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古本屋日誌
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ゴルゴ13の最新号が出た。今回は「グレートゲーム」と題して日本がアメリカ追従をやめて独自外交をしてみたらどうなるかというシミュレーションともいえる作品でなかなか興味深かった。
中東のある国がパイプラインで天然ガスをロシアや中国に輸出しているが、国内の空軍基地はロシアに押さえられている。日本は独自外交を進めて輸出だけでなく、石油プラントや化学工業化を進めたらよいと大統領にアドバイスして、ビックプロジェクトの受注に成功した。
しかし中国はエージェントを派遣して大統領に多大な賄賂を贈ったりプロジェクトの費用をダンピングして、日本から受注を奪い取った。中国側についた大統領はロシアが利用している空軍基地の使用料を払うようにロシアに対しつよく要求した。
怒りに燃えたロシアはゴルゴ13に依頼して大統領を暗殺してしまう。あたらしく就任した大統領はロシアとの関係を強める。ロシアは中国に落ちたビックプロジェクトの権利を再び日本に変える見返りに、シベリアの天然ガス田からヨーロッパに輸出するためのパイプライン敷設費用を負担するように求めてくる。
しかし日本としては北方領土の返還交渉の前進が大前提なので拒絶。するとロシアは「あたらしく受注に成功したプロジェクトで、思いもよらぬ事故が起こっても知らんぞ。これまでかなりの資金を投入してきているようだな」と脅迫してきた。中国は中国で復讐をたくらみ、ネパールのグルカ兵を雇って新大統領を襲撃させて殺害しょうとするが失敗する。
日本のエージェントは「我が国にはこういう際に機敏に対処できる実行部隊はいないので」と述べてゴルゴ13にロシアの人エージェントの暗殺を依頼して成功する。
最後にロシアは日本のエージェントが地下鉄に乗っているときに遅いロシア製のジャックナイフで刺殺してしまう。
とまあこういう筋でした。
まああれですよね、ロシアは確かに要人の暗殺を国家として実行する伝統がスターリンの頃からあります。しかしそれ以外の国はこういうドロドロした権謀術数やら実力行使はないと信じたい。
でもあれですね、北朝鮮はその高い技術力をフルに活用してついにアメリカ本土を攻撃できるICBMの開発に成功して、トランプを脅迫して政治体制の温存に成功しています。対してイランはどういう巡り合わせなのか未だに核兵器の開発に成功していない。そのためにトランプは舐めてかかって好き放題に脅迫したり、制裁を強化したりしている。
こういう現実を見れば誰がどんなたわごとを述べようとも現代社会を動かしているのは紛れもなく暴力であり、実力行使であると言わなければならない。
森口誠之は大阪市大の鉄道研究会の人で、学生時代から鉄道の歴史に関する実証的な研究書をあれこれ出していて、昨今は未だ完成に至ってはいない幻の鉄道の経緯やいきさつを活字にしてくれていてありがたい。
とれいん工房から出た「鉄道未成線を歩く vol1 京阪・南海篇」を入手しました、ぜひお求めください。
ここには大正時代に京阪が野江から梅田へと市内中心部に乗り入れたいがために、赤川を経て中崎町に至る線路の敷設権を獲得した話があります。この時代すでに大阪市内は民家や工場がびっしり立ち並び鉄道敷設には立ち退きさせる必要があり、その費用は膨大なものだと考えられていました。
そこへうまい具合に今の環状線を高架にする話が立ち上がり、高架になると地上の線路部分は不要となる、これを570万で京阪電車に払い下げる。その代わり環状線の高架工事の費用のうち570万円を上回る分は京阪電車が負担するという契約を鉄道省が京阪との間で結んだ。
ところがこの契約が公になると、そもそも大阪市の交通行政の根幹に関わる話なのに、大阪市を飛び越えて勝手に話が進んでいるのはけしからん、それに梅田へと続く一等地をわずか570万で譲るなど相場からしてとんでもないと反対する声が沸き起こり計画は頓挫を余儀なくされる。そうこうしているうちに1923年の関東大震災のあおりで大型の建築プロジェクトは見直しがかかり、環状線の高架事業などいつのなるかわからなくなってきた。
という話です。
森口は大正デモクラシーのあおりで「自治意識が高まり」鉄道省が勝手に線路を決めるのは内政干渉だとうけとられたんだと書いています。
まああれですな、大正デモクラシーなんかろくなもんではないですな。「内政干渉」なんかどうでもいいわけで、野江から梅田に一発で出られたら便利でしょう、そこがポイントなのに手続きのようなくだらないことにだけこだわる。
民主主義てほんとうにくだらない、独裁国家であれば、手続きが重視されることはないでしょう、中国の公害垂れ流し企業は党中央の指令で1日で取り潰されて有無をいわしません。これが正義でしょう。日本のようにいついつどれくらいの煙を排出したとか、排水に含まれる毒物の量はとかあれこれやっていつまでも反社会的な会社をのさばらせるだけです。
それに京阪への払下げ金が安すぎるというのはとんでもない話で鉄道事業はそもそも公共を利するためのものなんだから、その辺に転がっている金儲けしか頭にないバカと一緒にするべきではないでしょう。京阪は環状線の高架工事を実質的に負担するとゆうてるわけですからなおさらですよ。
PHP新書から渡邉大門の「関ヶ原合戦は作り話だったのか」が出た。
昨今流行りの一次資料に基づいて歴史上の大事件を検証する本で、関ヶ原合戦での小早川秀秋の裏切りが取り上げられている。裏切らなかったというのでもない、裏切りの時間なんだが、午前10時の合戦開始と同時に攻め込んだんだそうだ。そのため合戦は早期に石田方の敗戦で終わり例の通り島津も戦わないでいて負けが決まってから逃亡する羽目になった。秀秋の陣の位置も従来は石田や宇喜多のすぐ南側だったとされて、そういう配置図が人口に膾炙しているが、「戦闘での陣配置は刻一刻動くもの」でおそらく違っていただろうともいう。
え〜〜〜〜そうなのか、まあ確かにたった1日で勝敗が決してしまうそれも10時に始まって2時には終わりなんだから、全然激戦のイメージがわかないなとは思っていた。
しかし司馬遼太郎先生の「関ヶ原」にはだまされましたな。いつまでも金吾中納言が裏切らないので痺れを切らした内府はしきりに爪を噛んで「金吾めには謀られたわい」などと取り乱し果ては秀秋の陣に鉄砲を打ちかけさせたとある。
「関ヶ原」には南宮山に陣取った吉川の軍が動こうともしないので、不審に思った長宗我部盛親が問い合わせるシーンもあって「ただいま弁当を使っている」とのことで、これも本当の話だったんだろうかね。弁当なんか戦闘中に使うわけもなく、戦う気がなかったのは丸わかりだろうし、それを聞いた長宗我部はなぜさっさと見切りをつけて攻撃しなかったんだろう。
下田将美は長らく芦屋に住んで「東京と大阪」という文化比較論や煙草への愛を語るエッセイを書いた人です。
昭和15年に「銃後の大阪」に書いた「銃後市民と市政」でも東京と大阪そしてその他の地方での戦時体制への取り組みの違いを論じていて興味深い。
戦時体制ですから、単に中国大陸に兵隊を送るのではなく、働き手がいなくなった家族をどう支えていくのか、不幸にして英霊となり、残された家族のたつきはどうするのか、男手が減り工場にせよ、交通機関のせよその担い手が不足して生産活動に支障をきたす現実をどうするのかと問題は山積している。
これらへの取り組みは地方が大阪よりも「緊張している」「大阪よりも東京の緊張度が薄い」という。
あれですね、下田の面白いのはこういうちょっとドキッとするまとめ表現です。
つまりは防空演習一つとっても大都会は徹底していない、出征軍人の家族がどんな生活状態か大都会の住民はそれぞれ無関心だということを言っているわけです。下田の話によると地方は要するに田舎だから向こう三軒両隣との付き合いも濃密で誰それさんが出征していて、その家族は何人残されているとか皆知っている。ところが大阪や東京では隣は何をする人ぞの状態だから、いくら困っている人がいてもその情報が伝わってこない。
下田はそこで考え出されたのが「隣組」制度だとして上からではあるけれど住民の紐帯を生み出そうとしていると可能性を感じているようです。
まああれですね、下田の言っていることは的外れで隣組などで都会の緊張は回復されません。だいたい隣近所のややこしい関係なんか嫌だと思うのがわれわれなのに、誰がそんなものを復活させたいんでしょうかね?
それはそうとして下田によれば東京は地下鉄の建設工事では地下で工事を進めたのに、大阪は地上の道路を封鎖して地表から掘っていったために、商業活動を妨げること甚しかったが、結局出来上がった地下鉄は大阪の方が優れている。東京の市電は各駅停車しか運行されていないのに、大阪のは「急行」が導入されて止まらない駅がたくさんあって便利。東京では考えられもしないことだが、大阪ではいわゆるサマータイムや朝の通勤時間の混雑緩和を狙って企業の始業時間をそれぞれ変更する試みが考えられている。などという話はなかなか興味深い。