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古本屋日誌
双葉社からゴトウユキコの『天国』が出た。
ゴトウユキコはこれまで原作付きのマンガをいろいろ描いてきたが、これはオリジナルの短編集で、よくできている。
中でも「2月14日の思い出」は女の高校生が犯した性犯罪を描いたもので、構図や絵柄なども上手い。
恋に恋して暴走する若者の心理が克明に綴ってある作品で、現在の若者にも受け入れられるものだろう。
俺はこの程度では物足りないけどね。
畑中純が『まんだら屋の涼太』で執拗に描いたややこしい人生の重みの方が心打たれる。
大阪落語の『いかけや』の最後に山上参りが出てくる。
脚半にこうかけ、金剛仗をついた道者を見て、いかけやが「山伏」だと思い込んで話しかける展開だ。
俺の小学生時代には成人儀礼として、山上ヶ岳に登り、「西の覗」から身を乗り出して精進を誓う行事がそれなりに行われていて、これが「山上参り」なのだ。
奈良県の中央に伸びる大台ヶ原山系の北部にある山上ヶ岳は標高1700メートルを越す。
ここに登って、さらに「西の覗」といわれる崖に迫り出した岩場から吊り下げられて精神を鍛えるのだ。
この山上ヶ岳山頂には金剛蔵王権現をまつる大峰山寺があって、徳川時代前期の建立にかかり、重要文化財となっているお堂がある。
高さは、13メートルもあって、総瓦葺きで、内陣に安置されている金剛蔵王権現は秘仏だ。
それにしても1700メートルもの山の頂上に巨大なお堂を建てる労力は大変なものだ。木材は山の中だから近場で揃えられたかもしれないが、瓦は下から一つ一つ運んできたものではなかろうか。
そもそも、重要文化財で1700メートル地点にある建造物て、他にあるんだろうか❓
今はこのお寺にも、電車とバスで近くまで行ける。
しかし、それでも山頂までは4時間も、歩かないとならない。
以前は歩いていくしかないから、山頂に至るまでの苦労は並大抵のものではなく、頂上に突然、巨大な伽藍が現れた時の驚きや感動は並大抵のものではなかったろう。
こないだ最高裁が再転換手術をしてなくても、自分が「心は女性です」というのならそれを認める旨の判決を出した。
到底容認できない話だよな。
コラピントの書いた『ブレンダと呼ばれた少年』(無名舎)によれば、ユダヤ教徒の赤ん坊で、宗教上の決まりから小さい時に包茎手術をするのだが、誤って全体を切り落としてしまった。
やむなく性転換手術を施されて女として育てられた。
昔は男女の好みの差異(赤系統の服を女が好むとか、男はままごとのような遊びを好まないとか)は後天的な、文化的な育てられ方の違いから生まれると考えられていた。
ところがこの「少女」は成長につれて、いわゆる女らしいものを好まず、赤やピンクの服、スカートなどを嫌悪して、男性的な趣味を持つようになったのだ。
ようするに、性転換手術を施そうが、そもそも遺伝子はXYなんだから、変えようがないわけだ。
それなのに、本人が「心は女性です」と言ったから、女なんだと考えるのは、生物学的な知見を無視しているわけだ。
昨日からえべっさん。
今日は本戎。
うちは近所の寝屋川えびすに毎年行くのだが、福笹をもらい、巫女さんに清めていただき、あれこれ縁起物を買う。もちろん裏参りもする。
縁起物は、高いもので2万くらいのがある。宝船に、えべっさん、宝珠、米俵、小判、熊手などを組み合わせたものだ。
東京の友人によれば、向こうは酉の市というのがあって、やはり商売繁盛を祈願する祭礼だそうだが、ここでは熊手に縁起物をつけて売られているのだという。
ところが高いものになると100万を優に越すのがあるのだというのだ。大きさもさることながら、重さも大変で一人では運べないほどなんだという。
なんでも、年毎に少しずつ買う熊手を大きくてしていくのが(つまり、高いものを買うということだ)作法なんだそうだ。
元旦に大地震が発生して、能登半島北端の街は大変なことになっている。
なんの落ち度もないのに、天災に見舞われて不条理な話だ。
自衛隊員や消防隊員、警察官、自治体職員などが下敷きになっている人たちの捜索や避難所の人たちの救援に携わっている。
雪も降っているし、寒いし、余震も頻繁に起こっている。そんな中命懸けで捜索活動をしているのだから、大変なものだ。
実は、民主主義の根幹には徴兵制による自衛があるのは政治学の基本だ。
(ちゃんとした大学の政治学の講義では普通にレクチャーされている。自由、平等、そして博愛だが、博愛は博く愛するではなく、敵から実力で自分たちを守る郷土愛のことだ)
自衛は戦争に限定されるものではなく、地震や台風、原発事故による国難も当然含むものだ。
そういう緊急事態で、対処を人任せにして、自分とは関わりはないと考えるところに、民主主義はない。
なぜなら国難が全国を覆い尽くしても、衆愚の大衆はなすすべなく、国家は崩壊してしまうからだ。
福島の原発事故はメルトダウンを起こした原子炉が、幸い吹き飛ばなかったから、助かった。
また、朝鮮戦争では、アメリカの軍事力によって戦禍がわが国には及ばなかった。
つまりこれまでのわが国は危機の度合いが低いという天佑とそれへの対処をアウトソーシングすることでやってきたわけだ。
それにしても命懸けで救助活動に挑まなければいけない自衛隊員とごく普通に生活しているわれわれとのギャップは大きい。
そういう割に合わない仕事を強制されている人たちのモチベーションに資するものをわが国は持ち合わせていない。
例によって、移動期にはいり、古本屋にとってはありがたいシーズンとなっている。入学、進学、転勤などのシーズンだ。
赴任地に持ってはいけない大量の本の処分を依頼されるわけだ。
もっともうちの店は固定のお客さんを持っていないので、老舗の古本屋を嫉妬してしまうけどね。
だって何もしなくてもいい本を客が持ってきてくれるわけだからね。
東京の古本屋も楽な商売だよなあ。出版社やら大学やらが密集しているから、商売で本を必要としている人が桁違いだ。
よほどのバカでもやっていけることは間違いない。
タイガースが優勝して、前回の2005年や2003年の『月刊タイガース』や優勝特集の『spa』『スポーティバ』なんかを買取依頼してくるお客さんも多い。
この18年の体たらくで、前回の栄光にすがって日々過ごしてきたが、ようよう念願がかない一息ついたし、今年の優勝特集号を買い揃えるスペースを確保したいとのことだろう。
しかし、もちろん前回の優勝特集号はまったく売れません。そんな昔のことを今さら読みたいとは誰も思わないからだ。