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古本屋日誌
ごく稀なことなんだが、本を発送してから「住所をまちごうて書いてしもた、ほんまのはこっちなんや。すまんけどそっちに送ってもらわれへんやろか」などというリクエストがくる。
本が向こうについて郵便局員が配達に出向くというところまで行ってしまうと、もちろん返送されてくる。
ところが出した直後で、まだ到着していない場合だと変更がきくのだ。
差し出した郵便局まで出向いて間違いの住所氏名、正しいそれを書いて、さらに手数料の580円を支払えば訂正してもらえる。
かなり高いよね。
長らく新館建築中で閉館していた京橋の藤田美術館が今月1日にオープンした。例の曜変天目茶碗を所蔵しているところだ。
新館の建設費用は所蔵する掛け軸をアメリカのオークションに出して調達した。
これは美術館として極めて真っ当なやりかただ。藤田美術館のコレクションは茶器や青磁白磁だ。
だから、掛け軸は純粋に利殖の対象として集めているのだ。
経営のことを考えて、現在のコレクションと合わないものも敢えて買い付けているわけだ。
早速行ってみた。
以前は古い蔵を展示施設にしていたが、新刊は白亜の殿堂といった趣で、黒い階段を少し上がったところに平屋の奥行きある白い建物が聳えている。
階段を上がったところは、ガラス張りのオープンスペースになっていて左手が美術館、右手には茶屋が設けてある。
人出は少ない。
展示物の前に横に列ができて順番を待つということは全くなかった。
検温と手指消毒の後、こういう美術館ではよくある、窓口で入館料を払う形でなく、係員が美術館の説明をしてしながら徴収するスタイルだ。
入り口はかつての蔵の出入り口のような観音開きの鉄扉で、中は本当に暗い。
気をつけていないとそのまま展示品を収めてあるガラスケースにぶつかりそうだ。
展示は紀貫之の筆と伝えられる和歌の短冊や三蔵法師にまつわる絵巻物、香合や茶壷、仏画と続いて、もちろん曜変天目茶碗だ。
曜変は最後の展示室の真ん中にスポットライトを浴びて置かれている。
ちょっと前に奈良国立博物館で曜変天目が展示されていた時は入るのは1時間かかり、中でも曜変天目のコーナーには長い列ができていて、さらに1時間かかった。
ところが今日は部屋の中にいるのは我々2人と小学校低学年のガキとその父親だけ。
3月の30日に「壁のひび割れを2000円で埋めてあげる」という業者に来てもらったら、屋根の瓦をチェックする話になった。
「漆喰がかなり減っていて、水が瓦の下に入り、土を押し流している、今度2日かけて漆喰を塗り直し、ズレている瓦にはビスをつけて固定する工事をしますわ、費用は44万です」という。
ついうかうかと契約書を作ったのだが、その後でかなり激しい雨が降ると2階の和室の天井にボツポツと水滴が落ちて、板にシミができているのを思い出した。
早速その業者に電話してその旨を伝えたら
「今の瓦の状態で雨漏りするとは考えられないな。出窓や横から水が入っているのではないか」という。
結局4月5日に詳しく調べてもらうことになった。
天井のシミはどう見ても瓦の隙間からの漏水に見えるので、この業者の言うことが信用ならないように思えてきた。
それでクーリングオフは4月6日まであるので、それまでにいろんな業者に屋根を見てもらうことにした。
大塚ひかりがポプラ新書で「くそじじいとくそばぼあの日本史」を出した。
相変わらずあられもないタイトルで、手に取るのがはばかられるのだが、中身はきちんとしたもので、その博捜ぶりや卓見もいつも通りで頼もしい限りだ。
長生きして功なり、名とげた人物を取り上げている本だ。
初めは徳川家康。75まで長命を保ち、徳川300年の礎を築いたことは周知のところ。
驚いたのは大坂冬の陣の講和話だ。
以前は和睦の約束では外堀だけ埋めることになっていたのに、徳川方が勝手に内堀まで埋めてしまったといわれていた。
ところが実はそうではなく内堀も含めて埋めることになっていたと明らかになっていた。
ここまではよく知られているところだが、大塚ひかりはこの本で実は「破却」という文言は文字通り全て壊すという意味ではないというのだ。
「城郭施設の堅牢な土塁、堀などは部分的に破壊する、儀礼的、象徴的な行為を以って、城郭の破却とみなす習慣でした」と最新の研究を用いて論じている。
そうなのか、やはり家康は人を騙すタヌキおやじだよな。