日本社会特殊論みたいなもので、たわいもない話だ。
日本とオーストリアがそんなにはっきり違うわけがない。だいたい日本に同化作用が強いとかいうけど食うや食わずの戦後間なしの頃ならいざ知らず、今はみんなそれなりに目立ちたいと思っているわけですよ、茂木健一郎ほどの人でもわけのわからない日本特殊論に与するとは嘆かわしい。
その上で人の脳は他人から賞賛されると脳内報酬物質のドーパミンを出す話もあり、これもよう聞く話ではあるのだが、夢を見ている時にも麻薬性物質が出ているそうだし、ランナーズハイの時にも同様だそうだから、人間の体はそれこそ不健康な物質にとりまこまれていることになる。
養老孟司は機械は人間の体の延長だと主張して車やバイクは足そのもの、メガネは目そのもの、義手は手そのものだという。さすれば大麻やアヘン、ヘロインそれくらいまでは脳そのものということになるだろう。伏見稲荷大社では伝統的なおこもりで一晩中ゴマを密閉された本堂で焚いて不眠不休で祈り、願い事がかなえられる証の「験の杉」を手に入れることになっているのだが、これとてアルカロイド系の麻薬性物質のなせる幻覚であろうが、それこそ至福の瞬間のようであるのだから、もっと真面目に現代人も真似て見たらいいだろう。
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雑誌「大阪春秋」の最新号は漫才作者秋田実の特集号で、秋田が東大の学生時代に書いていたプロレタリア文学や戦時中の書いた時局に合わした「慰問袋」という戯曲などが復刻してあって、まあ漫才の台本はすでに著作集も出ているのでかえって新鮮でした。左翼文芸の方はまあ大した出来ではなく習作みたいなもんだろうが、「慰問袋」は昭和16年の作品で嫁がシナ戦線の兵隊に慰問袋を送ったら返事が来た。それを見た旦那が「われわれが安楽に暮らしていけるのは、兵隊さんが身命をけずってくれているからだ」「だのにそれを忘れていた自分が恥ずかしい」となって夫婦揃って兵隊に出す手紙をいそいそと書いていくというストーリーで、クスクス笑えるところもある。「この頃電車の中でも一升飲んでる人は五合しか飲んでない顔をしてるし、五合の人は三合の顔で三合の人は一合で、何も酒飲んでない人は飲みたいなあゆう顔してる」とある。
まあ確かに兵隊が身命を削っているのだから、銃後は慎まないといけないが、今は自衛隊がちょっと砲弾を民間地に落としたということでえらい批判されたり、沖縄の米軍のオスプレイが墜落した、危険だと批判にさらされるわけだから時代は変わったよね。軍隊なんだから危険なものしか保持してないわけだし、その危険性にこそ意味があって侵略や侵攻を防いでいるわけなのに、そのことはなぜか問題にされない。とにかく自分の生活に少しでも問題のあることなら、それだけで大変なことになって問題視されるというのは平和な時代でもあるし、もしかしたら、ピンカーの言うように、ハラリの言うように人類は進歩して戦争や侵略の危険性は過去のものとなったのかもしれない。それなら自衛隊も米軍もとにかく毛嫌いされても仕方ないことになるし、もはや時代遅れの戦艦大和なんだろうなあ。でも今年最大の危機であった北朝鮮の核問題はアメリカが譲歩して決着したが、宮崎哲弥が言うように北朝鮮のアメリカ本土にも届こうかというICBMの核戦力が譲歩を引き出した原因なわけで、まだまだ世界はパワーバランスで決まっていくようではある。
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今朝は少し冷えましたが、おてらしでぬくなってきました。
岡山のあきづ文庫からいしいひさいちの同人誌「ドーナツボックス」の6を買いました。あきづ文庫はいしいひさいちの出身地岡山の出版社で社長はいしいのファンでその縁からいしいに自分のところで出す本の装丁や挿絵を頼んで描いてもらっているといううらやましい会社です。
この本は未収録や書き下ろしを集めたもので表紙の一コマ漫画からたくさんのふたコマ、さらに将棋ネタやロッカーネタの4コマと多彩な作品が収めてあって飽きが来ません。タクシーの運転手に「コラー、くもすけが‼︎」とからんでくる酔客に運転手が「くもすけさんだろう」と釘を埋め込んだバットを手に逆襲してくるふたコマ漫画があります。駕籠かきのことですが、酒手と称して大枚の運賃をふんだくったり、ご婦人方と見るとてんごしたりと、悪い噂の絶えない連中で髪型もくもすけ頭といえばざんばらがみのことでした。男が偽名で働いているというふたコマ漫画ではその偽名が「熊沢天皇」となっていて、これまたわかる人には面白みがわかるというもので、どれも遊び心あふれる魅力的な作品です、ぜひお買い求めください。