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古本屋日誌
この3日ほどはしっかり雨が降ってありがたい。こうでないと、梅雨なんだから。
思い返せば、先週の後半は、地獄のような猛暑でこの時期なのに、最高気温が38℃越えなどと、わけのわからん毎日でした。
ようやく梅雨が戻ってきてありがたい。気象庁は梅雨明けしたと言ってるようだが、これだけの雨が降るんだから、まだまだ梅雨はこれからだと思うよ。
堺筋本町の船場センタービルの3号館一階にある「槙尾古書店」はもと天牛堺書店のあったところだ。
今文庫コーナーで旺文社文庫の内田百閒が20冊くらい並んでいる。
この文庫の内田百閒シリーズは全部で39冊もあって、それぞれカバーは田村義也で非常に魅力的だ。
以前買い取りに伺った神戸のお客さんはわざわざ自室の壁に文庫本が置ける小さな棚を階段状に20いくつもしつらえて、そこに内田百閒の旺文社文庫を一冊ずつ、カバーが見えるように展示していた。
なるほど、本を読むだけでなく、見て楽しむ絵と考えるわけだ。
なんて独創的なお方なんだろう。
じっくり拝見して、田村の装丁は装飾画として飾りたくなるくらい素晴らしいものだと改めて感じた。
であるのに、「これ、なんぼやったら買う❓」とおっしゃるので
「やめときまひょう。せっかくやねんからこのままで。目の保養目の保養」と言ってやりましたよ。
売るなどもってのほかだ。
さて槙尾古書店の値付けは300円が5冊、700円が10冊あまり、残りは1000円とか1700円が、付いていた。
300円の中には人気の「王様の背中」も入っている。なるほど、こうしてお客さんを捕まえるのだなあと改めて感心させられる。
300円は相場を知ってる人が『安い』と思って買うし、700円、千円は相場だから欲しい人は買うだろう。
もっと高い値付けだって、金を持ってる人にとっては関係ないし、シリーズで全部欲しいと思う人もいる。
今年亡くなった石原慎太郎の「わが人生の時の時」が新潮文庫で復刊となった。
この本はずいぶんプレミアがついていて一時は5000円以上していた。
石原慎太郎はつまらない小説が多すぎるのだが、この作品については素晴らしくて心打たれる。
それは確かにフィクションの形をとってはいるが、実は私小説であり、石原の実体験に裏付けられているからだろう。
冒頭にあるのは「漂流」と題された作品だ。
これは伊豆の大島でヨットを浮かべてボンベをせたらい潜って魚を銛でついて取るところから始まる。
たくさん仕留めて、エアーが少なくなり、海面に上がってきたら、頼みの綱のヨットが遥か遠くに浮かんでいる。
おまけに相手が風上なので声を張り上げても届かない。
「…するうち船は何を勘違いしたのかさらに遠ざかり、暫く探していたがやがてあきらめたのかそのまま走っていってしまった。」
男は漂流するのだが、運良く漁船に救助された。
しかし、腹の虫が収まらない。
帰ってしまったヨットのメンツのところに出かけて
「俺が黙って近づき首にまいてたレギをテーブルの真ん中にほうりこんで飛び乗ったら、金田の野郎が立ち上がって、
『なんだお前、生きてたのか』いいやがった。
俺は黙っていきなり力まかせにあいつの顎を殴りつけた。
(中略)
金田がまわりをとめて、『悪かったなあ、どうしようもなかったんだ』
いったよ。
俺は何かもっといいたいことがあるような気がしてたけど、でもそれっきりにしておいた。
『なぜだね』私は聞いた。
この男は頭に血がとぼると全く向かうみずに喧嘩をするのでも仲間内に知られていた。
しかしなぜかその時、彼は肩をすくめながらいった。
『まあ、海じゃよくあることだしな」」
京阪電車の萱島駅がうちの最寄駅で、お客さんのところに伺うにも必ず使う。
一年中、乗らない日はないから、この2年は株主優待の定期を利用している。
これを手に入れるには京阪電車の株を6800株以上保有していなければならない。
現在京阪電車は一株3300円くらいだから、少なくとも2200万円を超える現金が必要だ。
もちろんそんな意味のないことをしなくても、ヤフオクや繁華街のチケット屋で売っているからそれを入手するわけだ。
丁度この時期にはたくさん並んでいて、今月の11日から来年1月の10日までの分だ。
去年はコロナ騒ぎでリモートワークになる労働者も多かったせいで、この時期定期券はダブついていた。
ヤフオクには6月の下旬には一度に10枚以上が出品され、オークション形式ではなく即決も多かった。
では誰が出品しているのかというと、チケット屋が実に多かった。
京阪電車の株を2000万以上も注ぎ込んでこうてるひまじんたちは、金持ちなので、自分で不要な定期券を売り捌くことなどしない。
さっさとチケット屋に売ってしまうのだ。
自分で売ったほうが数万円は儲かるのだが、その程度の利益はひまじんにとっては興味のないことなのだよ。
私は6月28日に63000円で手に入れた。
今年も同じくらいの値段で入手したかったのだが7月に入っても定期の出品は少なく、落札金額を見ても75000円くらいと、ずいぶん高騰している。
やはりコロナ騒ぎの収束で出社するリーマンも増えて、必然的に定期券の需要も高まっているのだろう。
京阪の京橋駅からJR京橋駅に向かう通路に「甲南チケット」があった。(今はない)
この店で去年の6月、京阪の定期券が欲しいから値段を教えてくれと頼んでみた。
中年の男性店員は何箇所かに電話をかけて価格を調べている。
しかしいっかな、判明しない。
その間に店の前には数人のお客さんも並んできた。厚顔無恥な私もさすがにずつない。
ようやく「8万です」というので
「それやったら要らんわ」となってしまった。
そもそもオークションでは、せいぜい7万くらい、65000円くらいも多いのに、かなり高い提示だ。
ヤフオクにはチケット屋も、たくさん出品していて7万や65000円で落札されてしまっている。
しかも手数料が8.8%きるし、送料も店の負担だ。
ということはたとえ7万で売れたとしても手数料が6200円と送料で250円くらいかかることになる。
そう考えたらオークションなどに出品しないで、直接欲しい客に65000円くらいで売った方がよっぽど楽だと思うのだが、この商売人の考えることはわからんな。
今月の半ばにコトゴトブックスから「西村賢太追悼文集」が出る。
文庫本の200ページあまりで、西村賢太の編集者や親しかった古本屋、作家が書いている。
このコトゴトブックスという出版社は少部数なんだが、著者へのインタビューや写真などの特典つきで、いろんなタイトルを出している。
つまり付加価値をつけて本を売ろうということで、文学愛好者のこころをくすぐるいいやり方だよなあ。
新潮文庫では西村賢太の「やまいだれの歌」が出た。
これは例によって北町貫多が造園業者に就職したはものの、しくじってしまう話だ。
今回の失敗は女だ。
新しく入ってきた若い女に岡ぼれしてしまった貫多は親しくなる機会を窺っていたが、果たせない。
結局、社内の宴会でなんとか好印象を女に持ってもらおうとする。
しかし生来の口下手に加えて自意識過剰なために、酒を浴びるように飲んであげく暴言を吐いてみんなから浮いてしまう。
結局それがもとで、社長から首を言われてしまうのだ。
社内のみんながいる前で、特定の女と親しくなることはできるのか❓
もちろんいくらでも出来る。
宴会が終わって帰り道でなんとか2人になってそこで告ろうなどというのはバカとガキの考えることだ。
そうではなくて、宴会の最中にみんなの前で
「お願い❗️あんたのことが好きなんや、今度つきおうてな」と言えばいいだけだ。
女もみんなの目があるからけんもほろろにはしないし、他の社員からも「いいネタができた」とか「オモロいやっちゃ」といい反応をもらえる。
もちろん失敗する可能性も高いけどな。
29日のブックオフは、どうなっているのか、ひまだから確かめに行ってみた。
1時半くらいに心斎橋店に着いた。
250円ごとに50円のサービス券がもらえる日なんだが、特段、客がたくさんいるわけではない。
昨日文庫コーナーの隅に4段に積んであった箱はどうなっているのか。
半透明な箱には縦に6列、文庫本が詰まっていて、一箱100冊くらいはある。
前日、1番上の箱には岩波文庫の「吾妻鏡」の4と5がある(このシリーズは全5巻なのだ)ことは確かめていたのだが、今日見ても同じ場所にこの2冊はある。
つまり全く補充の作業はなされていないということだ。
昨日、28日の昼間出向いた際、2階の店員さんは1人だけだったし、もちろん客も少なかったけどね。
それにしても、やはり、ひちめんどくさい入れ替え作業なんかとてもやないが、できなかったのだろう。
こういう入れ替えの手間をとりあえず解消する方法は「新入荷本」と称する棚か平台を新たに作り、そこにごちゃ混ぜに放り込んでいくやり方がある。
それにしても全くおせっかいな話だが、心斎橋でビルの地下から三階まで(ワンフロアー30坪くらい)をレンタルするには月に35万くらいかかる。
心斎橋店は地下から三階までいつも6人の店員を使っているので、安く見積もっても人件費が月に200万かかる。
さらに光熱費は15万くらい、これに本や楽器、カード、映像ソフト、ゲームソフトなど各階で販売している品物の仕入れの金がかかる。
その金額はさすがにわからないが、ブックオフのことだから大した金額で買い取っているとは思えない。
月に150万くらいではなかろうか。つまり賃料、人件費、光熱水費、仕入代金を足したら月に400万で一日あたり13万円で、1日10時間営業しているから1時間あたりは13000円くらい売れたらいいことになる。
この程度なら問題なく売れるだろう。
何が言いたいかというと、ブックオフは店を愛しているお客さんが相当いるのではないかということだ。
だいたいあの安い仕入れ値は、なんなんだろう。
私も何回もブックオフの出張買取を利用しているが、大半は一冊5円だ。
俺なんか、自慢するようだが、客から買い取るときは売値の半分くらいはちゃんと出してる。
それが天下のブックオフは買い叩いてるわけだ。
それでもまあいいかと思ってしまうのだから素晴らしい。
だってあの楽しい心斎橋で古本が買えるんだから。
朝から心斎橋店に出向いて、立ち読みしながら本をじっくり選んで、たくさん買う。その足で斜向かいの「ドトール」に入ってクレープにコーヒーで本を楽しむ。
さらに丼池はすぐで、「松葉亭」のおじやうどんでもきつねでも腹が空いたら楽しめる。
甘いものなら少し南に歩けばカステラの銀装とその2階の喫茶店「ラサール」にも行ける。
「ラサール」では2階の窓際に3席設けてあって大きな窓から、御堂筋線心斎橋駅を上がってくる、おしゃれをした、楽しそうな皆さんの笑顔をいくらでも見ながらカステラやカレーを味わえるのだ。