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古本屋日誌
元町界隈に出向いた。
JR西日本がモトコウの耐震工事をするとの口実で店舗に立ち退きを求め、廃業した古本屋も多い中いくつかの店は元町界隈に移転してきたため、20店くらい古本屋がある。
これだけ古本屋が一カ所に集まっているのは京阪神ではめずらしい。
神田はたくさん古本屋があるがそれは東京が出版業界を牛耳っているからで、要するに仕事で本を使うという金儲けのための需要が大きいからだ。
しかし神戸は出版社もなければ、大学だってたくさんあるわけでも無い。
それにもかかわらずなかなかの規模の古本屋が集積しているのはわれわれが長生きするようになったためだ。
定年後も人生が40年から続くわけだから、ヒマな時間があまりにも多い。暇つぶしのアイテムとして古本は優秀だ。しかも元町の古本屋街はごく一部の書店を除いて専門店化しておらず、いろんなジャンルの本が適当にぶちまけられている。どこに何があるのか、時間をかけて探さなければわからない。
パソコンで本の検索をしたら瞬時に在庫のあるなしがわかってしまう。実はこれが長い人生にはマイナスなのだ。そんなにすぐありなしがわかってしまったら後は何をしたらいいのだろう。
元町のアーケード街には神戸らしい和菓子、洋菓子の喫茶店や今流行りの生食パン専門店などかあるほか、昔懐かしい日活の、殿山泰司なんかが出ていそうな映画を上映している映画館、鉄道の忘れ物を集めた店なんかもあって歩いていて飽きることがない。
鉄道の忘れ物の店は上本町六丁目にもある。
谷町筋に面した店で間口は広いものの目の前を車が疾走していくし、狭い歩道も歩行者に自転車にとあわただしい。
店内も天井が低く見通しが利かないしあまり広くはないのでごちゃごちゃした感じがする。でももちろん地下鉄の回数券の落とし物を格安で売ってくれるからありがたい店であることは間違いない。
一方元町の方はそういうありがたさは無いが、店はアーケードのある商店街の中にあって、前の道も極めて広い。店も広々として外からでもすっかり店内を見渡すことができる。人生の終わりを迎えた老人がのんびりとあれこれ物色して感慨深い思いをいたすにはもってこいだ。
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