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古本屋日誌
インベカヲリが2冊続けて本を出した。
そのうち一冊は死刑囚の教誨をやっている人や、無差別殺人の友人、永山則夫の弁護をしていた人などへのインタビュー集の『死刑になりたくて他人を殺しました』(イーストプレス)だ。
先日の大阪で起きたクリニック放火殺人事件など、多数の無辜を、巻き込みはた迷惑もいいところだ。
脳生理学の観点からそういう危険人物を、脳の構造や生理から割り出せないものなのかと思うところだ。
これについて京大の岡邊健(犯罪社会学の研究者だそうだ)の話が載っている。
「岡邊氏は、人を生物学的な根拠だけで説明しようとしたら、途端におかしなことになると言う。つまり環境要因も大きいということだ。
(ここから岡邊の話)『社会によって犯罪は全然違うんですよね。殺人のような、わりと定義がはっきりしている犯罪ですら日本とアメリカでは、人口当たりの発生率が二十倍くらい違うんですよね。
日本はすごくすくなくて、ドイツが日本の三倍くらい、イギリス・フランスが四倍くらいあるんです。
こんなに違いがあるのって、生物学的な説明はつかないんですよ。そうするとやっぱり社会の問題になります』
この後、岡邊は例の北新地事件の犯人について生活保護をかけてやらなかったのが問題だという。
日本では他の先進国に比べて必要な人に生活保護の救済が行き渡っていないというのだ。
そしてそれが原因で凶行に走ってしまうのではないかと言う。
でも日本に比べて生活保護の充実している欧米各国の方が殺人事件ははるかに多い。ここを説明しないと岡邊の話は意味がないな。
だいたいこの手の学者先生はすぐに環境要因に逃げ込みすぎではないのか。
日本では凶悪事件の数なんか、たかが知れてるんだから、これまでの犯人の犯行に至るまでの細かい言動や兆候を精査してみたら、どう考えても危険だと判断できる要素が取り出せるのではないのか。
この本の中でインベカヲリは、秋葉原無差別殺傷事件の犯人の友人にもインタビューしている。
その中にとんでもない話がある。
(犯人の加藤は国道のライン引きの警備の仕事に就いていたのだが、一緒にチームを組んでいた高齢のガードマンがヘマをして、引いたばかりのラインを何度も踏んでしまい、地面に足跡がベタベタついてしまった)
「なんと加藤はいきなり高齢の警備員(72なんだそうだ)の胸倉をつかむと、柔道の足払いの要領で全体重をかけ、彼を頭からアスファルトに叩きつけたという。
(中略)
あまりの出来事に一同絶句し、時が止まったかのように場が静まった。
その中で、加藤は一人クルリと振り返ると、満面の笑みを浮かべて『大友さん!ちゃんと注意してやりましたから!』と言ったという。」
こういったことを平気でやるのはやはり前兆現象と思うけどな。
「文藝春秋」の昭和49年11月号を入手しました。
立花隆の『田中角栄研究、その金脈と人脈』が載ってる号です。
立花によればその当時は選挙で必要な億単位の金は簡単に調達できていたという。
「証券会社なら、もっと簡単に(新規上場で儲けさせる手法を指している)株で金を作ってやれる。
政治家に安値で株を買わせ、市場に大量の買いを入れて、値を大きく上げさせ、高値で売り抜けさせる。
選挙、総裁選前後などには、必ずといってよいほど、異常な値動きを示す銘柄が幾つか出てくる。
その場合、一日に百万株単位の売買が行われ、時には一日で一千万株以上動くことがある。百円くらいの値ザヤが短時日に出ることはザラにあるから、億単位の金が簡単にできるわけだ。」
なるほどそりゃあ金ができるわけだが、今はいくら何でもこんなやり方は無理だな。
いつものまったりした立花の文章でないところも面白いな。
青春盛りの若者のスッキリしたレモンサワーのような文章だ。
この3日ほどはしっかり雨が降ってありがたい。こうでないと、梅雨なんだから。
思い返せば、先週の後半は、地獄のような猛暑でこの時期なのに、最高気温が38℃越えなどと、わけのわからん毎日でした。
ようやく梅雨が戻ってきてありがたい。気象庁は梅雨明けしたと言ってるようだが、これだけの雨が降るんだから、まだまだ梅雨はこれからだと思うよ。
堺筋本町の船場センタービルの3号館一階にある「槙尾古書店」はもと天牛堺書店のあったところだ。
今文庫コーナーで旺文社文庫の内田百閒が20冊くらい並んでいる。
この文庫の内田百閒シリーズは全部で39冊もあって、それぞれカバーは田村義也で非常に魅力的だ。
以前買い取りに伺った神戸のお客さんはわざわざ自室の壁に文庫本が置ける小さな棚を階段状に20いくつもしつらえて、そこに内田百閒の旺文社文庫を一冊ずつ、カバーが見えるように展示していた。
なるほど、本を読むだけでなく、見て楽しむ絵と考えるわけだ。
なんて独創的なお方なんだろう。
じっくり拝見して、田村の装丁は装飾画として飾りたくなるくらい素晴らしいものだと改めて感じた。
であるのに、「これ、なんぼやったら買う❓」とおっしゃるので
「やめときまひょう。せっかくやねんからこのままで。目の保養目の保養」と言ってやりましたよ。
売るなどもってのほかだ。
さて槙尾古書店の値付けは300円が5冊、700円が10冊あまり、残りは1000円とか1700円が、付いていた。
300円の中には人気の「王様の背中」も入っている。なるほど、こうしてお客さんを捕まえるのだなあと改めて感心させられる。
300円は相場を知ってる人が『安い』と思って買うし、700円、千円は相場だから欲しい人は買うだろう。
もっと高い値付けだって、金を持ってる人にとっては関係ないし、シリーズで全部欲しいと思う人もいる。
今年亡くなった石原慎太郎の「わが人生の時の時」が新潮文庫で復刊となった。
この本はずいぶんプレミアがついていて一時は5000円以上していた。
石原慎太郎はつまらない小説が多すぎるのだが、この作品については素晴らしくて心打たれる。
それは確かにフィクションの形をとってはいるが、実は私小説であり、石原の実体験に裏付けられているからだろう。
冒頭にあるのは「漂流」と題された作品だ。
これは伊豆の大島でヨットを浮かべてボンベをせたらい潜って魚を銛でついて取るところから始まる。
たくさん仕留めて、エアーが少なくなり、海面に上がってきたら、頼みの綱のヨットが遥か遠くに浮かんでいる。
おまけに相手が風上なので声を張り上げても届かない。
「…するうち船は何を勘違いしたのかさらに遠ざかり、暫く探していたがやがてあきらめたのかそのまま走っていってしまった。」
男は漂流するのだが、運良く漁船に救助された。
しかし、腹の虫が収まらない。
帰ってしまったヨットのメンツのところに出かけて
「俺が黙って近づき首にまいてたレギをテーブルの真ん中にほうりこんで飛び乗ったら、金田の野郎が立ち上がって、
『なんだお前、生きてたのか』いいやがった。
俺は黙っていきなり力まかせにあいつの顎を殴りつけた。
(中略)
金田がまわりをとめて、『悪かったなあ、どうしようもなかったんだ』
いったよ。
俺は何かもっといいたいことがあるような気がしてたけど、でもそれっきりにしておいた。
『なぜだね』私は聞いた。
この男は頭に血がとぼると全く向かうみずに喧嘩をするのでも仲間内に知られていた。
しかしなぜかその時、彼は肩をすくめながらいった。
『まあ、海じゃよくあることだしな」」
京阪電車の萱島駅がうちの最寄駅で、お客さんのところに伺うにも必ず使う。
一年中、乗らない日はないから、この2年は株主優待の定期を利用している。
これを手に入れるには京阪電車の株を6800株以上保有していなければならない。
現在京阪電車は一株3300円くらいだから、少なくとも2200万円を超える現金が必要だ。
もちろんそんな意味のないことをしなくても、ヤフオクや繁華街のチケット屋で売っているからそれを入手するわけだ。
丁度この時期にはたくさん並んでいて、今月の11日から来年1月の10日までの分だ。
去年はコロナ騒ぎでリモートワークになる労働者も多かったせいで、この時期定期券はダブついていた。
ヤフオクには6月の下旬には一度に10枚以上が出品され、オークション形式ではなく即決も多かった。
では誰が出品しているのかというと、チケット屋が実に多かった。
京阪電車の株を2000万以上も注ぎ込んでこうてるひまじんたちは、金持ちなので、自分で不要な定期券を売り捌くことなどしない。
さっさとチケット屋に売ってしまうのだ。
自分で売ったほうが数万円は儲かるのだが、その程度の利益はひまじんにとっては興味のないことなのだよ。
私は6月28日に63000円で手に入れた。
今年も同じくらいの値段で入手したかったのだが7月に入っても定期の出品は少なく、落札金額を見ても75000円くらいと、ずいぶん高騰している。
やはりコロナ騒ぎの収束で出社するリーマンも増えて、必然的に定期券の需要も高まっているのだろう。
京阪の京橋駅からJR京橋駅に向かう通路に「甲南チケット」があった。(今はない)
この店で去年の6月、京阪の定期券が欲しいから値段を教えてくれと頼んでみた。
中年の男性店員は何箇所かに電話をかけて価格を調べている。
しかしいっかな、判明しない。
その間に店の前には数人のお客さんも並んできた。厚顔無恥な私もさすがにずつない。
ようやく「8万です」というので
「それやったら要らんわ」となってしまった。
そもそもオークションでは、せいぜい7万くらい、65000円くらいも多いのに、かなり高い提示だ。
ヤフオクにはチケット屋も、たくさん出品していて7万や65000円で落札されてしまっている。
しかも手数料が8.8%きるし、送料も店の負担だ。
ということはたとえ7万で売れたとしても手数料が6200円と送料で250円くらいかかることになる。
そう考えたらオークションなどに出品しないで、直接欲しい客に65000円くらいで売った方がよっぽど楽だと思うのだが、この商売人の考えることはわからんな。