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古本屋日誌
天神橋筋商店街に「駄楽屋」という古本屋がある。
大阪らしい古本屋なのだ。
専門分野があるのではなく、文庫から文学書、哲学書、マンガ、実用書、図録となんでも置いてある。
ある時ここに、本を売りに来た客がいた。
折しも、レジの近くにいた私がジロジロ見てみたら西村京太郎や赤川次郎、山村美紗などの文庫本が50冊くらいある。
「すんませんけど、店主が出ててちょっと査定できませんねん。しばらくあずからしてもらわしめへんやろか❓」
客は額に汗している中年の男なんだが
「あーそうなんや、これこうてもうて、その金で和歌山の実家に帰ろおもてましたんや、恥ずかしい話ですねやが、弱ってましてな」
よく分からん事情だが、いずれにしても西村京太郎や赤川次郎の文庫本では、俺は一冊5円しかつけないけどね。
とても和歌山まで行き着ける電車賃にはなりそうもない。
「そうなんや、ほんなら今回は5000円出しましょう。困ってはるみたいやし」
えーあの本が5000円❗️❗️そらごっついわ❗️
「いやいや、店主がおりはらへんのに、悪いわ、ぐつわるい」
「困った時は素直になんなはれ」
「マスターおらへんのに、なんぼなんでも悪いわ」
といつまででもやっている。
世間には優しい人がいるもんだよなあ。驚くばかりだ。
今年は1972年の連合赤軍のあさま山荘事件から半世紀となった。
人質をとって山荘に立て籠もり解決までに10日を要した、その間赤軍からは何らの要求もなかった、不思議な事件だよなあ。
当時警察の指揮を取った佐々淳行の『連合赤軍」あさま山荘」事件』は今読んでも面白い本だ。
中でも興味を惹かれるのは自分が人質になりたいと名乗り出てくる人間がたくさんいたことだ。
事件8日目の2月27日に
「また一人、身代わり志願者が来訪したとの報告、もう十九人目である。一人はすでに撃たれて重態となっている。今度のもフツウじやない。
思い込みが烈しいというのか、ものの怪に取り憑かれているというのか、家を出るとき裁断器で切断したという小指を差し出して『この決意を汲んでほしい』と牟田泰子さんの身代わりになることを申し出て来たという。
丁重にお断りしてお引き取り頂く」とある。
確かにフツウではないけど、非常事態を自分の力で打開したいという崇高な使命感も感じられるよなあ。
阪急六甲駅近くに神戸学生青年センターがある。
ここは1995年からずっと海外からの留学生に給付の奨学金を5人に毎月5万支給している。
その原資が全国から集まる古本だ。
文庫や新書は全て一冊100円、単行本は300円で販売している。
不思議なのがその古本市の会場が3階にあることだ。
しかもストックとなる本のダンポールはすべて4階に収納されている。つまり送られてきた本はすべて4階まで上げないといけないのだ。
古本市の担当の方に聞いてみたら
「センターの受け付けが3階やさかいな、本代の支払いで係がいるからどうしてもこの階にせなしゃーないねん」とのことだ。
でも金の支払いはPayPayでもいいし、この頃流行りの餃子の無人店舗みたいに箱を置いておいて、そこに入れさせればいい。
なんでもすでに本は10000冊くらい全国から届いているそうで、ダンポールにしたら500以上にもなるだろう。
おそらく宅急便の業者に上げさせたりもしたんだろうけど、一度に何十もダンボールが届いた場合などはいくらなんでも三階まで持って来させるわけにはいかない。結局センターの職員が必死のパッチでえっちらほっちら4階まで上げざるをえない。
毎年3月から4月に開催していた神戸のサンボーホールの古本市が中止となった。
理由としてはホールの使用料が値上がりした、これはこれまで出ていた補助金が無くなったことも併せて大きな問題だ。
また去年の開催では、来場客が思ったほどではなく古本市を開催する旨味がなくなったことも大きな要因となっている。
かてて加えて古本屋の方も高齢化が進み、重たい本をいちいち倉庫からサンボーホールまで運び込んで設営し、終了後には売れなかった大量の本をトラックに詰め込んで倉庫まで戻すという作業に耐えられなくなってきた。
そのため県下の古本屋に参加を募っても「今年はやめとくわ」と辞退する店が増えてしまい、必然的に一軒あたりの負担金額は上がるから、開催に耐えられなくなってきた。
なるほどね。
いちいちもっともなことばかりなので、今後古本市の開催は危ぶまれるだろうな。
特に例年に比べて古本市に詰めかける客の数が減っているというのはなぜなんだろうね。
コロナの重症化リスクは高齢者で既往症のある人が高いといわれている。古本市に来る客は確かに老人が多いから自主規制したのかもしれない。
去年の開催はコロナ患者の発生が小康状態になった4月2日から4日だったんだが、客は「本は通販でも手に入るから、リスクを冒して古本市にでかかることはないや」てな判断だったようだ。
コロナの死者数はインフルエンザと比べて全然多くない。しかし身近でコロナに罹り亡くなる人が出たりすることがあるし、入院したり、休職を余儀なくされた人を目にすることがある。
それで大事を取ろうと思うのはもっともだ。
そういう人に「あんたの心配は行き過ぎやで。死んでる人かて多ないやろ」てなことを言うのはバカというものだ。
ネットで安売りをうたって詐欺を働く犯罪者がいる。
古本業界でもホームページを艶やかに作り込み全集やセットにしたマンガを割安で販売しているように見せかけている。
通常、客はこういう訳の分からない輩のホームページは見ない。
Amazonや日本の古本屋、ヤフオク、メルカリなど信頼できる巨大サイトで検索する。
ところが値段が高いとか、商品がないとなるとYahooや Googleで探している本のタイトルを入力して探し回る。
客は是が非でも欲しいと思っているわけだ。だから初めから騙しやすいのだ。
古本の詐欺サイトでは販売者の情報も載っていることがある。
例えば千葉県柏市にあると称する
「亮横江商事」なる古本屋サイトだがこれは詐欺サイトだ。
すでに門真警察と日本郵政に通報済みだ。
ホームページを持ち、全国的に販売している訳だから当然古物取扱免許を取得していなければならない。
ところがその表示がないのだ。
今は摘発によってホームページも閉鎖となっているが、先月中旬まではちゃんとあって古物取扱免許に関しては「必要なし」と記載していた。
これがそもそもおかしいよなあ。
必要だし、たとえ持ってないもぐりの業者だとしても客に対して「そんなもん要りませんわ❗️」てな表示はするわけがない。
また店舗の所在地が、千葉県柏市わかしらとあって番地も記載してあるが、その住所で検索をかけても何もヒットしない。
つまりその場所に店舗などないことがすぐにわかる。
でもこの程度のサイトでも騙される人はいるだろう。
また結局「小さな古本屋のサイトなんか、みんなデタラメなんだ❗️二度とそんなもん見るかい❗️」となってしまうだろう。
うちのサイトなどそのせいで注文なんか一年に一回あるかないかで、サイトの管理費も回収できてませんよ。