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古本屋日誌
「週刊現代」の最新号、11月28日号に医師の中村仁一の記事がある。
中村はかつて「大往生したけりゃ医療とかかわるな」を書いてベストセラーになった。
中村は医療行為を受けずに亡くなった人の最期は穏やかで眠るように旅立っていったが反対に人工呼吸器をつけたり点滴をするなどした人ほど、がんが暴れ出して悲惨な最期を迎えるという。
その中村がいま肺がんにかかり、末期の状態だというのだ。
「一般的にがんといえば、痛みが出て苦しいものと思いがちですが、あれはがん自体で痛むのではなく、抗がん剤や放射線などの治療で痛むのです」と言い、自分は何の治療もしていないので痛みはないそうだ。
「週刊現代」は「同時進行ドキュメント」と銘打っているので今後が注目される。
今日から3日間、谷町四丁目の大阪古書会館で古本市をやっている。早速初日の朝行ってみた。
一番人気のあるのは文学書のあれこれを扱う矢野書房で、いつも狭い通路にまず客が押し寄せ棚に差してある初版本や帯付きの本、また平台に縦に表紙を重ねるように立て掛けてある古い文学書を漁っている光景は壮観だ。
入り口すぐ右側には荷物を置くためのスチールの棚が用意してあるが、まずそこにリュックを置くゆとりあらばこそ、とにかく殺到している。
その他の本屋の専門領域は寸心堂が海外文学、古本横丁が古文書、アジア号が戦争関係、ディックがミステリー、唯書房が学生運動、大阪関係、新書、杉本が岩波文庫、厚生が絶版文庫、象々と真木がいろんな本と見受けられた。
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元町界隈に出向いた。
JR西日本がモトコウの耐震工事をするとの口実で店舗に立ち退きを求め、廃業した古本屋も多い中いくつかの店は元町界隈に移転してきたため、20店くらい古本屋がある。
これだけ古本屋が一カ所に集まっているのは京阪神ではめずらしい。
神田はたくさん古本屋があるがそれは東京が出版業界を牛耳っているからで、要するに仕事で本を使うという金儲けのための需要が大きいからだ。
しかし神戸は出版社もなければ、大学だってたくさんあるわけでも無い。
それにもかかわらずなかなかの規模の古本屋が集積しているのはわれわれが長生きするようになったためだ。
定年後も人生が40年から続くわけだから、ヒマな時間があまりにも多い。暇つぶしのアイテムとして古本は優秀だ。しかも元町の古本屋街はごく一部の書店を除いて専門店化しておらず、いろんなジャンルの本が適当にぶちまけられている。どこに何があるのか、時間をかけて探さなければわからない。
パソコンで本の検索をしたら瞬時に在庫のあるなしがわかってしまう。実はこれが長い人生にはマイナスなのだ。そんなにすぐありなしがわかってしまったら後は何をしたらいいのだろう。
元町のアーケード街には神戸らしい和菓子、洋菓子の喫茶店や今流行りの生食パン専門店などかあるほか、昔懐かしい日活の、殿山泰司なんかが出ていそうな映画を上映している映画館、鉄道の忘れ物を集めた店なんかもあって歩いていて飽きることがない。
鉄道の忘れ物の店は上本町六丁目にもある。
谷町筋に面した店で間口は広いものの目の前を車が疾走していくし、狭い歩道も歩行者に自転車にとあわただしい。
店内も天井が低く見通しが利かないしあまり広くはないのでごちゃごちゃした感じがする。でももちろん地下鉄の回数券の落とし物を格安で売ってくれるからありがたい店であることは間違いない。
一方元町の方はそういうありがたさは無いが、店はアーケードのある商店街の中にあって、前の道も極めて広い。店も広々として外からでもすっかり店内を見渡すことができる。人生の終わりを迎えた老人がのんびりとあれこれ物色して感慨深い思いをいたすにはもってこいだ。
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新之介が新刊「ぶらり大阪高低差地形さんぽ」を出した。
大阪の凸凹を地図に落とし込みかつての風景を復元して、その痕跡を実際に歩いて訪ねてみようという本だ。
住吉大社の西側に現存する池の正体が太古のラグーンの痕跡だという話は驚いた。
これまでは「住吉大社の西側は海だったよ」とか「再建された高灯籠のあたりが徳川時代の海岸線だ」てな感じの漠然とした話だった。
しかし、高低差から推測した地図によれば神社のすぐ西側には海からつながるラグーンが入り込んでいるがその向こう側には松林の続く砂州が伸びていたとのことだ。
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神戸に本部がある日能研関西を相手どった雇用延長裁判で動きがあった。
中学受験の進学塾の日能研関西では定年は60で講師と呼ばれる非常勤の先生は一年契約で、時間給で働いており、業務はもっぱら授業だ。定年後は雇用延長となり、授業時間数が減らされ、また時間給も2割減になる。年収では4割くらいの減になってしまうのだが、仕事は授業だから、定年前もその後も何も変わらない。
それにもかかわらず時間給を2割も減らすのは不当だと社会の先生が神戸地方裁判所に訴えたが、これは棄却された。
そこで改めて大阪高等裁判所に控訴したところ、先日高裁は「和解勧告」を出してきた。
社会の先生は受け入れる意志を示したが、会社側はこれを拒否してきた。
その結果12月23日に判決が出ることになった。
雇用延長では給料が減らされるのは全国的に広まっているのだが、正社員の場合は雇用延長時には業務内容が変化したりして減収にも一定の合理性があるような気もするが、バイトのケースでは業務が何も変わらないのに年齢だけを理由として給料をカットするのは確かに不合理だ。
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本が好きでいつも読んでいたいと思い、仕事なんかしている場合ではないと思っていた連中は多い。
「本の雑誌」グループのようにミニコミを作って喫茶店を回り歩いておいてもらって広げていったおかしな輩もいたが、実際はそこまでの根性はないし、本を読み解く力も心もとない。
知り合いの古本屋の親父に「大学でたら就職はやめて古本屋になろうと思てんねんけど」と相談してみたら「古本屋はお勧めできかねますな。せっかくええ大学いってんねんから会社に入ったほうがよろしいで」と諌められて若気の至りを慎んだ人はかなりいる。
ただ定年を迎えてそれなりの蓄えもあって、年金もあるような男女がこのところあちこちで古本屋を開業している。
「こんな店舗で、狭いし、大阪やからなあんまり売れへん。中央線の吉祥寺あたりの古本屋なんか盛況やのになあ。もう少し大阪の人も本をこうてもらいたいもんやな。」とぼやきつつも
「ずっと高校で英語教えてきたから、年金もあるからな。せやし、この店でそないに売れんかてやっていけるねん。もし年金がなかったらこないなことやってられへんわ」と落ち着いている。
定年後の長い老後の時間をどう過ごすか、暇を持て余すことのない手段として古本屋の開業も一つの手である。
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