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古本屋日誌
昨日は京都のお客さんのところに伺ってあれこれ。
「わしは全く恩恵はないけど観光客は戻ってきてるから、土産もんやとかは喜んでるで。ゴートゥーイートの京都の商品券はえらい人気なんやけど、あんなもんよう買うよなあ。わしは要らんわ。だいたい京都は観光都市で客は気分が大きなってしょうむない料理でもありがたがって食いよるさかい、うまい店てほぼないよなあ。ちょっと普通の味覚を持っとったらわかりそうなもんやけどな。世間はバカがいくらでもおる。」
とのことで、これに関しては私も異論はありません。
またこのところの京都の古本屋事情に関して
「コロナがどうとかで、古本てどこのどいつがいろたもんやら皆目見当もつかんよってに、毛嫌いする人もおるよなあ。せやさかいこじんまりしたいつもの古本屋には行かんとからして、通路も広うて、なんとはなしに清潔な感じのするブックオフに行きよるのが増えてるな。」
なるほど、古本は新刊本と違ってやや清潔感に欠けるとの感覚ですな。
味噌もクソも一緒くたにした乱暴なお話で面白かったです。
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昭和10年にサイレン社から出た本で元々は箱入りでした。
この本はなかなか古書価が高く箱入りの美本は1万円くらいしていました。タイトルが「大阪の話」で刊行が昭和10年、大大阪時代の真っ只中で風俗小説としても面白そうだと思っていました。
さて、入手して一読しましたが大阪の話と言えるのは巻頭の短編だけで後は東京の話でした。それでも大大阪の頃の雰囲気は味わえる短編ではあった。
①大阪の商家ではそろそろ月給制が採用となり本作では勤続20年の二番番頭が月に30円で、この金額では金はたまらない。一番番頭は60すぎで100円もらっている。
②心斎橋筋を少し東西に入った通りにかつてあった老舗は店をたたみ、喫茶店になってしまった。
③二番番頭の店は帽子を扱っていて儲かっているが本宅は打出にあって旦那夫婦はそこに居住している。しかし親旦那は未だに心斎橋の店に住んでいる。
④尼崎にはダンスホールがあって御寮人さんや大家の次男坊や三男坊が遊びに出向いているが、警察の取り締まりがあり、個人が特定されて警察に呼び出され親族も出頭を命じられて指導される。
⑤女子の服装は少し前まではほぼ和装だったが昨今洋装が幅を利かせ出した。
小説自体は2番番頭が御寮人さんの不貞を告げ口して一波乱ありそうなところで終わっていて物足りない。
やはり、藤澤桓夫には問題がある。
それはさておき、このところ京都、大阪の各所で小規模な古本市がある。天王寺さんや知恩寺のような古本市だとものすごい量の古本を運び込まなくてはならず、トラックを用意して積み込みのためにアルバイトを雇わなくてはならないなど面倒な用事が立て込んでしまう。
ところがたくさんの古本屋が持ち寄りで、しかもせいぜい本棚一つ分(それでもダンボール10箱くらいはあるけど)出すだけならさほど苦労せずに持ち込むことができる。
この気軽さがうけて昨今の古本市繁昌につながっている。
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人気の高い本で、探してもそうそう出会えないものがある。
本は中身が大切、初版とか帯付きとかコンディションとかは大した価値などないという考えはもちろん理解できるけど、自分が好きな作家や入れ込んでいる本になるとそういった付加価値も求めたくなるのが人情だ。
とりわけ文庫本は帯なんかは読むときに邪魔だし、流通するときに並べる際にも嵩張って効率が悪くなるので古本屋自身が取り外しもするからなかなかきれいなコンディションのものは少ない。
例えば大江健三郎の講談社文芸文庫の「万延元年のフットボール」、この本の「ノーベル文学賞受賞‼️」を謳った帯はいいなあ。
でもこの本はまだいくらでも見つかるから心は揺らがない。
マークゲインの「ニッポン日記」、ちくま学芸文庫の帯付きはぜひ手に入れたいと思う。
中公文庫の「富島松五郎伝」のきれいな帯付き本、ちくま文庫の吉村昭の「消えた鼓動」の同じくきれいな帯付き本、こういったのはなかなか出会えない。
どの本も中身も驚くべきもので、今日の薄っぺらいわれわれが束になってかかっても足元にすら及ばないものばかりだ。
そこに加えてその本を視覚的にも楽しめるきれいなカバーや素晴らしい煽り文句の効いた帯まである本‼️、これはもう額縁にでも入れるか、壁にスペースを設けて朝夕拝みあげたくなるようなものだよ。
でもようやく手に入れたその本をお客様はあっという間にお買い上げになってしまう。
残念だとしかいいようもない。
「このお客さんはなんて幸運に恵まれた人だろうか‼️‼️俺もあやかりたいよ〜」と思う。
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古本屋が本を仕入れる先は多種多様だ。客から買い取るのも一つの手だが、運搬が面倒だし、実際は大半が売れない本だったりするので効率はよくない。
私の知り合いの古本屋は店を阪急沿線に構えて長らく頑張っているが「客からは本は買い取らないよ」という。
「なんでなん❓客がたまーにはええ本運んでくることあるんちゃうん❓」
と聞いてみても「そんなもんいつ売れるかわからんやろ、それが困るんや。でもなコロナの自粛期間中にはな、10年も売れてなかった本が売れたんや」
「ほしたら本はどこからこうてくんのん❓」
「それはない大阪の古書組合にうちは入ってるよって、その市で落としてくるんや」てなことをいう。
私の考えとしては10年も動かない本を抱えておくのは偉大だとしか思えないな。私ならとっくの昔に処分しているけどな。
古書組合の市で本は間違いなく仕入れられるし、金を積めばそれなりの本も手に入れられる。
ただ店舗を経営する場合はかなり古い本やいくらでも売っている時代小説、夏目漱石や芥川龍之介、宮沢賢治、東野圭吾、北杜夫、立花隆、柳田邦男、山口瞳、野坂昭如、山田詠美みたいな本でも100円均一にしたら売れないことはないから細々とやっていく分には問題はない。
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「大阪の人は確かに物理的に損害が出たという場合は噛み付いてくるけど、名誉が傷つけられたとか、金ではなく謝罪を求めたいというような場合は裁判に訴えてこない」という。
そういうもんかな。三百代言風情に頼るまでもないだけではないかな。
今日は久しぶりに古川橋のブックオフに行ってみた。
ここはいらない本をよく引き取ってもらっている店で、出張買取を依頼しても「今月はもう予定がいっぱいで、来月の〇〇日になりますけどよろしいでしょうか❓」てなやりとりがあり、それくらい引き合いがあるのならいい本がありそうだ。
確かに講談社文芸文庫の「抱擁家族」や後藤明生の「挟み撃ち」ちくま文庫の「小泉八雲コレクション」、新潮文庫の「泡鳴五部作」河出文庫の「続なんで山にのぼるねん」「木橋」とか珍しい本もあるんだが、期待したほどではない。
ただ斜向かいに大きな「ハードオフ」があって本以外の様々なアイテムはここで扱っているために店内はカード類、CD、DVDはあるものの、大部分は本や漫画で埋め尽くされているのは好感が持てる。
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