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古本屋日誌
オフセット印刷とは違い、コピーの要領で手軽に一冊でも本を作れるようになった。著作権の問題もあるけれど、本の歴史は3000年以上にわたるから大半の著作は自由に出版できる。
絶版になっている本も今までは最低200部くらいは売れる見通しがたたないと出版できなかったが、今や一冊でも問題なく印刷できるし、さらに需要があった際も同じように提供できるのだ。これは古本屋にとっては喜ばしくない事態であることはいうまでもないね。
またAmazonやヤフオクそしてメルカリなどの通販サイトは、隆盛を極めており、店舗を構えている古本屋の店内でもスマホでAmazonの価格を、臆することなく調べて買うかどうかを決めている人が極めて多い。
店の側からすると苦々しいことなんだが、それが世の趨勢というものだし、そもそも自分の店もAmazonやヤフオクで大々的に販売しているからそういうものだとあきらめている。
でも高齢化社会では死ぬまでの長い時間をいかにしてつぶしていくかは極めて重要な問題だ。金がある連中は海外で悠々自適に過ごすのかもしれないが、全く生活に余裕のない年寄りの方がずっと多い。
必要な本ならネットの検索は極めて便利で効率的だが、老後はそんな能率はかえって生活を貧相にしてしまう。
それなりの規模の古本屋があって、本は10万冊は置いてあって、座る椅子やソファーもあり、2時間座り読みをしても大丈夫なところがあっても誰も困らないだろう。
正月2日でまず難波の高島屋に行く。晴天で風もなく
百貨店は今日から営業している。地下一階の「今庄そば」も昼前から行列のできる盛況だ。
南海本線の住吉大社駅から東に伸びる参道の人出は例年よりかなり少なく、おまけに出店は全て禁止されていて寂しい初詣風景だ。
昨日の伏見稲荷はたくさんの露天が櫛比していたのに、大阪では全く反対の対応、びっくりした。
今日は昼から嫁と伏見稲荷に出向いた。例年ほどではないかまずまずの人出で土産物屋も一安心だろう。
バイセルの「ブックセラーズダイアリー」にはスコットランドのせどりの話がある。
Amazonが隆盛を極める前には「ランナー」というせどりで生計を立てている業者がいてイギリス全土に車を走らせて、ある特定の専門分野の本を買い回って利鞘を稼いでいた。
その専門分野はいろいろあったが、共通して言えるのは地方史だったそうで、確かに古本屋も自分店がある地域以外の地方の歴史の本は売りあぐねているだろう。
「ランナー」はレジにそういう本を積み上げて店主と話して、店主の方も店では売れない本が片付いたことを寿いで「ランナーには一割引で売る」ルールが古本界には存在したという。
それが今ではほぼ消滅することになったのはもちろん通販が隆盛を極めているからだ。
バイセルの経営する古本屋はスコットランド最大の規模を誇り、在庫は常に10万冊を超えるのだが、それでもAmazonの脅威はひしひしと感じている。
ある時女から電話があって
「新刊書のところでスコットランドの廃墟の庭についての本を見つけたんですけどね。題名を教えていただけないかしら」という。
「いえ、残念ながら教えられませんね。でもどの本かわかりますから、喜んでお売りしますよ」
「どうして題名を教えられないの❓」
「題名を言ったらアマゾンで買うつもりでしょう」
「とんでもない、母に頼んでそちらの店まで行ってもらうつもりよ」
「いいでしょう。ではクレジットカードの番号とお母さんの名前を教えてもらえますか❓お支払いいただいたら取っておきます」
ここで女は電話を切った。
そこまで神経質にならなくてもいいのではとも思うけど、実際に店の売り上げが落ち込み、これまでの客も通販で買ってしまうのを目にしたらイライラもつのるだろう。
大晦日で今年も馬齢を重ねるばかり。
もともとAmazon、ヤフオク、メルカリなどの通販サイトに、店舗をもつ古本屋は押されていた。かてて加えてこの2年のコロナ騒ぎが重なった。
通販は古本に限らず隆盛を極めて、緊急事態なるものが終わった現在でも売り上げはかなり多い。
店舗ではかなりのお客さんが店の中でスマホを操作してAmazonの価格を調べるのみならず、店員の前でも臆することもなく
「この本はAmazonが安いから買わんとこ」と聞こえるような声でいう。
客からしたら(せっかくこの店までわざわざ来てやったのに、値段が通販より高いのは不満だよ❗️)ということなんだろう。
しかし店側は(近くのお客さんしか来てくれないから、値段も安くしているんだよ。本を実際に手に取って見てもらえるようにしてるんだからな。だいたいこの店を運営するのにどれくらいの金がかかってるのか分かってるのか❗️馬鹿野郎❗️❗️)と思っていることは間違いない。
あの天牛書店ですら、通販での売り上げの方が店舗でのそれよりずっと多いと聞く。
会社の経営からしたら通販に重点を移した方が儲かると判断するのではないかなあ。それでもとにかく店舗を維持するのは
❶店舗があった方が買い取りが増える。
❷昔から店舗を持っていて今更やめるのは面倒だ。
❸客が買い取って欲しいと持ってくる、通販では売れない大量のデッドストックは店頭なら売り捌ける。
❹店頭にやってくる笑える客を見るのが楽しい。
このような理由によるものだろうと推測される。
白水社から出たバイセルの「ブックセラーズダイアリー」にはスコットランドの本屋事情の話がある。
「書店を閲覧室として利用し、買うのはネットという客が増えている。それが特に顕著なのは新刊書だ。ほとんどの場合定価よりアマゾンの価格の方が安いからだが、古書の場合はそうでもない」
とある。
日本でも大体おんなじだよな。新刊書のほとんどは少し待てばアマゾンで定価よりかなり低い値段で新品同様のコンディションの本が買える。
だからジュンク堂などの大型書店で現物を見て気に入ったら、早速Amazonで値段を調べて発注する人がたくさんいる。
ただ「今すぐ、これからその本を読みたい❗️」という欲求もすごくある。
確かに通販で買えば500円とかの節約にはなるんだけれど、家に届くまで数日はかかってしまう。
その程度の金だったら構わないから、今すぐ読みたい❗️と考えるお客さんもまだまだいるのだ。