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古本屋日誌
お客さんから本を買い取る時に値付けをする。うちは一冊1冊値段を付けています。
本はいくらでもあって、相場がよくわからないこともしばしばあってだいたいこんなものかなあと値付けをするわけですが、うまくいかないことももちろんありますな。
講談社学術文庫の「共産主義宣言」は面白い翻訳で、こないだお客さんの家にあって690円で買い取ったが結局送料など除いた売値は730円で私の手間を考えると全然商売になってない。
岩波文庫の小島政二郎の「眼中の人」は以前高かったので、買い取る時もその伝でやっていたが復刻されてものすごく安くなった。
同じく岩波文庫のロックの「人間知性論」も品薄で高価だったのでお客さんからは一冊千円くらいで買い取っていたが、これも復刻となり今はすごく安い。
平田篤胤の岩波文庫「仙境異聞」も復刻前は5000円くらいしていたけれど今はご承知の通り500円くらいだ。
復刻されたのに依然として高いのは「リグヴェーダ讃歌」だ。この本はちょっと前に復刻されたにもかかわらず古書価は下がってない。
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文藝春秋から先日ブレグマンの「希望の歴史」が出た。
人類は人懐っこさや優しさを進化させることで競争に打ち勝ち今日があるとする論考だ。
大東亜戦争のギルバード諸島、「マキンの戦い」が取り上げてあるのが目を引いた。
ここは帝国陸軍が玉砕した島だよなあ。
ところがプレグマンによれば上陸作戦に従ったアメリカの兵隊で実際に発砲したものは2割にもみたなかったという。上陸後の夜襲で一時アメリカ軍は大きな損害を出すのだが、その原因は敵に発砲しなかったからだというのだ。
また空襲の話も興味深い。
第二次大戦中、ドイツは連合軍の激しい空爆にさらされた。一般市民を狙った爆撃が実施されてたくさんのドイツ市民が死んだ。
しかしパニックも起きなければ、大きな混乱もなく、かえって人々は助け合い互いに気をつかうようになった。
つまりは人間はホッブスのいうような性悪ではなく、もともと善良になるように進化してきたというわけだ。
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前の広島の球場は原爆ドームの近くにあった。
まもなく取り壊されて新球場に移るとのことで、最後のシーズンとなるので、わざわざ試合を見に行ったことがあった。
せっかく広島まで来たのだから球場の雰囲気をしっかり味わいたいと試合開始のかなり前に中に入り練習風景も見た。
外野フェンスからはスルスルと紐に吊るした画板がグラウンドに下されて、練習中の選手にサインをねだっている。
試合終了後、球場の周りを取り囲んでたくさんの人が並んでいる。聞いてみたら「球場の最終戦の切符が発売になるんや」という。
チケットを手に入れるためにずっと並んでいるらしい。
ネットや、コンビニなんかで発売するのがその当時でも一般的だった。広島はかなりレトロな感じだよな。
その後新球場が新幹線の駅の近所にできたので、またわざわざ大阪から出向いてみた。
球場は全国どこでもそうだがビールの持ち込みが禁止されている。
しかしわれわれはもちろん持ち込んで球場で飲むわけだ。
甲子園でも、大阪ドームでも東京ドーム、福岡ドーム、名古屋ドーム、神宮でもやはり持ち込んで飲んでいた。
広島の新球場でも当たり前のように持ち込もうとしたが、鞄の中を念入りに調べられてバレてしまった「お客さん‼️すみませんがこれはダメです」と言われてしまった。
仕方がない、向こうの顔も立ててあげないとかわいそうなので引き下がってもっと念入りに鞄の底にクーラーボックスを隠して上にはタイガースのハッピをかぶせてカムフラージュする工作をしていた。
すると通りかかったカープファンが
「お前らルールは守れよ‼️」という。
「じゃがましいわ、お前になんか迷惑かけてんのか、いちびってんといにさらせ‼️」
と喧嘩になってしまった。
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かたや飲食店や旅行業会は青色と息のところもあるのに、世の中は例によって不条理だ。
うちは在庫は2500冊くらいしかなく、それでもお客さんから受けた注文の本が見当たらないことがあるのだ。
一応在庫はパソコンに、仕入れ順にデータを入れてあって、倉庫となっている部屋にはやはり仕入れ順に並べてある。
だから見当たらなくてもパソコンのデーターの仕入れの日付をチェックすれば大体どこらへんに置いてあるかはわかるのだ。
ところがごく稀にそれでも見当たらない本が出てくる。
おまじないで岩波文庫の「ブッダのことば」を拝んでから探してもダメな時がある。
見当たらないのは構わないとしても、原因がわからないのが困るのだ。
神隠しなのか、単に探し方が悪いのか困ったことだ。
よくある原因は数量を打ち込むときにはずみで11と1を二回打ってしまうことだ。
実際には在庫はほとんど一冊しかないわけで、一度売れて仕舞えばもう、在庫はない。
ところが11と打ってしまっているわけだからデータ上は10冊あることになってしまっているわけだ。
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編集工房ノアから2015年に出た泉冨士子の「せんば」という詩集がある。
以倉紘平が帯に推薦文を書いている。
「優美な『細雪』の世界とは違った、地味だが、奥ゆきの深い興趣尽きない物語が並んでいる」
その中に「水売りの一日」というのがある。
なんでも午前2時に宇治川の、一番水がきれいと言われるところから水を汲んで、船で大阪に運び商家やお茶の宗匠のところまで運ぶ仕事があるのだという。
水は川に面した裏戸が開いていて、そこから運び込みなにがしかの謝礼を受け取って静かに帰っていく。
「また来た時のように静かに帰ってゆく」とある。
午前2時から仕事をしてくたくただろうし、人恋しくもあるだろうに、静かに帰っていくというのも不思議なことだよなあ。
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