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古本屋日誌
今日は友人に車を出してもらって堺市のブックオフ3カ所を巡ってみた。
堺市は指定の店でペイペイなどの電子決済を使うと2割還元するとのことで、それなら行ってみようかとなった。
御陵前、上野芝、堺インター周辺の店だ。
御陵前の店がもっとも品揃えもよく、棚と棚の間の通路も広大で驚かされた。スティーブンピンカーの「暴力の世界史」や「史疑」などが並んでいる。なかなかお目にかかれない。
堺市は例の天牛堺書店がたくさんの店舗を展開していたエリアであるので、それが破産してしまった今、受け皿はこのチェーンくらいしか無さそうなので期待は持って棚を眺めていたが、以前の天牛堺と比べるとやはり寂しいことも確かだ。
天牛堺は東京に買い付け専門の社員を配置して毎週たくさん組合の市で落札してはトラックで大阪は直送していたことは有名だ。
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先日父親の四十九日が終わった。
ちょうど病院から亡くなったという知らせを受ける直前に珍しく鼻血がたくさん出た以外に取り立てて不思議な現象などは起こらなかった。
私の父親は二代続く大工で、自分で工務店を経営して建築請負業としてはぶりもよかった。
ただバブル期に事業を拡大してそれまで手掛けることのなかったビルの建築にも乗り出したのだが、その直後にバブル崩壊となり、5階建てのビルは完成したものの、肝心の施主が夜逃げしてしまい代金を回収できなかった。
それ以降は左前で持ち家も大阪銀行に取られてしまい失意の日々だった。
商売では仕方のないことだし、そもそも私とは関係のない話だから興味はない。
祖母は家業を継いだらいいだろうと面と向かって言っていたが、年寄りというものは本当にバカだとつくづく思った。
誰がどう見ても私は手先がまことに不器用で大工になどなれるわけがないことは明らかだったからだ。
父親はさすがにそこまでバカではなく、私に跡を継いだらどうだなどということは一度も言ったことはない。
ただせがれが自分の想像の及ぶ範囲を超えているわけのわからない存在であるために扱いには困っていた。たまに大工仕事の手伝いをさせることもあったが、息子はまるでやる気がなく(大工仕事に興味がないのだから当たり前だが)返事もまともにしないので腹を立てていた。
そのうち周りの職人に「うちのせがれはええしのぼんちゃうねん、せやさかい手伝わしてんねん」などと言い出したので、こっちも腹が立った。
「ええしのぼん」というのは須崎工務店のような吹けば飛ぶような家内制手工業者のことをさすのではない、もっとちゃんと勉強してから話したらどないやと思った。
親子が似たタイプというのはなかなかない。だから親にしても子にしても相手の取り扱いには苦慮するところなのだ。
他人同士なら、遠慮も働いてあんまり露骨なことは言わないものだが、親子となるとそうはいかない。遠慮も会釈もなく言ってしまうから面倒が起きてしまう。
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今日で百万遍の古本まつりは終了する。
屋外のイベントで昨日は終日かなりの雨が降って平台に屋根なしで並べられていた本は濡れてしまったものもある。
私の印象では得意のジャンルを持つ古本屋は相当安売りをしているように思えた。
例えば石川古本店はマンガの専門店なんだが、やはり客はマンガばかり持ってきてくれるわけではないから、あんまり興味のない文庫本や小説の単行本、カッパブックスや青春新書などがいっぱい溜まってくる。個々の本の価値は取り立てて興味ないので、100円均一(10冊なら550円)にして売り払うとなるのではなかろうか。
赤尾照文堂は今は摺物や浮世絵を得意とする古本屋だ。しかし客は以前の赤尾のイメージも手伝って国文学関係や小説、岩波文庫、ちくま文庫などを持ってきてくれる。そこで3冊500円にして売ってしまおうとなる。
三密堂も占いの本が専門に見える。石川やら赤尾同様、集まってくる文庫本を3冊400円で売る。
長らく古本屋をやっていると勉強したくなってきて、自分の興味埒外の本の通販の相場を調べたりして「ちょっと安く売りすぎたか⁉️」とAmazon価格に準じた値付けをするようになるお店も多い。
それで儲かるようになるのかというとなかなか難しい。今までは面白いように集まってきた自分の興味ある書物が、主人の浮気に嫌気がさしたかのように離れていってしまう。不思議なものだ。
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お客さんが持ってくる本はたいがい相場はわかるのだが、もちろんさっぱりわからない本もある。わたしは洋書や漢籍はよくわからないし、国文の専門書も門外漢だ。
そのへんに明るい知り合いの古本屋に声をかけて査定してもいいのだろうけど、改めてお宅にうかがう日時の調整をするのも面倒だし、第一お客さんが「とにかく値段はいいから全部今日持ち帰ってくれ‼️」とおっしゃる。
そこで止むを得ず全部引き取る。
さて値段をどうするのか❓
基本的にはよくわからないのは100円とか500円とかで売ってしまう。しかし気まぐれで何もわからないけど5万とか付けてしまうこともある。
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逢坂剛の新刊「鏡影劇場」の冒頭、マドリードの古本屋の片隅で見つけた19世紀のおぼしき、反故の裏に書かれた楽譜が欲しくなって、店主にあれこれ話しかけるくだりがある。
その楽譜を含む書類は10万を遥かに超える金額がついていて、店主に「この文書の出所は?値打ちはどこにあるのか❓」と尋ねてみるが主人は「よくわからん、ただ19世紀初頭の文書だからな、3年売れてないけどこの値段で欲しいと言う客が現れるまで待つ」とすべない。
「全部が欲しいわけではないんです、楽譜が書いてある16枚だけ3万くらいで譲ってもらえないか❓」
「いやいや、全部つながっているかもしれない、それをバラしたら値打ちがなくなることくらいわかっている」
「じゃあ3万払うからその16枚をコピーさせてもらえないか❓」と粘ると
「古本屋でそんなことがよくいえたもんだ‼️」とにべもない。
「では仕方がない、その本を欲しいという客が現れるのをお待ち下さい」とわざと立ち去ろうとすると
「マスター‼️」と呼び止められてトータルで10万まで値引きするという。
「いや、その値段ではとてもとても」と立ち去ると今度は追ってこない。
ここらかなと自ら舞い戻り「カードは使えますか❓」と買い取るわけだ。
値引き交渉はこれくらい面白くやってもらいたいよなあ。
このところのお客さんは
「この本安ならへん❓」
「いやあ、うちもギリギリでやってるもんで」というと、あっさり引き下がる。
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