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せいゆう丸釣行記
昨日は通夜で串間に行ってて特にネタがありませんので、今日は操船技術についての解説をしましょうかね。
前回、シフトレバーが中立(ニュートラル)にならないとエンジン始動しない事を書きましたが、そもそもお船における前進・後進・中立がどのような仕組みでそうなるのか、メカの解説も交えてお話します。
ここを先に書きたかったのは、実はドライブ廻りのトラブル回避や、離着岸時の衝突予防のための基礎知識として是非覚えておいて欲しいからです。
エンジンを始動して色々準備を整えて 「さあて出港するか!」 となって次に起こすアクションは、離岸のために後進(バック)にギヤを入れることですよね。
お船を岸壁に係留する時、ほとんどの場合船首を岸壁に向けて泊めますが、それはドライブを壊さないためという大きな理由がありまして、船尾を岸壁に向けて係留していると、波や風や潮の干満で船が上下前後してドライブを岸壁でガリガリとやり、確実に一晩でお釈迦になっちゃうんだよねえ。
船首には防舷材なるタイヤやフェンダーを取り付けているから、例え岸壁でガリガリやってもどうってことないけど、ドライブやペラをガリガリと痛めた日には、そりゃ大きなダメージとなり莫大な修理費用がかかっちゃうから、気をつけなければなりません。
で、バックにギヤを入れる際、特に気を付けなければならないのは船外機のシフトの仕方であります。
船外機のギヤケースは構造上コンパクトに作らなきゃいけないので、動力をプロペラで前後の推進力に変えるために、ドッグクラッチと呼ばれる継手が使われております。
名前の由来は知りませんが、多分犬のようにガブっと噛み付くからだと勝手に思っております。
この溝が相手の溝にガブっと噛む構造になってて、ダイレクトに動力が伝わりコンパクトに作れるのが利点なんですが、噛み付く瞬間に 「ガリガリガリ」 と金属と金属が擦れる現象が避けられず、長い時間使っていると次の写真のように歯の特定の部分が擦れて摩耗してシフトが困難になり、最後はギヤが全く入らなくなります。
この現象を 「舐める」 と良く表現しますが、要するに角が無くなったため噛み付けず、ニュートラルのままギヤが全く入らなくなるのですわ。
ギヤを入れる時に慎重にそろっと入れて 「ガガガ」 と長いことギヤケースから音を出してシフトされるお方をたまに見ますが、確かに激しく操作して岸壁に激突させるよりマシではありますが、それってドッグクラッチをいたずらに摩滅させていることなんだと知っておかなきゃいけませんね。
船外機のシフトの操作はあくまで 「スッ」 と素早くして、出来るだけ 「ガガガ」 を少なくしてやることを心がけるようにしましょうね。
次に船内外機のドライブのクラッチはコーンクラッチと呼ばれる全く違う構造をしてまして、船内外機の場合ドライブの大きさにさほど制約がないから、ドッグクラッチより耐久性のある構造となってます。
これがコーンクラッチのお写真ですが、ドッグクラッチは噛ませて継なぐけど、コーンクラッチは円錐形したマントルを臼で受け止める仕組みでギヤオイルが内部を潤滑して焼けないようになっております。
溝が無数に入ってますが、潤滑油がここを通って焼き付きをふせいでおります。
要するにガブっと噛むのではなく、臼に押し付けて摩擦で継なぐ構造なんですね。
このあたりオートバイの湿式多板クラッチとチト似てるかも。
前進・後進はこのコーン(円錐状)を上下に動かすことで変化させます。
ですからシフトの際決して 「ガガガ」 の音はしませんで、スムーズに音を立てることなくエンジンの動力がプロペラに伝達されるスグレモノなんですわ。
ただ長い時間使い続けると摩擦であたり面が磨り減ってきてギヤが入りにくい現象が起こってきますが、摺り合わせという作業でまた元の状態に戻せるそうですが、このあたりになるとヤンマーなどのメーカーのプロのお仕事のようです。
船内外機でもジュニアくんのように低馬力のドライブの中にはドッグクラッチのものがあるから、出来るだけ 「ガガガ」 は避けるようにして欲しいものです。
さてと、本葬が11時からだから、串間まで海岸通って1時間30分で行けたので、8時過ぎには家を出ないといけないから、今日は半額ハンティングもせずに時間が来るのを静かに待ちましょうかね。
明日は内海港から外海に出ていく時のコース取りなどの解説をする予定ですが、読んで頂いて自分が操船しているようなイメージを膨らませてもらえると嬉しいなあ。
天気予報やスパコン予想では向こう1週間はかなり悪そうなので、お船の整備や新たなレンタル船の艤装をしたり、宮崎港でのキス釣りしたりして過ごしましょうかね。
出られる頃には水温が上がってきてお魚が戻ってきているかもよ。