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古本屋日誌

2018-12-24 13:11:00

今朝は打って変わって気温が低うて、冬らしくなってきました。

ハラリの「ホモデウス」は戦争や伝染性の病を克服した人類の課題が語られてありますが、家畜が人類と共存するようになり、野性の他の獣に比して圧倒的に有利な生育環境を得て繁栄している一方で、個々の家畜は狭い畜舎の中に閉じ込められ、生涯身じろぎくらいしか許されない過酷な環境下にあることも書いてあります。とりわけ豚の飼育状況を示す写真が「大半の豚は隣の豚との隙間もないところで生涯を送る」とのキャプション付きで載っていて、まあ予想はできていたとはいえショッキングですね。

ちょっとその後カツカレーやトンカツを食べるたびにどこかにこの写真が出てきてしまうので困りました。乳牛も人間が毎日搾乳してやらないと乳腺炎になって命に関わりますから、もはや人間と共存するしか手がない道を選んでいるわけです。豚にせよ牛にせよ種族としては正しいせんたくであり、そのように人間に飼われていないイノシシやオオカミなどを圧倒的に引き離して繁栄を極めています。ただ一匹一匹を見てみると昔より幸せになったとは到底いえない。むしろ人に近づかない選択をした方がよかったように思える。

われわれも実はハラリも言うように実は豚や牛に支配されていて、懸命に毎日お世話させてもらっているともいえますね。乳牛を毎日搾乳するのは大変な労力だし、豚の世話も大変だしそれこそ家畜さま中心の生活を強いられているともいえますな。そういうのをなくしたフリーな生活とはいったいなんなんでしょうかね。


2018-12-23 10:23:00

今朝は雨も上がりしっとり潤っていてしかもぬくい。冬とは思えない気温でまあ過ごしやすいことは間違いない。

私は3年間は会社勤めをしたことがあり、その間上司からの査定に基づく面談が毎年ありました。私のことですからいいわけないので、あれこれ問題点が指摘されていたのですが、「接客がうまない」とか「クレームがある」というような雲をつかむような具体性を欠く話なので、「それはどこの営業所の話なんですか?」と聞くわけですが上司は曖昧にして答えません。要するにはっきりどこの支社からのクレームだと言ってしまうと支社長と私の間に感情的なもつれが生じてやりにくくなるとの配慮なんですが、配慮になってない。支社長をかばっているだけで、こちらにはモヤモヤ感が残るだけでなので、あくまでも「納得なんかできませんわ、きちんと説明してもらわんと」となると「最近はな、その辺のクレームものうなって、ようなってるから」と別の話にすり替えるので困りました。

会社には労働組合があったので、団体交渉に持ち込み、細かいところまでなにがどうなのかや、誰がどう言ってるのかは明らかにできました。まあ査定が悪なるには私自身の問題があることは当然なんですがね。

団体交渉ではいろんな同僚の労働条件の話が出ましたが、驚いたのは自分の悪いところもいくらでも上に言わせて、交渉の席でその人の欠点が公となり、落ち込んでしまうかと思っていたら、逆にスッキリして仕事に励んでいる人がいることでした。俺なら恥ずかしがり屋だし、気にしいなので、みんなのいる場で己の恥を公然と言われてしまうのは抵抗がありました。でもまなたかが仕事のことなので、全部明らかになっても人として恥じ入ることではないとの考えはわからないでもないですな。

 

 


2018-12-22 11:23:00

今朝は雨もよいで、しとしと降り続いています。氷雨ではなく一雨ごとに春が近づくというていのそれで、今年は暖冬ですね。

近藤ようこの「蟇の血」(ビームコミックス)を入手しました、帯付きの1刷です、ぜひお買い求めください。近藤はこのところ折口信夫とか説経節の小栗判官といった古典に題材をとった作品をものしていましたが、今回は大正時代の小説家田中貢太郎をもとに女に翻弄されるエリートを題材にして女のエロス力を描こうとしています。

東京帝大の学生で紅顔の美少年三島譲は近く高等文官試験を控えていたが、ふと散歩に出かけた海岸で涙にくれるかわいい女と出会い、「自殺志願者ではないのか」と持ち前の人の良さから声をかけてあれこれ事情を聞き、色香に迷って関係を持ってしまう。

女と所帯を持ちたいと思い先輩に打ち明けて帰る道すがら、暗い夜道で難渋している若い女を見てほっておけなくなり、女の家まで送ってやるのだが、女が「姉がご挨拶したいとゆうております、少しのことですからおあがりください」というのでやむなく上がると、妹は引っ込み妙齢のエロい女が出てきてしきりに引き止める。酒を酌み交わしながら女が近寄ってきて、ひどく刺激的な香水の香りがする。結局三島はこの姉を始めとして妹や女中からなぶりものにされて殺されてしまう。

という話なんですが、近藤ようこの漫画はとにかく女の仕草がなかなか色っぽくてよくできてます。最初の海岸での出会いのシーンも夕暮れへの砂浜で和服のよく似合うかわいい女が中島みゆきのように上を向いて啜りあげている。2回目の妹に出会うシーンも顔は初めは暗くてよう見えないが、目を落とすと、着物の裾からほそいあしくびやきれいな下駄が覗くという描写で、想像を刺激されます。最後の姉が出てきて男の隣にやってきて香水の香りが鼻腔をつくシーンは艶やかな女と相まって非常に魅力的です。

漫画の持つ映像美が堪能できる素晴らしい作品でした。

 


2018-12-21 00:17:00

このところ白髪が増えてきて友人には「おまえ、あれやな白髪急に増えたんちゃうか」とか子どもには「なんで染めへんのん?」とか真顔で言われてます。まあ老化は当然のことで、覆い隠しても仕方ないですからね。両親も祖父母も特に髪を染めることはしてませんでした。というか以前は老人は大体白髪だった記憶があり、しかも大半はものすごく腰が曲がっていた。ほぼ90度に体が折れ曲がっていて鳩の杖なんかを持っていて、なんでも鳩は首をフリフリよう歩くからとのまじないらしいが、そういうてる本人が息も絶え絶えでふらついてるもんだから気の毒だった。

萱島駅の寝屋川寄りのいつも行く散髪屋が休みで仕方なく適当に飛び込んだ店でやってもらって「どうも頭の左側だけ髪の毛が伸びるのが早うて、カットしてもうてもしばらくしたら左側だけ膨らんでしまうんですわ」と聞いて見たら「髪の毛伸びる早さは右でも左でも変わらんよ。あんたの髪の毛は下の方が上を向いて生えるくせ毛やから切り方を工夫せなんだら、膨らんでくるんや、まあ任せとき」という。そんなもんなんかな。「平成10年に操業して今年でちょうど20年になんねんけど、以前は12月ともなったらもうお客さんはいらんわゆうくらい詰めかけてきたもんなんやけどな、今はあかんわ、大体この辺散髪屋が多すぎるねん」とのことだ。


2018-12-20 13:39:00

今朝はそんなに寒さは強烈ではなく昼過ぎからは雨との予報でどこか雨の香りがしたり、ぬるんでいる感じです。

以前青林堂から「神の悪フザケ」「花さける孤独」などの愉快な漫画を出しながら自殺してしまった山田花子の日記が増補となって文庫化されました。繊細な感性を持つがゆえに相手からの些細な言動が気になり、いつまでも気に病んでしまう。勇気があったら当人に真意を問いただしたり、こっちから仕掛け返すこともできるのだが、気があかんためにそれもできない。根がまじめだからいつまでも思い詰めて、結局自分がダメなせいだといけない方向に追い込んでしまう。

でも山田花子は「ガロ」という芸術系の漫画誌に表現の舞台を得て、精神的にも安定して創作活動で様々なものを昇華できていると思っていました。中学時代の思い出を描いた作品でアゲハの幼虫を観察する話があって、毎日からたちの葉を持ってきて丹精込めて育てていき、さなぎとなりある日とうとうさなぎの殻を破って成虫が姿を現した。

待ちに待った瞬間なんだが、蝶はなかなか前進を現さない。まあ当たり前ですよね、3時間くらいはかかるものです。ところが善意の人山田花子は「これは私が助けてやろう」とピンセットで慎重に蝶を取り出してやるんですね、もちろん蝶は飛べません。いらんことをして可愛らしい蝶をむざむざ殺してしまった自分を少し冷めた目で描いていました。

また彼女は医者にもかかっていたし、最愛の両親と一緒に暮らしてもいた。精神をさいなまれて入院もして医者の言いつけも守り、好転したので退院した、ところがその直後に屋上から身を躍らしてしまった。