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古本屋日誌
今日から三ノ宮のさんちかホールで古本市、早速行ってみた。
ここは阪神、阪急、JRから近い神戸の一等地だ。
また地下だから涼しい。蚊に襲われることもない。
先にやはり三ノ宮のすぐ南にある神戸阪急で古本市があった。
東京なら銀座であるし、大阪なら梅田一番地で、古本市がしばしば開催されるわけだ。これほど魅惑的なものはないな。
さて、そのさんちかホールの立地は、地下一階の3番街の店舗群から、さらに階段を降りたところにあって、周りは回廊のようになっている。
だから、本を選ぶ人々の様子を、背もたれに身をあずけながら観察もできる。
もっと楽をしたいなら、回廊の一部は洋菓子のモロゾフの喫茶店になっているから、窓際の席に腰掛けてコーヒーや美味いケーキにぱくつきながら、じっくり古本市の様子から、必死の形相で本に見入るお客さん、ぶらぶら視察中の店主の姿まで、目で追うことができる。
目録が出ていて、写真版の筆頭は川瀬巴水だ。
昭和11年初刷の「舟津の富士」は、25万、毎日新聞社から出た『川瀬巴水木版画集』が98000円となっている。
三五館がシリーズでいろんな労働者の日常を書いた本を出していて、どれもなかなか好評だ。
今年春にはコールセンターで働く話をまとめたものが出た。
吉川徹の『コールセンターもしもし日記』だ。
ドコモのコールセンターで料金未納ゆえ、携帯を止められた人からのクレームに応対する仕事だ。
料金を払ってないんだから、止められても当然だ。
しかしバカはいくらでも湧いて出てきて「とにかく、電話を元に戻せ❗️」と怒鳴り続けるのだから、仕事とはいえ、ストレスをかかえることになるし、第一いつまでも大声で恫喝するのは立派な脅迫罪だと思う。
その後吉川はNTTの料金コールセンターに勤める。ここは料金を払っていない客に電話していつ支払うか約束させるセクションだ。(時給は1450円)
36の菊池という女の客が
「今月の分が払えないんですけど、待ってもらえますか?」と電話してきた。
「お待たせしました、確認したところ菊池様はドコモで2回延期されてますよね。今回はお支払いの延期はできませんのでご了承ください」
「私、障害者なんですよ、障害者に対してそんなこと言っていいんですか?」
障害にもいろいろある。一般企業で働いている障害者も少なくない。この人の障害がどの程度かはわからないが、自分は優遇されて当然と思っていることは間違いなさそうだ。
「障害のあるなしは関係ありません。以前に『今回限り』と2回お約束いただいておりますので、今回はできませんということです」
「障害者がどれだけたいへんな思いをしているか知ってるんですか?おたくらみたいに自由気ままにいきているわけじゃないんですよ」一方的な決めつけにカチンときたが、つとめて冷静に言った。
「私は別に自由気ままなわけじゃないですが、延期はできませんのでご了承ください」
「そうですか。わかりましたよ。覚えときなさいよ」捨てゼリフを残して電話は切れた。これで終わったと思っていた。
ところが翌日、NTT東日本の本社から連絡があり『暴言を吐かれて嫌な思いをしたので謝って欲しい』と菊池さんが訴え出たことがわかった。」
こういう理不尽な話なのだ。どう考えてもこの菊池とかいう障害者はバカだし、言っていることに一片の道理もない。客だからとつけあがるのもいい加減にしないといけないよなあ。
2月に亡くなった西村賢太の追悼文集がコトゴトブックスから出た。
文庫版、220ページで、彼と関わりのあったいろんな人があれこれ思い出をつづっている。
その中に賢太が古本屋を経営していた話がある。
川島幸希という「元初版本コレクター」が書いた文章だ。
西村は25くらいで、
「それが狭いながらも神保町のビルに事務所兼倉庫まで借りてスタートした」
「ある日、野狐書房(賢太の古本屋の屋号だ)で西村君と話していたら、不意に『ところで川島さん、お願いがあるんです』と言われた。
お願いの内容は、近くだす予定の第一号目録用に本を提供してほしいということ。」
「完成した第一号目録は印刷・製本などすべて自家製の薄い冊子だが、なかなかの品ぞろえで売価も相場より安かった。」
「その後目録は三号まで発行され(四号は出てないと思う)、私は委託出品を続けたが、野狐書房は一年半ほどで閉店した。
私見では古本屋の成功する条件は❶扱う古本の分野の知識❷蔵書量❸資金力❹情熱である。
西村君はどれも十分とはいえないから、急に野狐書房を止めると本人から聞いた時も全く驚きはなかった。」
賢太が作ったという通販の目録て、どんなものだったのかな。これまでヤフオクやメルカリでも見たことがないな。
今日は高槻市の富田にあるブックオフ高槻栄店と高槻別所店に行ってみた。
というのも、橘木の『日本のお金持ち研究』によれば大阪の高額所得者の住まいは中之島、箕面、高槻北部であるとなっている。
いい本があるのではないかと期待できる気がするのだ。
実は以前に中之島の裁判所のすぐ東にある「伏見屋書林』という古本屋に行ったことがある。
かなり美術館の図録があって、細かくみたら面白そうだった。
ただかなり手狭で本が山と積み上がっていて、ゆっくり見ている余裕がない。
また箕面も先日市役所の直ぐ横にあるブックオフに行ってみたのだ。
ここは二階建てで、以前は大きな飲食店だったそうで充分な広さがあって、本の量も十分満足できるし、最近出た本がたくさんあった。
そして最後残ったのが高槻エリアなのだ。
まずは栄店。ここは阪急の富田から南に2キロくらいある。
富田で降りて、レンタサイクルを探したが、JRの摂津富田駅の北側にしかない。距離を調べてみると700メートルもある。
断念して歩いて行くことにする。
店舗は住宅街の中にあって平屋で、あまり広くない。
本のレベルは取り立てて言うほどではない。
続いて阪急で高槻市駅に出て、近くのレンタサイクルで自転車をかって(1日レンタルで150円、ただ電動ではない)JRの跨線橋を超えてたどり着いた。
ここは平屋ではあるがかなり広い。本の量もまずまずなんだが、欲しい本はほとんどなかった。
金持ちの居住地の古本屋をチェックしたが、まあ大したことはなかったな。
金儲けと読書は関係ないんだろう。
ただ箕面は一応阪大の石橋キャンパスの近くなので、最近出た単行本や文庫本がかなり多かった。
石橋は文系の学部が並んでいる訳だから納得はできるけど、すこし古いが今も需要があるような本は全然なかったな。
御田寺圭の新著がなかなか面白かったので、ついでに2018年に出たデビュー作『矛盾社会序説』も読んでみた。
その中にいわゆる「アメリカンドリーム」の話があって興味深かった。
アメリカは貧乏人も何かのきっかけで富豪になれる、ステップアップが十分可能な社会だと思われている。
しかし御田寺によればそれは幻想でしかなく、実際のアメリカは確固とした伝統社会で、ぽっと出の金持ちは所詮は成り上がり、成金でしかないというのだ。
「血統や家柄によって、すでに階級あるいは属するコミュニティがほとんど決定しており、階級の移動がきわめて難しい。」
「トランプ自身も父フレッドが事業で成功し裕福な家庭に育ったが、長きにわたって続く伝統的なエリート一家というわけではない。
(中略)
ニューヨークに巨大なビルを構えるようになったいまですら、彼はいわば『成金おやじ』として一段下の存在のように扱われている。」
なるほどそれでトランプは白人の貧困層に人気があったんだなあ。
トランプ本人もエスタブリッシュメントに劣等感を本心から抱いていた、そこはプアホワイトと同じだったわけだ。