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古本屋日誌
先日(6月8日)久しぶりに大阪ドームに出向いて、ジャイアンツ戦を見た。
嫁の勤務先のスーパーが福利厚生でバファローズのチケットをやすく分けてくれるので、ありがたい。(以前はタイガースの試合だったのだが、あまりにも情けない成績で、永遠に優勝できそうもないから、バファローズに乗り換えたのだ。実に正しい判断だ)
大阪にはたくさんのジャイアンツファンがいるし、またバファローズは2年連続優勝し、日本シリーズも制覇したので、当然のことだが大変な人気だ。
今日の試合でも内野席はほぼ満員で、外野も上段に空席はあるくらいだ。試合はバファローズの山岡、ジャイアンツの山崎の投げ合いで、点が入りそうな気配もなく坦々と進んだ。
バファローズの4番森やそのあと出てくるラオウの時、ジャイアンツでは岡本なんかの時にヒッティングテーマが高まるのだが、たいてい敢えなく凡退する。
しかしとりたてて、選手をなじる声は聞こえないな。
これは不思議だ。
甲子園であれば、「佐藤❗️もう出てくんな❗️2軍にいけや❗️」とか「湯浅❗️何しに出てきとんねん❗️顔も見たくない❗️」とヤジがでる。
17年も優勝できないあきれたバカチームへの日頃のストレスからくるものだろう。実に理解できる。
それが連覇しているバッファローズの場合はファンにストレスはない。「二年もようやったな、たいしたもんだよ」とやさしい眼差しが注がれている。
ジャイアンツだって、確かにこのところは優勝してないとはいえ、ファンは前の優勝の記憶を鮮明にもっているから、これまた優しく、余韻を味わうような心持ちなんだろうと思う。
気鋭の論客小谷野敦の『レビュー大全』が読書人から出た。
長年Amazonに書き連ねた書評の集大成で、小谷野は10年くらい前にも同様の本を上梓しているから、これで20年分の書評が揃ったことになる。
Amazonの書評は何故か、忌憚に触れるところがあったのか、削除されてしまったそうで、それらが読めない今日では、この本は貴重だ。
また小谷野敦と写真家のインベカヲルの対談イベントも先日あったようで、1500円払えばYouTubeライブのアーカイブスから視聴出来るようだ。
パラパラ映画評を読んでみると「三丁目の夕日』や『フラガール』など世評高かった作品への辛口コメントが目につく。
これらの作品はわざわざ映画館に出向いて見たことがあり、つい涙腺がゆるくなってしまったので、ちょっと意外な感じがした。
それにしてもたくさんの本や映画が集められていて、ありがたいことは言うまでもない。
上岡龍太郎が先日亡くなった。
彼は2000年に芸能界を引退し、「21世紀に自分の笑いは合わない」と言っていた。
また、「大阪の人の好みに自分は元々合わない。大阪ではジミー大西やら、島木ジョージやら、山田花子やら、枝雀さんみたいな人がウケるんや。僕みたいな理屈っぽい芸人はあかんねや」ともよく言っていた。
確かに芸をしなくても、袖から登場するだけで、笑ってしまう芸人て、卑怯のようにも思うけど(だって芸をまだしてないのにウケるんやからね)俺も好きだ。
彼は歯にきぬきせぬものいいで、面白かった。鶴瓶とのパペポテレビのオープニングで「銀行員て、えらいいうけど、そもそも金貸しでしょう」と言って鶴瓶が「兄さん、もうそれくらいで」と引き取るようなやりとりがしばしばあった。
でもこの上岡龍太郎程度の毒舌は、全然大したことはなく、やはり谷沢永一だよなあ。
谷沢は苦労して関西大の先生になるんだが、その間に舐めた辛酸がつもりにつもったか、晩年、とりわけなんでも実名で批判するようになった。(『紙つぶて』からの伝統でもあるけど、磨きがかかった)
2008年にベスト新書から出した『運を引き寄せる十の心得』という本を読んで俺は衝撃を受けた。
そのへんに転がっている無意味な実用書やハウツー本みたいなタイトルなんだが、中身は全然違う。
まず槍玉に挙げられたのは京都大学の野間光辰だ。野間は西鶴の研究家としてよく知られているのだが、谷沢は野間の研究などというものは全然大したことはないと言ってしまうのだ。畑違いなのにね。
京大文学部の同僚に遠藤嘉基という人がいて『現代文解釈の基礎』なる学習参考書を出したこれがヒットしていた。
谷沢は「遠藤には学問的業績はない」としながらも、「それでもこの人の退官記念文集での事件は問題だ」と書く。
なんでも遠藤の退官記念文集に野間がを寄稿して、その中で、遠藤はやるべきこともやらないで、全国を走り回って学習参考書を売っていたなる内容をわざわざ記していたのだ。
日本最高の古本屋であるブックオフを論じた谷頭和希の『ブックオフから考える』が出た。(青土社)
ブックオフは1990年の創業だが、そのきっかけは創業者の坂本孝が、ある日、相模原市の国道16号線を走っていたら、人だかりができている店がある。
近寄ってみたら古本屋だったのだ。坂本は瞬間的に「これは商売になる、もっと店を明るくして入りやすくしたらビジネスチャンスになる。すぐに30店舗くらい出せる」と思ったというのだ。
すごいよね、才能のある経営者て。
以上がこの本から得た情報だ。
それ以外にはブックオフから文化の発信があるとかいう意味のない話が書いてあって、なんとも苦笑するしかない内容だ。
それはさておき(ここからは俺の持っている情報だ)初期のブックオフは仕入れに苦慮していた。
ゾッキ本を扱う問屋からB本(つまり売れ残って本屋から返品された本、つぶしにされてしまう)を買い取って安値で並べていた。
これは別にブックオフが新たに発見、開拓した仕入れルートなんかではなく、元々普通に古本屋がやっていたことだ。
ゾッキになる本は弱小出版社が版元のもたくさんあって、売れ残っている本もいっぱいあって、楽にいくらでも仕入れられた。
時にただ同然で仕入れたゾッキ本が高騰することもあったから、古本屋はそれも見越して仕入れていた。
さてブックオフだが、小口に焼けがあったり、汚れのある本は、例の研磨機できれいに削ぎ落として店舗に並べていた。
この研磨作業は現在のブックオフでは実施されていないと聞いた。
昔は入ってくる本の量も限られていたので、汚い本も受け嫌わず買い取らざるをえなかったのだ。
しかし、今はいくらでも本が入ってくるので、汚い本は買い取らないようにして、そのまま店頭に並べられるこぎれいな本だけ買い取るわけだ。
仕入れに苦慮していたのは同じような古本屋チェーンの古本市場も同じだ。
ここは岡山で創業したのだが、さすがに岡山だけでは本をたくさん仕入れられず、わざわざ大阪の業者の市に来て大量に本を買っていた。
大阪では天地書房が、大量の本を市で仕入れることで有名だったが、そこへ岡山の古本市場が加わり、取り合いになって相場が上がったと言われている。
その古本市場も今では自前でいくらでも本を調達できるようになっている。
今のブックオフの仕入れだが、クズ屋(つまり廃品回収業者)からたくさん本を仕入れている。
以前は、回収業者は街中の普通の古本屋に持っていっていたのだが、その手の古本屋は潰れてしまい、どんどん数を減らしてしまっている。
それで業者はブックオフに持っていっているのだ。
タイガースは好調で、今のところ首位を保っている。
俺の親しいタイガースファンに言わせると「4番の大山はホームランかっ飛ばしても、表情を変えないのがいい。キリッとしていて若武者を思わせるのが素晴らしい」。
確かに大山はここぞというところで長打を放ったり、相手のエースからクリーンヒットを打つなど4番でしかなしえない印象的なバッティングを見せてはいるけどね。
しかし、それはごく最近のことで、これまでは打率も270くらいだし、何よりバッターボックスで、なにも考えずに(どんな球を狙っているのかまるでわからない状態だということだ)バットを振っている感じがしてイライラさせられた。
ミスタータイガース掛布雅之は「大山は優等生、課題を出したら、きちんきちんと全てこなしてきた」とベタ褒めだ。
掛布の出した課題なるものを、全てこなしてあれかいな、とずっと思っていたのだ。(大山によりも能天気な発言をする掛布に腹が立つ)
17年も優勝出来ず、何度も期待を裏切られてきたにもかかわらず、ちょっと調子がいいと、過去の裏切りをすっかり忘れて、舞い上がってる連中はよくわからないな。
楽天的すぎる。
こういうタイガースファンは例えば身内や自分が通り魔に襲われて傷つけられても、すぐ怒りが薄れて「まあ、いいや、向こうも大変だったんだから」と納得してしまうような人なんだろうかね。
俺は全然そういう人間ではない。
やられたらやり返してこそ気が晴れるのであって、そもそも大衆というのはそういう者たちだろう。
だからみんなシャーロックホームズが大好きなんだろう。
だってホームズは犯人を炙り出すだけやないからね。処罰まできちんと責任を持っておやりになる、そこが凡百の名探偵との大きな違いだ。
先日は甲子園でマリーンズ戦があり、大山が佐々木のフォークをねらいすましてライト前タイムリーを放った。
敵のエースを打ち砕く一打で、驚くほかない。これまでのタイガースにはなかった事態だよなあ。
従来、タイガースはエースや苦手な人ピッチャー、新人投手にはからきしダメで、完全に封じ込められてきた。
あの恥さらしな2008年も、お盆休み、東京ドームでのジャイアンツ2連戦ではグライシンガーとかいうのに封じ込められて7-0で敗れた。(こういう完封できるピッチャーがその当時タイガースには誰もいなかったことが、優勝を逃す最大の原因だと思う)
2試合目は金本がホームランを放って快勝したけど、初戦はあまりにもワンサイドで、見に行ってがっかりした。
それが今年に限っては、まるで優勝するチームであるかのように、相手がエースであろうが、好調な新人であろうが、果敢に襲いかかり、点を奪い、マウンドから引きずり下ろすのだから、一体何が起こっているのだろう。