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古本屋日誌
先日父親の四十九日が終わった。
ちょうど病院から亡くなったという知らせを受ける直前に珍しく鼻血がたくさん出た以外に取り立てて不思議な現象などは起こらなかった。
私の父親は二代続く大工で、自分で工務店を経営して建築請負業としてはぶりもよかった。
ただバブル期に事業を拡大してそれまで手掛けることのなかったビルの建築にも乗り出したのだが、その直後にバブル崩壊となり、5階建てのビルは完成したものの、肝心の施主が夜逃げしてしまい代金を回収できなかった。
それ以降は左前で持ち家も大阪銀行に取られてしまい失意の日々だった。
商売では仕方のないことだし、そもそも私とは関係のない話だから興味はない。
祖母は家業を継いだらいいだろうと面と向かって言っていたが、年寄りというものは本当にバカだとつくづく思った。
誰がどう見ても私は手先がまことに不器用で大工になどなれるわけがないことは明らかだったからだ。
父親はさすがにそこまでバカではなく、私に跡を継いだらどうだなどということは一度も言ったことはない。
ただせがれが自分の想像の及ぶ範囲を超えているわけのわからない存在であるために扱いには困っていた。たまに大工仕事の手伝いをさせることもあったが、息子はまるでやる気がなく(大工仕事に興味がないのだから当たり前だが)返事もまともにしないので腹を立てていた。
そのうち周りの職人に「うちのせがれはええしのぼんちゃうねん、せやさかい手伝わしてんねん」などと言い出したので、こっちも腹が立った。
「ええしのぼん」というのは須崎工務店のような吹けば飛ぶような家内制手工業者のことをさすのではない、もっとちゃんと勉強してから話したらどないやと思った。
親子が似たタイプというのはなかなかない。だから親にしても子にしても相手の取り扱いには苦慮するところなのだ。
他人同士なら、遠慮も働いてあんまり露骨なことは言わないものだが、親子となるとそうはいかない。遠慮も会釈もなく言ってしまうから面倒が起きてしまう。
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