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古本屋日誌
COTOGOTOブックスという出版社から『西村賢太追悼文集』が出た。
200ページ余りで各出版社の編集や親交のあった小説家、古本屋、一般の読者が各々の視点で賢太を論じている。
西村は、いろいろな出版社と揉め事を起こして、切られたり、音信不通となったりしていた。
先日出た『本の雑誌』6月号ではその編集者たちの座談が掲載されていた。
ここではあからさまではないものの、何が原因で賢太と揉めることになったのかがわかる話があった。
それは単行本が出た際に、著書の賢太に50部程度、献本される。
これは彼が世話になった人や評論家や親交のある作家に送るためのものなんだが、その本のコンディションチェックをひつこくやるというのだ。
帯が切れたり、傷んだりしていないか、カバーにスレがないか、このあたりはわからなくもない。
しかし賢太のこだわりはそんなもので済まず、カバーの印刷のムラがゆるせなかったり、造本の少しの歪みなどにまで及んで、それを各社の担当を交えて長い時間使い細かく調べるというわけだ。
こんなくだらない、賢太の単なるわがままによく付き合うものだよなあ。
今回の追悼文集でそのあたりがさらに赤裸々に語られることを期待していた。
KADOKAWAの山田剛史の文。
「こちらのミスも、賢太さんの甘えや理不尽も、お互いに思うところもありました。仕事上のことでは大変厳しく、小説や書籍に対する妥協は一切ありませんでした。その一方で、〆切がギリギリになったり、時には延期したり落としたり、音信不通になったりもありました。
また装幀やネームも一切こちらの意見を聞き入れませんでしたし、後年は売れ行き自体も芳しくありませんでした。
各出版社も必ず一度はもめて、そのまま関係性が切れてしまうこともありました。私自身、何度か罵倒を受けましたし、『これが貫多か』と実感したものでした」
という程度で細かい揉め事の原因や経緯は書いてない。やはり死んだ人を鞭うつのは作法としてなじまないのかなあ。