Welcome
古本屋日誌
今日はいい天気で尼崎と伊丹のブックオフに行ってみた。
この季節はなかなか仕入れが思うようにいかない。
春先の引っ越しシーズンが終わり、学生にせよ、リーマンにせよ落ち着いて勉学や仕事に励む季節だからだ。
尼崎には3カ所のブックオフがある。
JR尼崎近くに東難波店、阪急の園田近辺の店、そして西昆陽の店だ。
このうち西昆陽の店が格段に大きく、駐車スペースが130台分もある。
近くに電車の駅はなく、幹線道路から車で入店するスタイルなのだよなあ。
本やマンガ、絵本だけでなく、ゲームソフト、ゲーム機本体、カード、服、靴、家電、楽器、ブランドバッグなども扱っている。
家族で来てもそれぞれがそれぞれの好みで時間を過ごすことができるなあ。
実際俺が本を見定めているすぐ横で赤ん坊の鳴き声がたくさん聞こえた。
これが甲子園球場なら、喜ぶのはタイガースオタクの父親ぐらいだろう。
子どもは野球に興味もないし、いわんやタイガースは見る価値も何もないチームだ。
連れてこられた子どもはストレスが溜まるだけなのだ。
呉座勇一の新著「戦国武将、虚像と実像」には真田幸村の章がある。
夏の陣の戦いを当時の書物からまずは確かめる内容になっている。
戦乱収束後、まもなくできた『大坂物語』には信繁の活躍はほとんど書いてない。これはこの本が徳川方の視点から書かれたものだからだとのことだ。
ただ薩摩藩主の島津家久が落城後に、国元に送った書状は有名だ。
信繁は家康の本陣に三度突撃したという。同書状には「真田日本一の兵、古よりの物語にもこれなき由、惣別これのみ申す事に候」というやつだ。
また「イエズス会日本年報」には家康は戦死を覚悟して切腹しようとしたという。
さらに、「家康に仕えた老臣大久保忠教が著した『三河物語』でさえ、一時は家康本陣が崩壊して、家康を守る騎馬武者が小栗忠左衛門一人になったことを認めている」
てな具合に真田の奮戦ぶりは当時のしっかりした資料でも確かめられるわけだ。
それにもかかわらず、家康本陣がどこにあったかもよくわからない。
また、切腹まで覚悟した家康の足跡がたどられない。
大阪市内に「ここなんだよ❗️❗️❗️家康が腹に刀を突き立てようとした場所は❗️」てな旧跡がないのは問題だな。
今日は北野天満宮に出向いた。
青紅葉を見ようと思ったが、出町柳から17系統の市バスに乗ったのだが、これは河原町通を南下するバスで、永遠に行きつかない。
河原町三条で降りてタクシーで天満宮に出向いた。2000円ほど。
参拝して500円払い、御土居の青もみじを見てから上七軒をぶらぶら。
うどんの「松葉」で嫁は冷やし中華、わしは冷やしきつねを食べた。
その後もぶらぶら今出川通を歩いて堀川通をすこし下って晴明神社に詣でた。
五芒星が充満するパワースポットだ。
戻り橋からバスで三条まで行って、4時に河原町三条のアサヒビヤホール。
この店は一階と2階に分かれているのだが、人気があるのは一階で、それも河原町通に面した席なのだ。
縦が3メートルは優にあろうかという大きなガラスを通してメインストリートを歩く人たちをゆっくり眺められる。
すりガラスでもないし、特殊なフィルムを貼って外側からは内らが見透せないようになっているものでもない。
だからのんびり椅子に収まってビールをきこしめしている自分の姿を見られてしまう。
「なんか気恥ずかしい」と思う人ももちろんいるのだが、全然逆に楽しんでいる人もたくさんいるのだ。
(俺はこんなにのんびりして、ビール呑んで、美味いものを買っているのに、あんた方は忙しそうに、額に汗してえらい大変やなぁ〜)
今日も既に窓際の3席は埋まっていて、それぞれクセのありそうな年寄りが座っている。
河原町三条にある古本屋「京阪書房」が近く閉店すると聞いた。
覗いてみたが特にセールの予告してはなかったな。
今月の『文學界』にのっている朝日書林の荒川義雄の文章には次の内容がある。
なんでも今から2年くらい前の話だと言う。
「市場で入手して彼に送った、田中英光の書簡の内容が、今の彼の精神状態とすごくマッチしたらしいんです。(中略)
彼の説明によれば、英光が『周りから全然認められなくて悔しい、悲しい』と訴えるような文章だった。
それを読んで、「泣いた。今の自分だ」と言うんです。その時、「自分の二回目のブームは必ず来る」とも言ってました」
2年前といえば2020年あたりだが、特に西村賢太が売れなくなったわけではないし、田中英光のように『周りから全然認められなくて』てなことはないのにね。
ただ文庫本は次々品切れとなり、重版されない状況になっていたことも確かだ。
それが西村賢太には耐えられない事態だったのかなあ。
それだったら、例の父親の事件を赤裸々に書いてみるとか、田中英光の遺族に暴言を吐いたやつを取り上げてみるとか、西村自身が暴力沙汰を起こして収監された話を取り上げるとか、そういうセンセーショナルな、本人にとっては身を切られるようなネタだろうけど、其処に切り込んで欲しかった。
センセーショナルなネタの方が話題になって部数も出るに違いないからだ。
今日は純文学雑誌4誌の発売日で、「文學界」は西村賢太の特集だ。
また、今月も連載をまとめた単行本と藤澤清造のエッセイを集めた、西村賢太編纂の文庫本が出る。
また7月には文庫本サイズで追悼文を集めた特集本が出る。
それにしても西村賢太については懸案の「藤澤清造全集」を朝日書林から出さなかったのが謎だな。
あれだけの年収があるんだから、なんの問題もないのに不思議だ。
「売れないとわかってる本を赤字覚悟で出すのはなあとひよったんだよ」という人もいる。
「藤澤清造の小説は大したものではない。今読んで通用する代物ではない。そういう真っ当な意見を周りから聞いて、西村賢太も二の足を踏んだんやないか」てな話も聞く。
さて、今日出た「文學界」には朝日書林店主の荒川義雄の話が載っている。
「彼は百パーセントを求めるタイプですから、資料集めでなかなか踏ん切りがつかなかったんじゃないでしょうか。ただ去年あたりから、今年こそは出そうと言っていました。
毎年そんなようなことは言っていたんですが、今回は本気のようでした。だから、すごく残念です」
とある。
つまり荒川は西村が凝り性だったので先延ばしにしていたと判断しているわけだ。