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古本屋日誌

2020-04-27 19:24:00

毎週土曜日に「朝日新聞」は書評を掲載しているが中には面白そうな本もある。
この間は呉座勇一が木下聡の「斎藤氏四代」を取り上げていた。


従来斎藤道三が独力で成し遂げたとされてきた美濃一国の切り取りは実は親子二代での達成であることや、斎藤義竜の治世は極めてスムーズでもし若死にしなければ信長による併呑には時間がかかったか、不可能だったと思われること、義竜が土岐家のご落胤などというのは江戸時代になって作られた妄説であること、道三がマムシと呼ばれるようになったのは実は坂口安吾の小説からであることなどが書いてあって驚かされる。


それはさておき、この本を手に入れるのは大変で今回の肺炎騒動で土日は大型書店がほとんど閉まっていて、ネットでの検索すら不可能になっている。
仕方なくAmazonで検索してみたらすでに新刊はなく、マーケットプレイスの古本なんだが7000円以上している。
ようやくジュンク堂の芦屋店で見つけて購入はできた。
なるほど朝日新聞の書評はそれなりに権威あるものだからこれを手引きにして本を買う人が、私も含めてそれなりにいることが予想された。試しに朝日新聞に載っている「斎藤氏四代」以外の本はAmazonでどの程度の値段になっているのかを調べてみた。
結果、呉座勇一の推している「斎藤氏四代」だけが高い値段になっていてその他の本は普通の値段で特にプレミアも付いていない。
ふーん、そうなのか。これは呉座勇一が書評家として人気があるためなのか、それとも歴史関係の、とりわけ戦国時代がらみの本は人気があるのか今のところはよくわからない。それにしても5月2日から6日まで、ジュンク堂はほぼ全店舗の休業をすでに予告していて、娯楽の殿堂である巨大書店でクルージングを楽しめないとは残念だよなあ。

おまけにどの図書館もしまっているし、みやこメッセの古本市もないし困ったものだよなあ。
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2020-04-26 11:46:00

新潮文庫から去年山本周五郎の「季節のない街」の新版が出た。

活字が大きくなり、カバーは川瀬巴水の版画だ。スラム街の話なんだが川瀬の版画は川べりに家屋が張り出して佇む風景で情緒たっぷり、失われたものたちへの郷愁をそそる。


だが周五郎の作品は赤裸々に貧民大衆の日常を描いたもので昭和レトロブームをあざ笑うかのような作風、そのコントラストの鮮やかさに心打たれる。


なかでも「とうちゃん」は秀逸だ。腕のいい刷子職人の良太郎には五人の子がいるのだがどれも父親が違うという噂なのだ。妻のみさおは男グセが悪く、子供の面倒も見ることなく遊び歩いており、そのくせ旦那の仕事ぶりには「もっとちゃっちゃとできないのかい、グズでノロマだよ」と文句をつけてその稼ぎで遊んでいる。
子供たちは口答えもせず父親の手伝いをする健気な兄弟なんだが、外で口さがない大人の言葉を耳にする。やれ「あそこの家はみんな父親が違っている」やれ「お楽しみのことだよなあ」。
ある時次郎が泣きながら帰ってきて良太郎に「とうちゃん、とうちゃんは本当にとうちゃんなの?みんな違う違ういう」と真剣な面持ちで問いただした。
さて良太郎の返事は?
ここが面白いところなんですな。
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2020-04-25 10:52:00

昨日は下鴨のお客さんのところに買取で伺いました。
例の豆大福で有名な「ふたば」はお客もまばらでそれでも店の前に係員を配置して並ぶ位置を指定してという感じでした。
お客さんが言うには「あれやな、京大前の吉岡書店も明日から店閉めるゆうとるし、善行堂とか中京のはんのきとか、河原町の京阪書房とかも閉めとってな、本を売るとこがあれへんねん。しゃーあなくオーパのブックオフに電話したらそこも閉めとんねん」とのことで、面倒だから紙ゴミの日に要らない本も出そうかと思っているとも言ってました。
まあそれはこちらとしてはもったいないわけで今日のように呼んでもらいたいところなんです。
京都は観光都市で、中京などは街中のかなりの人たちが旅行者をターゲットに生業を立てているので、今回の自粛騒動はこたえている感じもする。

ただ料亭や有名な塔頭は客は減ってないようだ。普通の客は来ないがいわゆるビップが人のいないゆったり観光できるチャンスということでものすごい金額を落としてくれている。
でもどうなんですかね、
ハラリも「サピエンス全史」て縷々語っていましたが休みに旅行する、観光するというのは本当は無駄な行為です。
京都の寺院や庭や風景がいいといってもそれはマスコミやらが作り上げた虚像であって、実際見てみたらどうということもない。

ただ行く方が「これだけのお金をつかって、時間もかかったんだからいいものに違いない」てな感じで自分を納得させようとしてますからね。
食事なんか京都は最低ですね。これはさすがに上げ底は効かないから観光客も「高いのに全然美味しくない」とみんな言います。
しかしこれも「まあ観光地やからしゃーあないな」てな感じで納得させてしまいます。
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2020-04-24 00:34:00

大阪の郷土雑誌「大阪春秋」の最新号は四條畷特集だ。

四條畷の話は掘り下げ方も中途半端で物足りない出来だが、後半に作家の藤澤桓夫が長沖一の息子に戦前の左翼かぶれだった時代のことを赤裸々に語ったインタビューが載っていて、これは実に面白い。
民社党の春日一幸が共産党の宮本顕治を中傷しようとして戦前のいわゆるスパイ査問事件を国会でわざわざ取り上げて、宮本を人殺し呼ばわりしたことがあった。

警察のスパイを宮本が尋問して、結果的に死んでしまった事件のことだ。


藤澤はこういう。

「やっぱり警察の送り込んだスパイちゅうのは、殴り、あの、実際虐殺、あの処刑したかて、あの、まあそういうの、僕ら青年たちはな、むしろ正しいみたいな感じ持っとったからね。」


まあこれは当たり前の話で当時の共産党は非合法なんだから大日本帝国の法秩序になど従う義務などないわけですから、それを殺人だとかいうのはバカバカしい。


藤澤の小説は物足りないんだけど、何でもかんでも今の価値観で判断しようとする歴史主義みたいなものにはとらわれていないことがわかって少し安心した。

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2020-04-23 12:09:00
昨日は三ノ宮のお客さんのところに出かけて買い受けました。
その後出向いたセンター街のジュンク堂は時間短縮で営業していて床には1メートルおきに印が付いていてレジ待ちの列を調整してましたが、列は梅田ほどではなくものの2、3分もしないうちにレジに到着できました。
どの書店もレジ前の目立つ平台に「感染症コーナー」を設けて新潮文庫のカミュの「ペスト」角川文庫の小松左京の「復活の日」中公文庫のデフォーの「ペスト」やらを並べてますが、新潮の「ペスト」は冊数も多くて平積みとなっているのだが、中公のはあっても1、2冊で気合が入ってない。
どの商売でもそうなんだが本屋は特にお客さんの方が圧倒的に商品知識が有る。だからわれわれもほとんどお客さんから教えていただいた知識の受け売りをしているようなものだ。
今回の肺炎騒動でも椎名誠の「蚊」開高健の「パニック」アクションコミックの「バスタブに乗った兄弟」新潮文庫の「蠅の王」「魔の山」「方丈記私記」ちくま文庫の「デカメロン」角川文庫の「いのちの初夜」なんかはパニックもの、感染症もので面白いんだから一緒に並べたらいいと思うのだが、本屋の店員は返品作業で忙しくて本を読む暇がないのだろう。
中央公論から出ている「日本の歴史」の第5巻は土田直鎮によるもので「王朝の貴族」と題されているが九州から侵入してきたマラリアが猖獗を極め大変なことになっていく様がリアルに書いてあって面白い。
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