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せいゆう丸釣行記
餌のアジ釣りの場合、ポイントの真上に船を固定するためイカリを打たなきゃ仕事になりませんが、イカリを抜いて引き上げる作業時に留意しなければならない大事なことがあるので、今日少し詳しく書きますわ。
イカリを海底から抜くことを抜錨と言いますが、これはエンジンをかけてプロペラの推力で抜くことが基本でして、抜いたイカリを引き上げることを揚錨と言い、これは電動ウインチのお仕事であります。
つまり海底にかけたイカリを船中に回収するのには2つの段階ありまして、そのことをしっかり理解した上で抜錨・揚錨をして欲しいですね。
そうでないと配線を焼いたり、バッテリー上がりを起こしたり、最悪の場合は電動ウインチのモーターを焼いて大変なことになっちまうんですわ。
まず抜錨の場合、イカリをかけてる場所が砂地なのか岩場なのかでやり方が少々変わりますが、プロペラの推力で抜くのが基本でして、
① ドライブが真っ直ぐ前進方向に向くように、後ろのドライブを確認するハッチを開けてステアリング操作をする。
② ギヤを入れ微速で前進させ、船長は前方に移動してロープをウインチにかけ、ウインチに無理をさせないよう、あくまでもエンジンの推力で船が前に進むようにし、ウインチはただロープを巻き取るだけにする。
③ ロープが巻き取られイカリの真上近くになると次第に前に進みにくくなり、ウインチの負荷量が増えて来ますが、砂地の場合ふっと抜けることがありますが、岩場の場合はまず抜けないです。
④ ウインチを止め、ロープを片側のクリートに結わえ、真っ直ぐ船が向いてた方向に少しエンジン回転を上げ船を走らせると、次第にロープを掛けた側に引っ張られるようになりますので、ステアリングを反対方向に切ってとにかく真っ直ぐ方向に走らせていると、船首がふっと軽くなった時がイカリの爪が伸びて抜錨出来た瞬間になります。
⑤ 抜錨後、しつこく走らせるとロープをプロペラに巻きつけてそれこそ大変なことになるので、ギヤをニュートラルにしてウインチでイカリを巻き上げる。
まあ、ざっとこんな手順になりますが、せいゆう丸の砂イカリは1度掛かったらエンジンパワーでないと外せないから、前に行ったり運転席に戻ったり忙しいけど、抜錨と揚錨をきちんと分けて作業をしておりますわよ。
そんでもってやってはいけないことを次に書いてみますが
① 抜錨も揚錨も全部ウインチでやる ⇒ 配線を焼く・バッテリーを上げてしまう・ウインチのモーターが焼き付く
② ロープを伸ばしたままウインチで巻かずおもむろにエンジンかけて前進してイカリを外す ⇒ たるんだロープがプロペラに巻き込まれて動かなくなり、海に潜ってペラに絡んだロープを外すことになり、下手すると流されて死亡事故になる。
③ エンジンの推力で外す時にロープを船首の真ん中に掛ける ⇒ これまた真っ直ぐロープがプロペラ方向に向かい巻き込み事故になる。
④ 漁礁本体にイカリを打つ ⇒ コンクリートブロックの漁礁は穴だらけだから、穴に落ち込んだイカリは2度と回収できない
⑤ 抜錨するのにエンジン全開のフルパワーで前進する ⇒ 地球に引っ張られて間違いなく転覆事故になる。
自分は運転席側である右側にロープを掛けますが、抜錨の時にはロープの動きを注視しながら前に進みますが、ちょっとでも船の舵を左側に切ってしまうとたちまちロープがプロペラに近づいて行くので、油断大敵なのであります。
自分も若い時に何度か沖でプロペラにロープを巻き付けてしまい、潜ってナイフでロープを切る羽目になったことあるけど、潮の流れが速い時には命綱をしてないと、確実に土左衛門になって新聞沙汰になっちまいますねえ。
潮が速い時にプロペラにロープを巻きつけてしまうと、潮の流れを船尾でまともに受けるから船尾が沈み込み、そりゃ怖くて死ぬかもと思ってしまいますがね。
イカリ外しに自信が無かったり、文章だけでは分からないとお思いの方は、時間を取って沖でレッスンしてあげるから遠慮なく声を掛けてくださいな。
さてと、波が落ちてきたようなので、そろそろ出立して沖に出てみましょうかね。