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古本屋日誌

2022-08-01 09:53:00

突然閉店してしまった、上六にあった「一色文庫」のマスターと坪内祐三の話をしたことがある。

 

 

古本屋で、ある著者の話をするのは、客が好きな作家だということだし、そのことはマスターもわかっている。

 

 

だが彼としてはどうしても容認できない思いが強かったのだろう、かなり強い口調で坪内の振る舞いを批判した。

 

 

「あの人ね、古本屋仲間のところへ来て、何人かの古本屋とテーブルにつく段になって、いきなりですよ、いきなり、横にいた、まるっきり見ず知らずの古本屋の親父をつかまえて『はい、これ』てコートを差し出したんですよ。信じられます❓」という。

 

 

確かに初対面の、しかも歳上の人間にいきなりコートを渡して、かけて来いというのは礼を失しているだろう。

 

 

そうなんだけど、古本屋にとっても、尊敬する評論家のことだし、また作家というのはどこか気難しく、非常識なところも備えているものだろうから、俺はそんなに不思議なことには思わなかったな。

 

一色さんにはそういう繊細なところがあって、客でも、尊敬する作家でもやはり気になっていたんだろう。